赤の城
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「こんにちは」
雨が降りそうな曇り空が、ガラス窓の向こうに見える。
桜木は病院の一室で、自分の主治医だという男に会っていた。
目の前の、優しい笑みを浮かべる男を見て、彼はゆっくりと頭を下げる。
「こんにちは。えっと…初めましてではないんです、よね。すみません。記憶がなくて」
「いや、大丈夫だよ。……青色の、カラコンを付けてるかな?」
医者に言われ、こくりと頷けば、「少しゴメンね」と指が顔に近づけられた。
「……これ、随分と安いものだね。買ったのかい?」
「いえ、持ってた荷物の中に入ってました」
それを聞き、医者はピシリと表情を固まらせる。
(もしかしなくても……内緒で使ってたな?)
あれほど、目は大事にするよう言っていたのに。
ため息をつきカルテに書いていけば、「あの、」と桜木から声をかけてきた。
「ん、何かな?」
「これ、俺が内緒で使ってたんでしょうか?」
「……だと思うな。俺が薦めてたのは、金色の少し高いやつだったから」
「…きん……」
「うん。ご両親も君に同じのを買っていたみたいだったから、そのままね。
多分君は、お金がかかるからってこっちを買ってたんだろうけど……安すぎると目が痛んじゃうから気をつけてね」
「はい」
桜木は素直に頷き、そしてもう医者の前でつける必要を感じなくなったのか、コンタクトを外してケースに入れる。
「じゃあ、とりあえず簡単な問診からしようか。
それで君の記憶が少しでも戻ればそれでよし、戻らなくても、君の病気がどれくらい治ってるか確認できるから」
「わかりました」
医者はカルテを持ちながら、彼に質問を始めた。
雨が降りそうな曇り空が、ガラス窓の向こうに見える。
桜木は病院の一室で、自分の主治医だという男に会っていた。
目の前の、優しい笑みを浮かべる男を見て、彼はゆっくりと頭を下げる。
「こんにちは。えっと…初めましてではないんです、よね。すみません。記憶がなくて」
「いや、大丈夫だよ。……青色の、カラコンを付けてるかな?」
医者に言われ、こくりと頷けば、「少しゴメンね」と指が顔に近づけられた。
「……これ、随分と安いものだね。買ったのかい?」
「いえ、持ってた荷物の中に入ってました」
それを聞き、医者はピシリと表情を固まらせる。
(もしかしなくても……内緒で使ってたな?)
あれほど、目は大事にするよう言っていたのに。
ため息をつきカルテに書いていけば、「あの、」と桜木から声をかけてきた。
「ん、何かな?」
「これ、俺が内緒で使ってたんでしょうか?」
「……だと思うな。俺が薦めてたのは、金色の少し高いやつだったから」
「…きん……」
「うん。ご両親も君に同じのを買っていたみたいだったから、そのままね。
多分君は、お金がかかるからってこっちを買ってたんだろうけど……安すぎると目が痛んじゃうから気をつけてね」
「はい」
桜木は素直に頷き、そしてもう医者の前でつける必要を感じなくなったのか、コンタクトを外してケースに入れる。
「じゃあ、とりあえず簡単な問診からしようか。
それで君の記憶が少しでも戻ればそれでよし、戻らなくても、君の病気がどれくらい治ってるか確認できるから」
「わかりました」
医者はカルテを持ちながら、彼に質問を始めた。