可能性の光
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何も入れられていない靴箱に、自分の外靴を入れる。
外見に少しだけ人の目が向けられているのを感じながら、それでも前を向いて廊下を歩いた。
鳴上達には、敢えて時間をずらすことは伝えていた。だから、話しかけてくる人はいない。
それでも、前より幾分と、呼吸は楽だった。
校長室と職員室に寄り、挨拶をしてから教室へ向かう。
ガラリと戸を開ければ、賑やかな声がほんの少し、静かになる
「えー……桜木君は、病気の療養で此方に越してきたんです。
一年学校に通っていなかったようで、君達よりは一つ上ですがね」
担任がそう説明しながら、自分の名前を書いていく。
「今まで様子を見ながら行事等に参加してもらっていたのですが、折角ですから最後の二ヶ月は学校に通うことになりました。是非、仲良くしてあげてください」
そう言って笑うと、自分の方を見た。
(笑顔、笑顔……)
「………桜木、ユキです。残り二ヶ月、よろしくお願いします」
声は大きすぎないように、動きはゆっくりと。
まばらだけどあたたかい拍手に囲まれて、俺はホッと息を吐いた。
昼休みを告げるチャイムが鳴って、鳴上達は揃って3年の教室に向かう。
するとそこにはもう久慈川、巽、白鐘がいて、鳴上達に気づくと手を振った。
「ユキさん、ここのクラスだったんだな」
「そうそう!でも、すぐ分かっちゃった。ほら、見て」
久慈川に言われ、全員で扉の前から教室を覗く。
窓際の席に、一際目を引く白い髪をした男子生徒が座っていた。
長い髪から覗く赤い瞳は煌々と輝き、手元の本に集中している。
「せっんぱーい!」
「……りせ?それに、悠達も……」
彼は目を見開き、本を仕舞って立ち上がる。
「何かあったっけ」と尋ねながら近寄ってきたその肩を持って、ぐいぐいと久慈川が教室の外へと連れ出した。
「一緒にお昼、食べましょー!ほらほら!」
「え、あ、その、まだそんなに食べられないし、いい……うわっ」
戻ろうとした桜木を、巽が俵のように担ぎ上げて阻止した。
「ユキさん、軽ぃっスよ。もっと食った方が良いっス」
「ナイス完二君!そのまま先輩離さないでよー!」
「うっす!」
里中達が一斉に屋上めがけて走り出し、巽も負けじとその後を追う。
「ちょ、あの、……っ!!?」
「ユキさん、これから毎日こうなるんで、慣れてください」
鳴上にそう言われ、桜木は少し困った顔をしながらため息をついた。
外見に少しだけ人の目が向けられているのを感じながら、それでも前を向いて廊下を歩いた。
鳴上達には、敢えて時間をずらすことは伝えていた。だから、話しかけてくる人はいない。
それでも、前より幾分と、呼吸は楽だった。
校長室と職員室に寄り、挨拶をしてから教室へ向かう。
ガラリと戸を開ければ、賑やかな声がほんの少し、静かになる
「えー……桜木君は、病気の療養で此方に越してきたんです。
一年学校に通っていなかったようで、君達よりは一つ上ですがね」
担任がそう説明しながら、自分の名前を書いていく。
「今まで様子を見ながら行事等に参加してもらっていたのですが、折角ですから最後の二ヶ月は学校に通うことになりました。是非、仲良くしてあげてください」
そう言って笑うと、自分の方を見た。
(笑顔、笑顔……)
「………桜木、ユキです。残り二ヶ月、よろしくお願いします」
声は大きすぎないように、動きはゆっくりと。
まばらだけどあたたかい拍手に囲まれて、俺はホッと息を吐いた。
昼休みを告げるチャイムが鳴って、鳴上達は揃って3年の教室に向かう。
するとそこにはもう久慈川、巽、白鐘がいて、鳴上達に気づくと手を振った。
「ユキさん、ここのクラスだったんだな」
「そうそう!でも、すぐ分かっちゃった。ほら、見て」
久慈川に言われ、全員で扉の前から教室を覗く。
窓際の席に、一際目を引く白い髪をした男子生徒が座っていた。
長い髪から覗く赤い瞳は煌々と輝き、手元の本に集中している。
「せっんぱーい!」
「……りせ?それに、悠達も……」
彼は目を見開き、本を仕舞って立ち上がる。
「何かあったっけ」と尋ねながら近寄ってきたその肩を持って、ぐいぐいと久慈川が教室の外へと連れ出した。
「一緒にお昼、食べましょー!ほらほら!」
「え、あ、その、まだそんなに食べられないし、いい……うわっ」
戻ろうとした桜木を、巽が俵のように担ぎ上げて阻止した。
「ユキさん、軽ぃっスよ。もっと食った方が良いっス」
「ナイス完二君!そのまま先輩離さないでよー!」
「うっす!」
里中達が一斉に屋上めがけて走り出し、巽も負けじとその後を追う。
「ちょ、あの、……っ!!?」
「ユキさん、これから毎日こうなるんで、慣れてください」
鳴上にそう言われ、桜木は少し困った顔をしながらため息をついた。