助けたいと思うもの
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放課後。
朝は鼻息を荒くしていた里中も、授業を受ける中である程度は冷静になったようだった。
それでも赤い城を前にした途端駆け出し、桜木達は予想していた通り後を追う。
「はあ……速いなあ」
桜木は飛び出てくる敵を一瞬で蹴散らしながら、ため息をついた。
それに追いつこうとしている二人は既に肩で息をしていて、「も、むりだっつの……」と花村がぼやく。
「気配としては、もう少しで追いつくんだけど……あ、着いた」
彼は足を止め、扉を開く。
するとそこには里中と、もう一人の彼女が立っていて。
「花村君」
後は任せたというように名前を呼ぶと、スタスタともう一人の方に向かっていく。
「えっ?……ああ、今度俺っすかあ!!」
花村は何をすればいいのか察したのか、やや嘆きながらも里中に近づき「アンタなんか……っ」と言おうとしていた里中の口をふさいだ。
「んぐっ!?」
「里中、どーどー!」
『アタシの方が雪子よりずっと上なの!その優越感があったから、アタシはずっと友達でいられた!!』
「こら」
コツン。
シャドウに対し、桜木が頭を小突く。
シャドウは目を見開き、ゆっくりと彼に視線を合わせた。
「少し言い過ぎだ。落ち着け」
『……アンタに、何が分かるっていうのよ?』
「分かんないよ。でも、君が辛そうなのは分かる」
そう言うと、彼は以前花村のシャドウにしたのと同じように、彼女を抱きしめる。
「……大丈夫、大丈夫」
ぽんぽん、ぽんぽん。背中を優しく叩かれ、シャドウはポソリと何かを呟いた。
それに桜木は頷き、そして口を開く。
「シャドウ、暴れて」
瞬間、シャドウは完全に姿を変え、鳴上達は身構えた。
「援護はするから、行っておいで」
桜木の言葉に二人は頷き、そしてシャドウ向かって飛び出す。
桜木はゆっくりと里中に近づくと、両手を握った。
「…アタシ、サイテーだ。雪子を、こんな風に思ってた、なんて、」
「里中さん。確かに、友達に優越感を感じた事はあるかも知れない。
……でも、君は本当にそれだけで友達を続けてたの?」
「え……」
「優越感だけだったら、きっとその友達も気づいたんじゃないかな。
そうじゃない、君のもう一つの優しい本心を、その子が受け取っていたら?」
シャドウが言った言葉は真実であり、嘘だ。
彼がそう言うと里中は、「でも、アタシ……」と口ごもる。
「君の感情は綺麗なものじゃなかった。それは事実だ。
でも、丸っきり汚いものだったら、誰も寄ってこない」
「……」
「里中さん。君はどうしたい?
このまま、この気持ちと迷い続けたい?それとも……」
友達を、助けたい?
その言葉はスッと里中の心に入っていき、彼女は暫く俯いたあと、キッと顔を上げる。
「……アタシは、雪子を助けたいです!」
「そう。じゃあ、一緒に助けに行こう」
「はい!!」
彼女が頷くと同時に手のひらにカードが形成された。
それを確認してから、桜木は一気に振り返り双剣をシャドウにぶん投げる。
「とりゃー」
気の抜けそうな声。
けれどシャドウはその一撃で霧散し、桜木が剣を回収するのを三人は唖然として見守った。
彼は剣をしまうと、里中にまた近づいて膝裏と背中を支えて抱えあげる。
「う、うわぁ!?」
「疲れてるだろ。一旦戻るぞ」
そういって、スタスタと来た道を戻っていく。
「で、でも、雪子がまだ……!」
「一緒に助けに行くって言ったでしょ。君が疲れてちゃ意味無い」
ペシと額を叩かれ、里中はムッとしながらも黙った。
「明日も学校には行ってね」
「分かってますー……」
「てか、ユキさんの武器ってどこで手に入れたんすか?変形したりする武器なんて、そうそう……」
花村が一番気になっていた事を尋ねると、彼は「だいだら」と短く答える。
「へ?」
「だいだらで、30万くらいで買ったかな。他は軽そうだったし、これが一番丁度良かったから」
「さんじゅっ……」
「え、万?アタシらと単位ちがいすぎ……」
「変形するのは……わかんないけど、多分能力的な影響なんじゃないかな?
ブーメラン状とか、小型ナイフとか、まあ好きなように変えられるみたい」
「……高額料金は無視ですか……」
鳴上は流石に口元を引きつらせ、彼の双剣を見やる。
鞘までしっかりとつけられたそれは確かに頑丈そうで、「持ってみるか?」と言われて一本拝借した。
「っ……おっも……」
「え?マジ?……って、なんだこれ!?何キロあんだよ!?」
「………片方、3、4キロくらい?」
「………………どこからそんな筋力が……」
両側に平然と提げている桜木に、三人は唖然とするしかない。
それから「ほい」と里中を渡され、花村たちはその放心状態のまま桜木と別れた。
朝は鼻息を荒くしていた里中も、授業を受ける中である程度は冷静になったようだった。
それでも赤い城を前にした途端駆け出し、桜木達は予想していた通り後を追う。
「はあ……速いなあ」
桜木は飛び出てくる敵を一瞬で蹴散らしながら、ため息をついた。
それに追いつこうとしている二人は既に肩で息をしていて、「も、むりだっつの……」と花村がぼやく。
「気配としては、もう少しで追いつくんだけど……あ、着いた」
彼は足を止め、扉を開く。
するとそこには里中と、もう一人の彼女が立っていて。
「花村君」
後は任せたというように名前を呼ぶと、スタスタともう一人の方に向かっていく。
「えっ?……ああ、今度俺っすかあ!!」
花村は何をすればいいのか察したのか、やや嘆きながらも里中に近づき「アンタなんか……っ」と言おうとしていた里中の口をふさいだ。
「んぐっ!?」
「里中、どーどー!」
『アタシの方が雪子よりずっと上なの!その優越感があったから、アタシはずっと友達でいられた!!』
「こら」
コツン。
シャドウに対し、桜木が頭を小突く。
シャドウは目を見開き、ゆっくりと彼に視線を合わせた。
「少し言い過ぎだ。落ち着け」
『……アンタに、何が分かるっていうのよ?』
「分かんないよ。でも、君が辛そうなのは分かる」
そう言うと、彼は以前花村のシャドウにしたのと同じように、彼女を抱きしめる。
「……大丈夫、大丈夫」
ぽんぽん、ぽんぽん。背中を優しく叩かれ、シャドウはポソリと何かを呟いた。
それに桜木は頷き、そして口を開く。
「シャドウ、暴れて」
瞬間、シャドウは完全に姿を変え、鳴上達は身構えた。
「援護はするから、行っておいで」
桜木の言葉に二人は頷き、そしてシャドウ向かって飛び出す。
桜木はゆっくりと里中に近づくと、両手を握った。
「…アタシ、サイテーだ。雪子を、こんな風に思ってた、なんて、」
「里中さん。確かに、友達に優越感を感じた事はあるかも知れない。
……でも、君は本当にそれだけで友達を続けてたの?」
「え……」
「優越感だけだったら、きっとその友達も気づいたんじゃないかな。
そうじゃない、君のもう一つの優しい本心を、その子が受け取っていたら?」
シャドウが言った言葉は真実であり、嘘だ。
彼がそう言うと里中は、「でも、アタシ……」と口ごもる。
「君の感情は綺麗なものじゃなかった。それは事実だ。
でも、丸っきり汚いものだったら、誰も寄ってこない」
「……」
「里中さん。君はどうしたい?
このまま、この気持ちと迷い続けたい?それとも……」
友達を、助けたい?
その言葉はスッと里中の心に入っていき、彼女は暫く俯いたあと、キッと顔を上げる。
「……アタシは、雪子を助けたいです!」
「そう。じゃあ、一緒に助けに行こう」
「はい!!」
彼女が頷くと同時に手のひらにカードが形成された。
それを確認してから、桜木は一気に振り返り双剣をシャドウにぶん投げる。
「とりゃー」
気の抜けそうな声。
けれどシャドウはその一撃で霧散し、桜木が剣を回収するのを三人は唖然として見守った。
彼は剣をしまうと、里中にまた近づいて膝裏と背中を支えて抱えあげる。
「う、うわぁ!?」
「疲れてるだろ。一旦戻るぞ」
そういって、スタスタと来た道を戻っていく。
「で、でも、雪子がまだ……!」
「一緒に助けに行くって言ったでしょ。君が疲れてちゃ意味無い」
ペシと額を叩かれ、里中はムッとしながらも黙った。
「明日も学校には行ってね」
「分かってますー……」
「てか、ユキさんの武器ってどこで手に入れたんすか?変形したりする武器なんて、そうそう……」
花村が一番気になっていた事を尋ねると、彼は「だいだら」と短く答える。
「へ?」
「だいだらで、30万くらいで買ったかな。他は軽そうだったし、これが一番丁度良かったから」
「さんじゅっ……」
「え、万?アタシらと単位ちがいすぎ……」
「変形するのは……わかんないけど、多分能力的な影響なんじゃないかな?
ブーメラン状とか、小型ナイフとか、まあ好きなように変えられるみたい」
「……高額料金は無視ですか……」
鳴上は流石に口元を引きつらせ、彼の双剣を見やる。
鞘までしっかりとつけられたそれは確かに頑丈そうで、「持ってみるか?」と言われて一本拝借した。
「っ……おっも……」
「え?マジ?……って、なんだこれ!?何キロあんだよ!?」
「………片方、3、4キロくらい?」
「………………どこからそんな筋力が……」
両側に平然と提げている桜木に、三人は唖然とするしかない。
それから「ほい」と里中を渡され、花村たちはその放心状態のまま桜木と別れた。