夜。
ユキは一人、完二のダンジョンにまた入っていた。
自分の推測の裏づけに必要な情報を見落としていないか確認しまた戻ってくると、ダンジョンの前に青い服を着た女性が立っていた。
「……誰」
「マーガレットよ。貴方の戦闘を、失礼ながら見させてもらったわ」
「マーガレットさん？それで、俺に何か？」
ユキが首を傾げると、マーガレットは「そうね」と口元に笑みを浮かべる。
「貴方には、何か特別な力を感じるの。
　お客人とはまた違った、特異な力……」
「……」
「少し、私のお相手をしていただけないかしら？
　この時間帯でしたら貴方も余裕がおありのようだし、勿論報酬はあるわ」
「…………まあ、手ごたえがあるのなら」
ユキは双剣を構え直し、コクリと頷いた。
するとマーガレットは「ありがとう」と頭を下げ、そして手に持っていた分厚い本を開く。

二つの青白い閃光が交差し、そして弾けた。