順応力というもの
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堂島の家に戻れば、3時になっていた。
昨日もお金を渡したが、礼に朝食でも作っておくかと立ち上がり、冷蔵庫を見る。
(……まあ、三人分は作れるな)
米を研いで炊飯器に放り、焼き魚や野菜の浅漬けを簡単に作り出す。
5時くらいになり、特に作るものもなくなってのんびりと羊羹を作っていると、家に備え付けられた電話が鳴り、「もしもし」と受話器を取った。
「堂島です」
『あれ?菜々子ちゃん……じゃ、ないよね?ええと……』
「すみません。道すがら拾ってもらった者です。……遼太郎さんに、何か用でも?」
若い男の声。
今の時間に電話をかけてくるなら、あの女の子に対する用じゃない。
それに、あの青年はここに越したばかりだ。彼も違う。
そう思って尋ねれば、『そうそう!』と男は告げた。
『なんか、死体があったって通報があって、それで起こして欲しいんだけど……』
「…ああ、あれか」
『え?ちょっと待って、君も見たわけ?』
「すみません。この田舎でどう通報したものか分からなかったので。
二時くらいに民家のアンテナに刺さった若い女性の死体を見ました」
そう言いながら、それなら遼太郎の分の朝食は何かに詰めた方がいいなと考え、タッパーにアルミホイルで敷居を作って具材を詰めていく。
『あらま……そういうのはね、普通にそのままの事を稲羽署に直接しないと。110番じゃどうも遅れちゃうから』
「ああ、やっぱりそうなんですか。……署の番号を教えてもらっても?」
『構わないよ。ええと……』
男が告げた番号を、ユキは頭の中に刻み込む。
「わかりました。じゃあ、遼太郎さんを起こして、事件があったから署に行ったほうがいい事を伝えておきます」
『助かるよ。ごめんね~?』
「いえ。では、失礼します」
通話を切り、遼太郎の寝ている場所を探す。
彼は居間から続く部屋の奥の方で寝ており、軽く揺さぶるとすぐ目を覚ました。
「ああ……?」
「署の方から電話があった。殺人事件が起こったらしいから、行ったほうがいいかと」
そう言うと彼はガバっと身体を起こし、急いで着替え始める。
そんな彼にユキがタッパーに詰めた朝ごはんと割り箸を渡すと、彼は目を白黒させユキを見た。
「これは……?」
「朝、早く起きたから作ってた。食わないなら捨てていい。
冷蔵庫の使ったものは後で買い直しておく」
「……捨てねえし、んな事しなくていい……ありがとな」
遼太郎は照れくさそうに笑って、ユキの頭を撫でる。
彼は目を丸くすると、その掌にコシ、と頭をすり寄せた。
「じゃあ、ちょいと出てくる」
「ああ……いってらっしゃい、だっけ?」
彼は首を傾げ、手を小さく振る。
それに苦笑してから、遼太郎は雨の中を走っていった。
昨日もお金を渡したが、礼に朝食でも作っておくかと立ち上がり、冷蔵庫を見る。
(……まあ、三人分は作れるな)
米を研いで炊飯器に放り、焼き魚や野菜の浅漬けを簡単に作り出す。
5時くらいになり、特に作るものもなくなってのんびりと羊羹を作っていると、家に備え付けられた電話が鳴り、「もしもし」と受話器を取った。
「堂島です」
『あれ?菜々子ちゃん……じゃ、ないよね?ええと……』
「すみません。道すがら拾ってもらった者です。……遼太郎さんに、何か用でも?」
若い男の声。
今の時間に電話をかけてくるなら、あの女の子に対する用じゃない。
それに、あの青年はここに越したばかりだ。彼も違う。
そう思って尋ねれば、『そうそう!』と男は告げた。
『なんか、死体があったって通報があって、それで起こして欲しいんだけど……』
「…ああ、あれか」
『え?ちょっと待って、君も見たわけ?』
「すみません。この田舎でどう通報したものか分からなかったので。
二時くらいに民家のアンテナに刺さった若い女性の死体を見ました」
そう言いながら、それなら遼太郎の分の朝食は何かに詰めた方がいいなと考え、タッパーにアルミホイルで敷居を作って具材を詰めていく。
『あらま……そういうのはね、普通にそのままの事を稲羽署に直接しないと。110番じゃどうも遅れちゃうから』
「ああ、やっぱりそうなんですか。……署の番号を教えてもらっても?」
『構わないよ。ええと……』
男が告げた番号を、ユキは頭の中に刻み込む。
「わかりました。じゃあ、遼太郎さんを起こして、事件があったから署に行ったほうがいい事を伝えておきます」
『助かるよ。ごめんね~?』
「いえ。では、失礼します」
通話を切り、遼太郎の寝ている場所を探す。
彼は居間から続く部屋の奥の方で寝ており、軽く揺さぶるとすぐ目を覚ました。
「ああ……?」
「署の方から電話があった。殺人事件が起こったらしいから、行ったほうがいいかと」
そう言うと彼はガバっと身体を起こし、急いで着替え始める。
そんな彼にユキがタッパーに詰めた朝ごはんと割り箸を渡すと、彼は目を白黒させユキを見た。
「これは……?」
「朝、早く起きたから作ってた。食わないなら捨てていい。
冷蔵庫の使ったものは後で買い直しておく」
「……捨てねえし、んな事しなくていい……ありがとな」
遼太郎は照れくさそうに笑って、ユキの頭を撫でる。
彼は目を丸くすると、その掌にコシ、と頭をすり寄せた。
「じゃあ、ちょいと出てくる」
「ああ……いってらっしゃい、だっけ?」
彼は首を傾げ、手を小さく振る。
それに苦笑してから、遼太郎は雨の中を走っていった。