背中合わせ
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「今、俺の中で抹茶の飴が大流行してんだよ」
え!!?
「マジで?何で?珍しいなぁ、お前が苦い系に手を出すなんて」
「だろい?実は2週間前くらいにクラスの女子からもらってよ、それが意外に美味くて…」
えぇぇぇぇぇ!!?
そ、そそそ、それって
あたしぃ!!?
「へー、抹茶味の飴なんて渋いヤツもいるもんだな」
「おー、俺も思った。渋いよな」
ど、どうしよう!!
丸井くんが私の会話を…!!!
「でもさ、ブン太に抹茶味を渡すってことは、その女子よっぽどお前に興味ないよな」
な、何ですと!!?
どうしてそうなるんですか!!?
「ほらブン太って大食いでお菓子好きで超甘党で有名じゃん?それを知らないで抹茶味を渡す…それが全然興味ないって証拠」
桑原くん!!
それ違うから!!
あぁ!!誤解されちゃうじゃない!!
「何言ってんだよジャッカル。そんなん当たり前だろい。いくらモテ王の俺様だって全員の女子を虜にできるわけじゃねぇんだよ」
「ま、そりゃそうだよな」
誤解されてるー!!!
もうとっくの昔に虜になってますから!!
「それにしゃべったことねーし」
だって緊張しちゃうんですもの!!
「飴もらった時も目すら合わせてこなかったし」
だってそんなに近くで見つめられたら失神しちゃいますもの!!!
「それに…名前…」
え!!?
「知らねぇ…」
………。
ガーーーン!!!
「おいおい、同じクラスなのに何で名前わかんねぇんだよ」
「名前って覚えんの得意じゃねーんだよ」
「失礼なヤツだな」
「よっぽどインパクトのある自己紹介だったりしたら忘れないんだけどな」
名前知らないか…。
そうだよね…
私なんてどうせ…
地味だし、人見知りするし、小心者だし、挙動不審だし、暗いし、ネガティブだし…それに…
って、段々暗い方向に!!!
本当にネガティブすぎだよ自分!!!
と、我に返ってコーラを飲もうとしたら指が滑って引っくり返してしまった。
「きゃぁ!!!」
見事に膝の上がコーラまみれに。
さらに慌てて立ち上がると背中越しの丸井くんにぶつかり
「痛っ!!」
と、振り向かれて
目と目が合ってしまい
「あ、お前…」
そう至近距離で言われて顔は真っ赤になって、手に持っていた携帯を落としてしまって
それを丸井くんに拾われて
「落としたぞい……ん?」
今ディスプレイに表示されてる画像が丸井くんの隠し撮り写メだってことに気付いて、
慌てて丸井くんの手から奪い取って
でも、もう見られてて
「お前、抹茶の飴くれたヤツだよな?何?俺のこと好きだったの?」
そう平然と言う丸井くんに恥ずかしくなって
でも何が何だか…
パニックになっていた私は
「あたし高橋直子って名前だから!!!」
とか言って自己紹介なんかしちゃうし…。
丸井くんも桑原くんも目を丸くしていて。
店員さんが「大丈夫ですか?」って走って来たのにも関わらず私は店を飛び出した。
飛び出したところで待ち合わせをしていた友人にバッタリ遭遇して私は今日おこった災難を話した…。
明日学校に行けない
ってゆーか明日といわず、もう行けない!!!
丸井くんに会いたくないよぉぉぉ!!!!
どうしよぉぉぉ!!!
背中合わせの15分間。
たったそれだけ…
短い夢をありがとう…。
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