※滝萩之介視点




何故突然こんな質問をしようとしているか…


面倒ったらありゃしない。



俺は目の前のマネにバレないように隣の部屋のドアに視線を向けた。








「(おい、押すんじゃねぇよ！)」

「(シッ！跡部声大きいで)」

「(いって！侑士いてぇよ!!乗っかんなよ!!)」

「(全然見えないＣ～)」

「(皆さん声でかすぎです！こんなんじゃマネ先輩に見つかっちゃいますよ！)」

「(長太郎も声でけぇよ…)」

「(覗かなくても先輩達の声が聞こえれば問題ないはずだよな…ばれたらどうする気なんだ…)」





……おい。

丸見えだっての！
そしてコソコソするな!!
気付かれても知らないからな!!






「どうしたの？滝ちゃん」

「あ、何でもないよ」


とにかくマネの視線があっちに向かないように引きつけておかないとな。


ってか何で俺がこんな気遣いまでしないとならないんだ。








――事の発端は数十分前。




俺が部室へ着くと既に跡部、忍足、向日、慈郎、宍戸、鳳、日吉がいた。



７人で何の話をしているのかと思えば



「マネってどんな男が好きなんだ？」


という話題。


そこから


「俺だろ」
「いやいや俺やろ」
「ちげーよ！俺だってば！」
「俺だＣ～！」
「俺ですよ！」


と自己主張の強い奴等が口論しだして





「おい滝！マネが来たら好みのタイプを聞け!!俺達は隣にいる」

「は？何で俺が」



「滝、よろしゅうな」
「頼んだぜ！」
「ワクワクするＣ～！」
「滝先輩、宜しくお願いします」
「あ、待てよ長太郎！」
「下克上だ」




こうして面倒なことに巻き込まれてしまった。


そんなに気になるなら自分達で聞けっての！







「滝ちゃん、大丈夫？何か怒ってる？」

「え？あ、いや別に…」


つい顔に出ていたようだ。

仕方ない、さっさと済ませよう。








「えーっと、やっぱさ、顔はいい方がいいよね？」

「そりゃぁ…良いに越したことはない…よね」

「カッコイイ系とカワイイ系だとどっち派？」

「え…？」





俺的にこの二つで分けるとしたら



『格好いい系』
・跡部
・忍足
・宍戸
・日吉

『可愛い系』
・向日
・慈郎

『どちらとも取れそう』
・鳳



この中に「俺は別に格好良くも無いし可愛くも無い」と思うような謙虚な奴はいないはず。






「んー、やっぱカッコイイ方がいいかな」



はい、向日、慈郎脱落！と、思いきやドアの方を見ても２人とも肩を落としている様子は無い。

……自称カッコイイ系だったのか…。





「じゃ…、背」

「え？」

「背は高い方がいいよね？」



ここは分かりやすい質問させてもらうよ。

悪いね、向日、慈郎！




「(クソクソ！滝の奴ムカつく質問しやがって!!)」
「(Ａ～！背はこれから伸びるＣ～!!)」


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