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翌朝。
早朝に新聞を配達し、帰ってきた後すぐに遼太郎と足立の弁当を準備する。
結局”材料費くらいは提供する”と遼太郎がユキに無理矢理持たせた分で買った具材と、弁当を作るためだけに買った安物の炊飯器、それと適当に買った二人用の黒い弁当箱を出して調理を始めた。
味付けでこだわったりすることない平々凡々としたおかずと海苔を巻いた小さな俵飯を弁当箱に詰めていけば、少し熱を冷まして蓋をする。
それにひとつずつ箸箱をつけて布で包み、ふうと一息つくとまた外に出た。
(……苦手な食べ物とか聞いてないけど……まあ、食べれなかったら残してくれるだろ)
涼しい空気を吸い込みながら、稲羽署を目指す。
そして受付の女性に「すみません、足立さんと堂島さんにお願いします」と弁当を渡すと、女性は柔らかく微笑んで「ご苦労様です」とそれを受け取った。
「今日も、夕方頃容器を受け取りに?」
「はい。……忙しい中、食べられないものがあったら申し訳ないんですけど」
「いいえ、大丈夫ですよ。……ココだけの話、足立さんなんか、昨日散々苦手だって言ってたアスパラ、ちゃんと食べてたらしいですし」
「え」
ユキは目を丸くし、そして頭を掻く。
―アスパラが苦手なら今後は工夫する必要がありそうだ。
「……あの、苦手なものは無理してまで食べなくていいって言っておいてください。
嫌いなものがあるなら、せめて食べやすくなるよう工夫します」
そう告げれば、女性は目を丸くして、そしてくすくすと小さく笑った。
「いいえ、違うんですよ。無理して食べてたわけじゃなくて、おいしいって言ってたらしいです」
「……」
「あの人、最近ちゃんと食べてないっていつもぼやいてたんですよ。だから、大丈夫です」
「……そうですか。……じゃあ、失礼します」
ユキは小さく頭を下げて、そして走って稲羽署を後にする。
(早く朝ごはんと悠の弁当作らないと……まあ、まだ6時だから大丈夫か)
菜々子と悠が学校へ向かい、ユキは朝食の後片付けを終え始末を確認しようとすると、テーブルに紫色の弁当箱が置きっぱなしになっていることに気づいた。
「机の上に置き忘れるとか、間抜けか」
彼は箱を持ち上げて、目を細める。
「…鳴上君。これ忘れて昼どうするんだろう」
―幸い、今日はジュネスのバイトが早く終わる。
(帰ってくる途中で、学校に寄るか……)
弁当箱を持って、玄関を出る。
そしてつい先日遼太郎から受け取ったここの家の鍵を取り出し戸締りを確認すると、ゆっくりとした足取りでバイトへと向かった。
早朝に新聞を配達し、帰ってきた後すぐに遼太郎と足立の弁当を準備する。
結局”材料費くらいは提供する”と遼太郎がユキに無理矢理持たせた分で買った具材と、弁当を作るためだけに買った安物の炊飯器、それと適当に買った二人用の黒い弁当箱を出して調理を始めた。
味付けでこだわったりすることない平々凡々としたおかずと海苔を巻いた小さな俵飯を弁当箱に詰めていけば、少し熱を冷まして蓋をする。
それにひとつずつ箸箱をつけて布で包み、ふうと一息つくとまた外に出た。
(……苦手な食べ物とか聞いてないけど……まあ、食べれなかったら残してくれるだろ)
涼しい空気を吸い込みながら、稲羽署を目指す。
そして受付の女性に「すみません、足立さんと堂島さんにお願いします」と弁当を渡すと、女性は柔らかく微笑んで「ご苦労様です」とそれを受け取った。
「今日も、夕方頃容器を受け取りに?」
「はい。……忙しい中、食べられないものがあったら申し訳ないんですけど」
「いいえ、大丈夫ですよ。……ココだけの話、足立さんなんか、昨日散々苦手だって言ってたアスパラ、ちゃんと食べてたらしいですし」
「え」
ユキは目を丸くし、そして頭を掻く。
―アスパラが苦手なら今後は工夫する必要がありそうだ。
「……あの、苦手なものは無理してまで食べなくていいって言っておいてください。
嫌いなものがあるなら、せめて食べやすくなるよう工夫します」
そう告げれば、女性は目を丸くして、そしてくすくすと小さく笑った。
「いいえ、違うんですよ。無理して食べてたわけじゃなくて、おいしいって言ってたらしいです」
「……」
「あの人、最近ちゃんと食べてないっていつもぼやいてたんですよ。だから、大丈夫です」
「……そうですか。……じゃあ、失礼します」
ユキは小さく頭を下げて、そして走って稲羽署を後にする。
(早く朝ごはんと悠の弁当作らないと……まあ、まだ6時だから大丈夫か)
菜々子と悠が学校へ向かい、ユキは朝食の後片付けを終え始末を確認しようとすると、テーブルに紫色の弁当箱が置きっぱなしになっていることに気づいた。
「机の上に置き忘れるとか、間抜けか」
彼は箱を持ち上げて、目を細める。
「…鳴上君。これ忘れて昼どうするんだろう」
―幸い、今日はジュネスのバイトが早く終わる。
(帰ってくる途中で、学校に寄るか……)
弁当箱を持って、玄関を出る。
そしてつい先日遼太郎から受け取ったここの家の鍵を取り出し戸締りを確認すると、ゆっくりとした足取りでバイトへと向かった。