彼を知る者
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辰巳ポートアイランド。
都市中心部からやや外れたそこは、祭りのような活気はないものの学生や会社員で賑わっていた。
(……来て、しまった……)
あの後ユキさんの家を出た俺は、遼太郎さんや他のメンバーに連絡してこの場所に来ていた。
けれど正直、あてはない。
どこから当たってみるかとベンチに腰掛け考えていると、ふと目の前の大学生らしき人物が丁度別れていくところが見えた。
「じゃあな、湊!」
そう声をかけられて小さく手をあげる細身の青年は、少し気だるげに駅から商店街の方へ向かっていく。
ーー湊。
(……もしかして)
ガタリと立ち上がった俺は、慌てて彼の後を追う。
「あ、あの……、湊、さんですか!?」
「…僕に、何か用?」
「桜木ユキについて、知ってることはありませんか!?」
「は?」
いよいよ怪しい事を口走っていることを彼の表情で悟り、勢い余って掴んでしまっていた肩を手放して頭を下げた。
「す、すみません……知り合いがふと漏らしていたので、つい……」
「……知ってるよ」
「え?」
「だから、知ってる。でも……君は誰?」
肩掛けカバンをかけ直し、湊さんは怪訝な顔をする。
俺が名前を名乗り、そしてユキさんについて教えると彼は目を細めて頷いた。
「……あぁ、君が……いいよ。別に、用事は立て込んでないし」
そう言って、スタスタと歩き出す。
「え、その……?」
「知りたいんだろう?彼がどんな人だったか」
ユキはいつも、こうやって僕らより先に進んでいたんだ。彼は懐かしそうに、こちらを見ずに呟いた。
どうやら、彼の事を知っている人に会わせてくれるらしい。
「確かに、彼はあの日、僕たちや関わっている人から記憶を消した。けれど、僕や何人かは覚えていたんだよ。…彼に、一番最初に忘れられた人たちはね」
「一番最初に、忘れられた人」
俺は繰り返して、そして顔をしかめる。
けれど湊さんは平然としていて、「それに気付くよりも先に彼はいなくなっちゃったから、そんなにショックではなかったんだけど」と付け足した。
「僕はテオドア……まあ、彼の案内役をしていた人に覚えてる人のことを聞いたんだ。皆いい人達だから、安心していいよ」
都市中心部からやや外れたそこは、祭りのような活気はないものの学生や会社員で賑わっていた。
(……来て、しまった……)
あの後ユキさんの家を出た俺は、遼太郎さんや他のメンバーに連絡してこの場所に来ていた。
けれど正直、あてはない。
どこから当たってみるかとベンチに腰掛け考えていると、ふと目の前の大学生らしき人物が丁度別れていくところが見えた。
「じゃあな、湊!」
そう声をかけられて小さく手をあげる細身の青年は、少し気だるげに駅から商店街の方へ向かっていく。
ーー湊。
(……もしかして)
ガタリと立ち上がった俺は、慌てて彼の後を追う。
「あ、あの……、湊、さんですか!?」
「…僕に、何か用?」
「桜木ユキについて、知ってることはありませんか!?」
「は?」
いよいよ怪しい事を口走っていることを彼の表情で悟り、勢い余って掴んでしまっていた肩を手放して頭を下げた。
「す、すみません……知り合いがふと漏らしていたので、つい……」
「……知ってるよ」
「え?」
「だから、知ってる。でも……君は誰?」
肩掛けカバンをかけ直し、湊さんは怪訝な顔をする。
俺が名前を名乗り、そしてユキさんについて教えると彼は目を細めて頷いた。
「……あぁ、君が……いいよ。別に、用事は立て込んでないし」
そう言って、スタスタと歩き出す。
「え、その……?」
「知りたいんだろう?彼がどんな人だったか」
ユキはいつも、こうやって僕らより先に進んでいたんだ。彼は懐かしそうに、こちらを見ずに呟いた。
どうやら、彼の事を知っている人に会わせてくれるらしい。
「確かに、彼はあの日、僕たちや関わっている人から記憶を消した。けれど、僕や何人かは覚えていたんだよ。…彼に、一番最初に忘れられた人たちはね」
「一番最初に、忘れられた人」
俺は繰り返して、そして顔をしかめる。
けれど湊さんは平然としていて、「それに気付くよりも先に彼はいなくなっちゃったから、そんなにショックではなかったんだけど」と付け足した。
「僕はテオドア……まあ、彼の案内役をしていた人に覚えてる人のことを聞いたんだ。皆いい人達だから、安心していいよ」