"当たり前"
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教室、購買、食堂、空き教室。
教師から上手く逃げながらそれらを見て回ると、見覚えのある女子生徒がゆっくりと階段を上へ上へと上っていくのが見えた。
その後を追えば、学校校舎の一番上にたどり着く。
―あ、いた。
里中さんと、花村君も一緒だ。
彼等は彼女を見て、そしてその後ろにいる俺を見て目を見開く。
「鳴上君、弁当」
「きゃあ!?」
彼女の後ろから鳴上君に向けて声を掛ければ、彼女はびくりと肩を震わせてこちらを振り返った。
「だ、誰!?って……ユキさん?」
「こんにちは」
ひらりと天城さんに手を振り、鳴上君に弁当を渡す。
「また忘れてたでしょ。……食べたくないならいいんだけど」
「すみません寝ぼけてて、ありがとうございます」
「わっ……」
鳴上君は驚くような速さで俺の手から弁当を受け取り、早速蓋を開けておにぎりを頬張り始めた。
これだけお腹が減っていたのであれば、もう少し量を増やすべきだったか。
そう考えながら彼の隣に腰を下ろすと、花村君がため息をつく。
「いいよなあ、鳴上は……俺も腹ペコだよ……」
「……花村君も、食べるか?」
「いや、流石に鳴上のをもらうのは……」
「そうじゃなくて、俺の分」
俺が自分の分に作ってきた弁当を出せば、花村君は目を瞬かせた。
「自分で食べるかなと思ったんだけど、やっぱり食欲わかなくて」
「え、いいんすか?」
「うん」
「あざーす!」
彼は笑顔で受け取り、鳴上君と同じように食べ始める。
俺はそれを見た後、やや茫然としている天城さんと里中さんに改めて挨拶した。
「こんにちは」
「あ、えっと……すみません。目、青でしたっけ?」
「赤い目だと、変に見られるからね」
特に何の変哲もない答えを返し、そういえばと天城さんが声を上げたのに顔を向ける。
「あの、送ってくださってありがとうございました。パーカー、後で鳴上君経由でお返ししますね」
「……捨てていいって」
「いえ。それと、……ユキさんにも、聞いてほしい話なんですけど」
彼女はそう言って、自分があの場所まで言った経緯を話し始めた。
とはいっても、玄関のチャイムで呼ばれたという記憶しか思い出せないようだったが。
「すみません……大した情報もなくて」
「別に」
それだけでも、十分の収穫だ。
俺は彼女の頭を撫でて、「あまり考え込むな」と呟いた。
「……え、あ、その、」
「自分が被害者になるなんて、大抵の人は直前まで思わないし気づけない。
周到に情報を得ようとするのは無茶に近い。だから、天城さんが気にする事じゃない」
―大体の人は、頭を撫でると大人しくなる。
本に書いてあったことをするとそのとおり、天城さんはただコクコクと頷いた。
「ん。じゃあ、俺そろそろ帰るね。またジュネス戻って、買い物しとかないと」
「あ、ユキさん。今日の晩御飯はなんですか?」
立ち上がり去ろうとすれば、鳴上君がそう尋ねてくる。
俺は顎に手を当てて、少し考えてから口を開いた。
「確か、卵が安売りしてたからオムライス……それと、マカロニのサラダかな?
卵、ふわふわとかたいのどっち好き?」
「ふわふわで」
「わかった。じゃあまたね」
言いながらフェンスに足をかけて、校舎の側面を落ちる。
「え、ちょっ……ここ屋上!!」
そんな声が上から聞こえたけれど、それより前に空中で4半回転してから綺麗に着地した。
「さて、下駄箱に戻るか」
パンパンと手を払って歩き出せば、暖かい陽から出来た影が後を追うように長くついてきていた。
教師から上手く逃げながらそれらを見て回ると、見覚えのある女子生徒がゆっくりと階段を上へ上へと上っていくのが見えた。
その後を追えば、学校校舎の一番上にたどり着く。
―あ、いた。
里中さんと、花村君も一緒だ。
彼等は彼女を見て、そしてその後ろにいる俺を見て目を見開く。
「鳴上君、弁当」
「きゃあ!?」
彼女の後ろから鳴上君に向けて声を掛ければ、彼女はびくりと肩を震わせてこちらを振り返った。
「だ、誰!?って……ユキさん?」
「こんにちは」
ひらりと天城さんに手を振り、鳴上君に弁当を渡す。
「また忘れてたでしょ。……食べたくないならいいんだけど」
「すみません寝ぼけてて、ありがとうございます」
「わっ……」
鳴上君は驚くような速さで俺の手から弁当を受け取り、早速蓋を開けておにぎりを頬張り始めた。
これだけお腹が減っていたのであれば、もう少し量を増やすべきだったか。
そう考えながら彼の隣に腰を下ろすと、花村君がため息をつく。
「いいよなあ、鳴上は……俺も腹ペコだよ……」
「……花村君も、食べるか?」
「いや、流石に鳴上のをもらうのは……」
「そうじゃなくて、俺の分」
俺が自分の分に作ってきた弁当を出せば、花村君は目を瞬かせた。
「自分で食べるかなと思ったんだけど、やっぱり食欲わかなくて」
「え、いいんすか?」
「うん」
「あざーす!」
彼は笑顔で受け取り、鳴上君と同じように食べ始める。
俺はそれを見た後、やや茫然としている天城さんと里中さんに改めて挨拶した。
「こんにちは」
「あ、えっと……すみません。目、青でしたっけ?」
「赤い目だと、変に見られるからね」
特に何の変哲もない答えを返し、そういえばと天城さんが声を上げたのに顔を向ける。
「あの、送ってくださってありがとうございました。パーカー、後で鳴上君経由でお返ししますね」
「……捨てていいって」
「いえ。それと、……ユキさんにも、聞いてほしい話なんですけど」
彼女はそう言って、自分があの場所まで言った経緯を話し始めた。
とはいっても、玄関のチャイムで呼ばれたという記憶しか思い出せないようだったが。
「すみません……大した情報もなくて」
「別に」
それだけでも、十分の収穫だ。
俺は彼女の頭を撫でて、「あまり考え込むな」と呟いた。
「……え、あ、その、」
「自分が被害者になるなんて、大抵の人は直前まで思わないし気づけない。
周到に情報を得ようとするのは無茶に近い。だから、天城さんが気にする事じゃない」
―大体の人は、頭を撫でると大人しくなる。
本に書いてあったことをするとそのとおり、天城さんはただコクコクと頷いた。
「ん。じゃあ、俺そろそろ帰るね。またジュネス戻って、買い物しとかないと」
「あ、ユキさん。今日の晩御飯はなんですか?」
立ち上がり去ろうとすれば、鳴上君がそう尋ねてくる。
俺は顎に手を当てて、少し考えてから口を開いた。
「確か、卵が安売りしてたからオムライス……それと、マカロニのサラダかな?
卵、ふわふわとかたいのどっち好き?」
「ふわふわで」
「わかった。じゃあまたね」
言いながらフェンスに足をかけて、校舎の側面を落ちる。
「え、ちょっ……ここ屋上!!」
そんな声が上から聞こえたけれど、それより前に空中で4半回転してから綺麗に着地した。
「さて、下駄箱に戻るか」
パンパンと手を払って歩き出せば、暖かい陽から出来た影が後を追うように長くついてきていた。