指きり
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俺は
約束をしたんだ
誰だ…?
お前は誰なんだ……?
【指きり】
朝、目が覚めると俺は泣いていた。
どんな夢を見たのか
それすらも覚えてないのに
涙が止まらない。
「…何だ…これ…」
しばらくベッドの上で動けずにいた。
窓から光りが差し込む。
冬の空は好きだ。
空気が澄んでいて星もキレイに見える。
アイツが一番好きだった季節---‥
、、、
アイツ?
アイツって…
誰のことだ…?
********
今日は一日気分が優れなかった。
今日だけじゃない。
最近ずっと気が重い。
夜は眠れず、足は重く。
ダルイ、ダルイ、ダルイ…
「おい跡部、どないしたん?」
「アン?」
廊下を歩く俺に声をかけてきたのは忍足だった。
首を傾けながら眉間にシワを寄せて歩いて来る。
「何だ」
「“何だ”ちゃうで?お前メッチャ顔色悪いで?フラフラ廊下歩きよって」
「フラフラだと?フラフラなんかしてねぇ」
「してたやん。熱でもあるんちゃうん?」
「そんなもんねぇ」
「って!!何やねん自分。メッチャ感じ悪ー」
「フン。俺にかまうな」
俺は忍足にそう言い捨てると一人歩き出す。
どうしたんだろうな俺…
こんなに機嫌が悪いのは何でだ?
『景吾』
「!!?」
フッと聞き覚えのある声に俺は振り返った。
そこには誰もいなかった。
……これか…。
俺の不機嫌の理由…
思い出せない『誰か』が俺をモヤモヤさせる。
誰だ?お前は誰だ?
誰なんだ!?
********
「なぁ、侑士…最近跡部機嫌悪いと思わねぇ?」
「あぁ…岳人もそう思うか?」
放課後、共に下校する向日と忍足。
ポケットに手を入れながら冷たい風を凌いで歩く。
「寒っ!!!」
「侑士!!寒いとか言うなよ!!寒くなるだろ!!!」
「寒いから寒いって言ってるんやけど…」
「寒い時こそ寒いって言っちゃダメなんだって!!」
「…何やそれ…」
くだらない言い合いをしながら駅前を歩く。
そんな二人の目に飛び込んできたものはクリスマスのイルミネーションだった。
「あぁー‥もうすぐクリスマスやんなぁ…」
「また今年も騒ごうぜ!!!」
「また今年も岳人とクリスマスか…」
「何だよ!!不満なのか!!?ってかさぁ、去年のクリスマス皆で跡部んちでー‥」
「………っ」
向日が何か言いかけて止める。
忍足は黙った向日の頭をポンと軽く叩くと苦笑した。
「…もう一年たつんやな…」
「…悪い…」
「岳人が謝ることないやん」
「………」
「…跡部の体調が悪い理由…この空気やな…」
「空気?」
「…この冬の空気が…“アイツ”のこと思い出させるんやろ…」
忍足は空を見上げる。
空は灰色で
今にでも泣き出しそうな色だった。
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