夏と困惑
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「……ってあれ、ユキさんは?」
一対一に分かれ各自どこかを回ろうと、グループを考えていた矢先。
久慈川の言葉に、鳴上達はようやく忽然と姿を消した存在に気がついた。
菜々子は既に堂島と合流しているためいないが、それでもあの目立ちすぎる白髪がいない。
「俺、ちょっと探してくるっす!」
「わり、任せた!」
巽の背中に、花村が声をかける。
巽はグッと親指を立てて、人混みの中に紛れ込んだ。
頭一つ抜けるその背丈で辺りを見回すと、少し屋台の並びから外れた木の影に、チラリと白い髪が見えた。
他にも数人の人影が見え、ゆっくりとそちらへ近付くと声が聞こえてくる。
「だーかーらー、俺らと遊ばない?」
「遠慮する」
「えー?でも折角浴衣なのに一人とかさあ……危ないっしょ?」
「別に」
「髪真っ白だねー、ハーフだったり?」
「ただの病気」
見覚えのない、恐らく地元外から来た男子が3人、木に背を向けた桜木を囲むように立って口元を情けなく緩めていた。桜木は大して相手をする気がないのか質問をバッサリを切り捨てていて、組んだ腕から黒のブレスレットが見える。
彼らもそれに気づいたのか、「何それ、オシャレじゃん」と手をその浴衣に伸ばし始めた。
「……オイ」
低い唸り声と共に、桜木の肩を引っ張り引き寄せる。
男子達はヒッと喉を鳴らし、当の桜木はゆっくりとこちらを見て瞬きした。
「あ、完二」
「……誰っすか、そいつら」
「知らない人。さっき引っ張られて」
「あ"?」
「!お、オレたちはこれで……!」
そそくさと逃げてく彼らを尻目に、「大丈夫っすか?」と声をかける。すると彼は「ありがと」と言いながら怪我はないと手を振った。
「皆は?」
「あー……多分、それぞれで楽しんでるっす。俺らもなんか食うっすか?」
「いや、そんなに食べられないからいい。それよりも……型抜き、やってみたいな」
つい。細長い指が、向こうの赤い屋台を指さす。
「完二は器用だから、見てみたいんだ……ダメならいい」
「俺はいいっすけど……」
じゃあ、行きますか。言葉に頷くのを確認して、来た時のように手を繋いで歩き出す。
大丈夫。俺とこの人は、友達だ。
そう思えば自然と、周りの目線も気にならないようになっていった。
一対一に分かれ各自どこかを回ろうと、グループを考えていた矢先。
久慈川の言葉に、鳴上達はようやく忽然と姿を消した存在に気がついた。
菜々子は既に堂島と合流しているためいないが、それでもあの目立ちすぎる白髪がいない。
「俺、ちょっと探してくるっす!」
「わり、任せた!」
巽の背中に、花村が声をかける。
巽はグッと親指を立てて、人混みの中に紛れ込んだ。
頭一つ抜けるその背丈で辺りを見回すと、少し屋台の並びから外れた木の影に、チラリと白い髪が見えた。
他にも数人の人影が見え、ゆっくりとそちらへ近付くと声が聞こえてくる。
「だーかーらー、俺らと遊ばない?」
「遠慮する」
「えー?でも折角浴衣なのに一人とかさあ……危ないっしょ?」
「別に」
「髪真っ白だねー、ハーフだったり?」
「ただの病気」
見覚えのない、恐らく地元外から来た男子が3人、木に背を向けた桜木を囲むように立って口元を情けなく緩めていた。桜木は大して相手をする気がないのか質問をバッサリを切り捨てていて、組んだ腕から黒のブレスレットが見える。
彼らもそれに気づいたのか、「何それ、オシャレじゃん」と手をその浴衣に伸ばし始めた。
「……オイ」
低い唸り声と共に、桜木の肩を引っ張り引き寄せる。
男子達はヒッと喉を鳴らし、当の桜木はゆっくりとこちらを見て瞬きした。
「あ、完二」
「……誰っすか、そいつら」
「知らない人。さっき引っ張られて」
「あ"?」
「!お、オレたちはこれで……!」
そそくさと逃げてく彼らを尻目に、「大丈夫っすか?」と声をかける。すると彼は「ありがと」と言いながら怪我はないと手を振った。
「皆は?」
「あー……多分、それぞれで楽しんでるっす。俺らもなんか食うっすか?」
「いや、そんなに食べられないからいい。それよりも……型抜き、やってみたいな」
つい。細長い指が、向こうの赤い屋台を指さす。
「完二は器用だから、見てみたいんだ……ダメならいい」
「俺はいいっすけど……」
じゃあ、行きますか。言葉に頷くのを確認して、来た時のように手を繋いで歩き出す。
大丈夫。俺とこの人は、友達だ。
そう思えば自然と、周りの目線も気にならないようになっていった。