林間学校
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「しまった、料理長引いた……」
夕方。ユキはそう呟きながら、重箱ほどの大きさの荷物を両手で持って走っていた。
バイトから家に戻って弁当を作り、そしてそれを悠達に届けるためだ。
『万が一の時のためというか……ほんと、お願いします』
昨晩電話口から聞こえてきた、そんな情けない声。
その声の主はカレーの匂いがあちこちからするテーブルで、一人遠くを眺めていた。
「鳴上君。頼まれた通り色々作ってきたけど…って、何その屍」
「うおっ!?ユキさん!?」
近づいて声をかければ、陽介が驚いたようにこちらを向く。
そしてその手に持っているのを見て、「それ、なんすか?」と首をかしげた。
「えっと……カレーじゃないけど、唐揚げとか、卵焼きとか、おにぎりとか……色々」
「え?」
「昨日鳴上君から連絡あって、作って来いって」
遅かったかなとユキが首を傾げると、花村は今度はぶんぶんと横に振る。
「ん。じゃあ皆で食べていいよ。沢山あるし」
皆で。そう言えば、漸く悠が意識を取り戻してその重箱を受け取り広げた。
「それで、何があったんだ?」
「いや……ちょっと、女子のカレー料理が強烈過ぎて……」
「………?」
訳が分からずに陽介の指差した先をみると、黒煙……紫煙?が漂う鍋と、それを片付ける雪子達が目に入る。
するとああ、と納得したように呟き、その二人に近づいた。
「余り、俺が食おうか?」
「へ?」
「まだ、結構残ってるだろ」
まだよそられていない紙皿に余りのご飯とカレーらしきものをよそって、スプーンを使って口に放る。
何回か咀嚼し喉に押し込めば、ポソリと呟いた。
「隠し味が全然隠れてないな」
「う゛……」
「まあ、食えなくは無いからいいけど。二人も、俺持ってきたヤツ食ってていいよ」
「へ?」
「弁当。鳴上君達はもう食ってるから」
ユキがそう言って悠達をスプーンの先で示すと、二人はあ、と声を上げて彼等のほうに走る。
「ちょっと花村!アタシ達の分は!?」
「うおわっ!?あ、あるっつーの!」
「というか、ユキさんが沢山作って来てくれたから余裕だと思う」
悠がそう苦笑しながら言えば、二人は笑顔で弁当を頬張りだした。
ユキはそれを見ながら残りのカレーを黙々と食べていると、陽介が「大丈夫っスか?」と声をかける。
「それ、結構ヤバイ味だったと思うんスけど……」
「別に食えないほどではない」
「へ、へえ……」
これで二ヶ月食わなくても大丈夫かな、なんていう彼の呟きは聞こえず、四人はただ彼が寸胴を平らげるのを唖然と見つめていた。
夕方。ユキはそう呟きながら、重箱ほどの大きさの荷物を両手で持って走っていた。
バイトから家に戻って弁当を作り、そしてそれを悠達に届けるためだ。
『万が一の時のためというか……ほんと、お願いします』
昨晩電話口から聞こえてきた、そんな情けない声。
その声の主はカレーの匂いがあちこちからするテーブルで、一人遠くを眺めていた。
「鳴上君。頼まれた通り色々作ってきたけど…って、何その屍」
「うおっ!?ユキさん!?」
近づいて声をかければ、陽介が驚いたようにこちらを向く。
そしてその手に持っているのを見て、「それ、なんすか?」と首をかしげた。
「えっと……カレーじゃないけど、唐揚げとか、卵焼きとか、おにぎりとか……色々」
「え?」
「昨日鳴上君から連絡あって、作って来いって」
遅かったかなとユキが首を傾げると、花村は今度はぶんぶんと横に振る。
「ん。じゃあ皆で食べていいよ。沢山あるし」
皆で。そう言えば、漸く悠が意識を取り戻してその重箱を受け取り広げた。
「それで、何があったんだ?」
「いや……ちょっと、女子のカレー料理が強烈過ぎて……」
「………?」
訳が分からずに陽介の指差した先をみると、黒煙……紫煙?が漂う鍋と、それを片付ける雪子達が目に入る。
するとああ、と納得したように呟き、その二人に近づいた。
「余り、俺が食おうか?」
「へ?」
「まだ、結構残ってるだろ」
まだよそられていない紙皿に余りのご飯とカレーらしきものをよそって、スプーンを使って口に放る。
何回か咀嚼し喉に押し込めば、ポソリと呟いた。
「隠し味が全然隠れてないな」
「う゛……」
「まあ、食えなくは無いからいいけど。二人も、俺持ってきたヤツ食ってていいよ」
「へ?」
「弁当。鳴上君達はもう食ってるから」
ユキがそう言って悠達をスプーンの先で示すと、二人はあ、と声を上げて彼等のほうに走る。
「ちょっと花村!アタシ達の分は!?」
「うおわっ!?あ、あるっつーの!」
「というか、ユキさんが沢山作って来てくれたから余裕だと思う」
悠がそう苦笑しながら言えば、二人は笑顔で弁当を頬張りだした。
ユキはそれを見ながら残りのカレーを黙々と食べていると、陽介が「大丈夫っスか?」と声をかける。
「それ、結構ヤバイ味だったと思うんスけど……」
「別に食えないほどではない」
「へ、へえ……」
これで二ヶ月食わなくても大丈夫かな、なんていう彼の呟きは聞こえず、四人はただ彼が寸胴を平らげるのを唖然と見つめていた。