赤の城
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ポツリ、ポツリ。
頬や服に水滴が当たり、俺は顔を少し顰める。
―雨か。面倒だ。
パーカーを脱ぎ、まだ気を失っている彼女に被せてやった。
そして顔を見られないように俯き、出来る限り全速力で旅館に向かう。
案外早く着き入り口をガラガラと開ければ、「すみません」と通りすがりの仲居に声をかけた。
「え?」
「神社で倒れていたのを、見つけました」
俺はそう言って、上着を被せてた彼女を見せる。
すると仲居は驚いたように「雪子ちゃん!?」と叫び、その大声で彼女がうっすらと目を開けた。
「あれ……私……」
「雪子ちゃん、大丈夫!?怪我は!?」
「え……」
「…あの、とりあえず下ろせる場所ありませんか?俺、別に逃げないんで」
靴を脱いで濡れた髪を振るわせれば、女性は慌てて奥の部屋へと案内してくれた。
そこの座布団に彼女を座らせ、改めて彼女が倒れていた事、ニュースで顔を知っていたから連れてきた事をでっち上げて報告する。
仲居は疑いに満ちた目で俺を見、そして訊ねてきた。
「お名前は?見ない顔ですけれど、お住まいはどちらに?」
「桜木ユキ。ついこの前から商店街のはずれに住んでいます。住所と電話番号は……」
出来る限りの自分の情報を、仲居は手持ちのメモ帳に書き留める。
そして確認の為に携帯電話の番号にかかることを確認すると、突然若い仲居が襖を開けてきた。
「た、大変です!さっき、桔梗の間のお客様が……!」
頬や服に水滴が当たり、俺は顔を少し顰める。
―雨か。面倒だ。
パーカーを脱ぎ、まだ気を失っている彼女に被せてやった。
そして顔を見られないように俯き、出来る限り全速力で旅館に向かう。
案外早く着き入り口をガラガラと開ければ、「すみません」と通りすがりの仲居に声をかけた。
「え?」
「神社で倒れていたのを、見つけました」
俺はそう言って、上着を被せてた彼女を見せる。
すると仲居は驚いたように「雪子ちゃん!?」と叫び、その大声で彼女がうっすらと目を開けた。
「あれ……私……」
「雪子ちゃん、大丈夫!?怪我は!?」
「え……」
「…あの、とりあえず下ろせる場所ありませんか?俺、別に逃げないんで」
靴を脱いで濡れた髪を振るわせれば、女性は慌てて奥の部屋へと案内してくれた。
そこの座布団に彼女を座らせ、改めて彼女が倒れていた事、ニュースで顔を知っていたから連れてきた事をでっち上げて報告する。
仲居は疑いに満ちた目で俺を見、そして訊ねてきた。
「お名前は?見ない顔ですけれど、お住まいはどちらに?」
「桜木ユキ。ついこの前から商店街のはずれに住んでいます。住所と電話番号は……」
出来る限りの自分の情報を、仲居は手持ちのメモ帳に書き留める。
そして確認の為に携帯電話の番号にかかることを確認すると、突然若い仲居が襖を開けてきた。
「た、大変です!さっき、桔梗の間のお客様が……!」