真実と供養
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「ユキサ……」
「ハッター、思い通りにやれ!!」
涼やかな声は激情を孕み、帽子屋は瞬く間に現れティーカップを投げつける。
そこからは攻撃一方。
防衛なんて一切せずペルソナと戦う桜木を、鳴上達は困惑したように見ていた。
「っ先パイ!助けに行かなくていいんスか!?」
「…多分ユキさん、俺らを守る余裕がないから避難させたんだと思う。
無理に入ったら足手まといだよ」
「う゛……そうっスね……」
「……それより、アタシ今ユキさんに聞きたい事多すぎるんだけど……」
「それ、同意。終わった後に全部聞かねーとな……」
里中の言葉に花村が肯けば、「ユキさんがあんな口調になるの、初めてだよね」と天城が続ける。
「怖いっていうより、ちょっと意外。今までずっと静かな感じだったから……」
「あの人、感情あったんスね」
巽がボソリというと、クマがブンブンと首を横に振る。
「違うクマ。ユキサンのあれは感情じゃなくて、ただ叫んでいるだけクマ。
声に意識を集中させて出してるから、迫力あるように聞こえるんだクマよ」
「え……」
「クマね、思い切り飛ばされた時、ユキサンの顔見たクマ。
……全然、これっぽっちも、感情が無かったクマ」
クマはそういいながら、両手を弄るような仕草をして俯いた。
”クマは此処で生きている”
―彼が作り信じた真実は、クマ自身の正体に対する解答ではなかった。
もしかしたら、彼はクマの正体でさえも気づいているのかもしれない。気づいていて、意図的に隠したのかもしれない。
でも、寧ろその疑問自体を包み込むような真実だと、そう思う。
(たとえクマがどんな正体でも、ユキサンは認めてくれるクマ……?)
そこまで考えて、ブンブンとまた首を振った。
(ユキサンを疑うなんて、クマ一生の恥クマよ!
ユキサンが信じてくれるなら、クマも信じるだけクマ!)
「ユキサーン!!クマね!ユキサンを信じるクマよー!!」
大声で桜木に向かって叫べば、彼はゆっくりと振り向いて「そう」とやはり淡々と答える。
一人で戦っていて、今も猛攻をしている最中なのに、顔をゆっくりとこちらに向けて。
「じゃあハッター、もう終わらせようか。”メギドラオン”」
桜木が帽子屋の頭を撫でれば、帽子屋は頷き地面に巨大化したティーカップを投げつけた。
『…フ、自ら辛い道に往くか…それもまた……』
あっという間にシャドウは消滅し、代わりにクマの目の前にカードが形成される。
「んっ…はあ……久しぶりに大声出した……」
桜木は伸びをしてから、くるりとこちらに振り返った。
「……で、久慈川さん、大丈夫?みんなも、怪我無い?」
「あ……はい!大丈夫です!」
鳴上がそう頷くと、彼は久慈川に近づき姫抱きする。
「きゃあ!?」
「心配だし俺運ぶよ。皆も今日は疲れたでしょ、暗くなる前に帰りな」
「いや、一番戦ってたのユキさんだと思うんですけど……」
「つーか、聞きたい事沢山あるんですよこっちは!マヨナカテレビについて薄々何か分かってるとか、どーゆーことっすか!?」
苦笑した天城に被さるように花村が糾弾すれば、桜木は少し首を傾げてから「さあ」とだけ答えた。
「さあ、って……はあ!?」
「俺は何通りかの仮定を立てて、それを確かめてるだけ。
その中のどれが真実なのかは分からないけど、あのシャドウが言うならその中に真実があるだけだと思う」
「……えっと……どゆこと?」
「こういう人が犯人かな、とか、何十通りか考えてるからどれが真実に近いかは知らないよ」
言い直しながらかぶりを振って、そして彼は踵を返す。
「真実は容易く掴めない。それもひとつの真実だ。
だから今日は早く休みな」
ぼそりと呟かれた声は、やはりどこまでも淡々としていて、涼やかで。
呆気に取られた鳴上達も、慌ててその後を追うようにマヨナカテレビから戻っていった。
「ハッター、思い通りにやれ!!」
涼やかな声は激情を孕み、帽子屋は瞬く間に現れティーカップを投げつける。
そこからは攻撃一方。
防衛なんて一切せずペルソナと戦う桜木を、鳴上達は困惑したように見ていた。
「っ先パイ!助けに行かなくていいんスか!?」
「…多分ユキさん、俺らを守る余裕がないから避難させたんだと思う。
無理に入ったら足手まといだよ」
「う゛……そうっスね……」
「……それより、アタシ今ユキさんに聞きたい事多すぎるんだけど……」
「それ、同意。終わった後に全部聞かねーとな……」
里中の言葉に花村が肯けば、「ユキさんがあんな口調になるの、初めてだよね」と天城が続ける。
「怖いっていうより、ちょっと意外。今までずっと静かな感じだったから……」
「あの人、感情あったんスね」
巽がボソリというと、クマがブンブンと首を横に振る。
「違うクマ。ユキサンのあれは感情じゃなくて、ただ叫んでいるだけクマ。
声に意識を集中させて出してるから、迫力あるように聞こえるんだクマよ」
「え……」
「クマね、思い切り飛ばされた時、ユキサンの顔見たクマ。
……全然、これっぽっちも、感情が無かったクマ」
クマはそういいながら、両手を弄るような仕草をして俯いた。
”クマは此処で生きている”
―彼が作り信じた真実は、クマ自身の正体に対する解答ではなかった。
もしかしたら、彼はクマの正体でさえも気づいているのかもしれない。気づいていて、意図的に隠したのかもしれない。
でも、寧ろその疑問自体を包み込むような真実だと、そう思う。
(たとえクマがどんな正体でも、ユキサンは認めてくれるクマ……?)
そこまで考えて、ブンブンとまた首を振った。
(ユキサンを疑うなんて、クマ一生の恥クマよ!
ユキサンが信じてくれるなら、クマも信じるだけクマ!)
「ユキサーン!!クマね!ユキサンを信じるクマよー!!」
大声で桜木に向かって叫べば、彼はゆっくりと振り向いて「そう」とやはり淡々と答える。
一人で戦っていて、今も猛攻をしている最中なのに、顔をゆっくりとこちらに向けて。
「じゃあハッター、もう終わらせようか。”メギドラオン”」
桜木が帽子屋の頭を撫でれば、帽子屋は頷き地面に巨大化したティーカップを投げつけた。
『…フ、自ら辛い道に往くか…それもまた……』
あっという間にシャドウは消滅し、代わりにクマの目の前にカードが形成される。
「んっ…はあ……久しぶりに大声出した……」
桜木は伸びをしてから、くるりとこちらに振り返った。
「……で、久慈川さん、大丈夫?みんなも、怪我無い?」
「あ……はい!大丈夫です!」
鳴上がそう頷くと、彼は久慈川に近づき姫抱きする。
「きゃあ!?」
「心配だし俺運ぶよ。皆も今日は疲れたでしょ、暗くなる前に帰りな」
「いや、一番戦ってたのユキさんだと思うんですけど……」
「つーか、聞きたい事沢山あるんですよこっちは!マヨナカテレビについて薄々何か分かってるとか、どーゆーことっすか!?」
苦笑した天城に被さるように花村が糾弾すれば、桜木は少し首を傾げてから「さあ」とだけ答えた。
「さあ、って……はあ!?」
「俺は何通りかの仮定を立てて、それを確かめてるだけ。
その中のどれが真実なのかは分からないけど、あのシャドウが言うならその中に真実があるだけだと思う」
「……えっと……どゆこと?」
「こういう人が犯人かな、とか、何十通りか考えてるからどれが真実に近いかは知らないよ」
言い直しながらかぶりを振って、そして彼は踵を返す。
「真実は容易く掴めない。それもひとつの真実だ。
だから今日は早く休みな」
ぼそりと呟かれた声は、やはりどこまでも淡々としていて、涼やかで。
呆気に取られた鳴上達も、慌ててその後を追うようにマヨナカテレビから戻っていった。