可能性の光
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クリスマス。
ありったけの料理を二人で準備して、桜木は皆を迎え入れた。
飾り付けは前日にクマ達がしていったから、少しはクリスマスの雰囲気が出ているだろう。
「わぁ……!すごいね!ごちそう、いっぱいだよ!」
菜々子は料理の数々に目を輝かせ、「ユキおにいちゃんが、ぜんぶ作ったの?」と尋ねる。
「俺と湊、二人で作ったよ。余ったら二人で晩ごはんに食べるから、気にしないで好きに食べてね」
「うん!湊おにいちゃんも、ありがとう!」
「っていうか、相変わらずお店の料理みたいなクオリティですね……」
「そう?」
「そうですよ!ほんとに1から作ったんですか!?いや、作ったんだろうけど……」
皆の言葉に、桜木は少しはにかみながら笑った。
「あまり作ってこなかったものも多いから、そこは料理本のまま作ったよ」
そう言ってエプロンを外すと、指輪のついたネックレスがキラリと揺れる。
「それじゃあリーダー、音頭をお願いします!」
花村にジュース入りの紙コップを手渡された鳴上は、皆に紙コップがいきわたったのを確認して口を開いた。
「菜々子ちゃんとユキさんの快復、それと事件の収束を祝して!乾杯!」
「「かんぱーい!!」」
各々が料理に舌鼓を打っている中。桜木は有里の隣でゆっくりと飲み物を飲む。
周りに囲まれたのは最初の方だけで、今は一人ずつ余興を見せたりしながら盛り上がっていた。
「湊と料理作るのなんて、初めて?」
「そうだね。ユキ、家庭科の授業も殆ど来なかったから」
「はは。……美鶴さん達は、元気にしてる?」
「うん。アイギスとコロ丸は、こないだ会ったけど」
「そうそう。二人にも心配かけたから、今度謝らないと。
……ねぇ、湊」
「ん?」
賑やかな空気を邪魔しないような声で、桜木は言う。
「俺、湊のいる大学、受けようと思ってるんだ」
「……本当?」
「うん。……此処にも思い出は出来たけど、帰る場所はやっぱり、あそこだから。
いつでも会いに行けるところに住みたいし」
「……そっか。皆には、後で?」
「来年、かな。悠には話したけど、後ちょっとだけ気になる事がある」
「気になる事?」
「……悠や足立さんが、ペルソナを発動した理由」
コップを脇に置いて、先程よりも小声で。
「……条件が、他の人と違うんだ。それに、アメノサギリがニュクスと似たように”呼ばれた”存在なら、”呼んだ相手”がいたはず。
今のところ攻撃してくる様子はないから、静かに探ってる」
「……ああ、あの人みたいな感じか」
「そう。ペルソナを与えてくるなんて、今回は人なのかも分からないけどね。
それが終わってから、皆に伝えるつもり」
「そっか」
「湊は、明日帰るんだよね?」
「うん。本当は年越しも、その後もずっと一緒に居たかったけど」
そう言って笑えば、桜木はまた顔を赤くした。
「……湊って、そんなにぐいぐい来る人だったっけ」
「ユキが気付かなかっただけだよ」
「……そう思っとく」
桜木は赤らんだ顔を手で仰ぎながら、「料理取ってくるね」とその場を離れた。
するとそれを見計らってか、鳴上が有里のところへと近づく。
「……」
「君達のこと、もう怒ってないから気にしなくていいよ」
何を言いだそうか悩んでいるのを察してか、有里が言う。
「寧ろ、ユキの記憶や感情を取り戻してくれたから、ありがとうって思ってる」
「……こちらこそ、協力ありがとうございました」
鳴上が頭を下げると、有里は「ユキの為だったからね」と笑った。
「ユキから聞いてるだろうけど、まだ全てが終わったわけじゃない。これから頑張るのは、正真正銘君達だけだよ」
「はい。今度はちゃんと、向き合います」
「なら良かった」
「……あれ、悠も湊も、何か話してた?」
手にサラダを載せた紙皿を持ち、桜木が首を傾げる。
「ちょっとね。面会に来た時にユキに抱き着いたのは、何の意図があったのかと思って」
「は?」
「へ?」
素っ頓狂な声が重なり、桜木が「意図なんてあったの?」と鳴上に尋ねる。
「い、いえ。そんなには……」
「そんなに?」
「……湊さんに対抗するには、それくらいがいいかな、と……」
「へーえ」
「?対抗……?」
ぐるぐる、ぐるぐる。
桜木の脳内回路が巡り巡って、一つの答えを導き出せたのか、少し後ずさった。
「……ごめん、なんか、自分が勘違いしてる気がする」
「いえ、その……」
「ユキの想像した答えで合ってると思うよ」
だから牽制したんだし。有里は言いながら、サラダを食べる。
「ユキ、あれだけ鈍感だったのに。成長したよね」
「……褒められてる気がしない」
「あはは……」
「……それで、本当なの?」
ぼそぼそと、呟くような声で桜木が聞く。
鳴上は頬をかきながら、「はい」と頷いた。
「湊さんを見てると、自分はまだまだだなって思いますけど……」
「……そっか。……そ、っか」
「ユキ?」
「……本当に、周りの事見れてなかったな、って、再確認」
心臓がうるさい。そう言いながら俯いた彼は、耳まで赤くなっていて。
「……脈ありですかね」
「譲らないよ?」
二人はそう言い合って、クスリと笑った。
ありったけの料理を二人で準備して、桜木は皆を迎え入れた。
飾り付けは前日にクマ達がしていったから、少しはクリスマスの雰囲気が出ているだろう。
「わぁ……!すごいね!ごちそう、いっぱいだよ!」
菜々子は料理の数々に目を輝かせ、「ユキおにいちゃんが、ぜんぶ作ったの?」と尋ねる。
「俺と湊、二人で作ったよ。余ったら二人で晩ごはんに食べるから、気にしないで好きに食べてね」
「うん!湊おにいちゃんも、ありがとう!」
「っていうか、相変わらずお店の料理みたいなクオリティですね……」
「そう?」
「そうですよ!ほんとに1から作ったんですか!?いや、作ったんだろうけど……」
皆の言葉に、桜木は少しはにかみながら笑った。
「あまり作ってこなかったものも多いから、そこは料理本のまま作ったよ」
そう言ってエプロンを外すと、指輪のついたネックレスがキラリと揺れる。
「それじゃあリーダー、音頭をお願いします!」
花村にジュース入りの紙コップを手渡された鳴上は、皆に紙コップがいきわたったのを確認して口を開いた。
「菜々子ちゃんとユキさんの快復、それと事件の収束を祝して!乾杯!」
「「かんぱーい!!」」
各々が料理に舌鼓を打っている中。桜木は有里の隣でゆっくりと飲み物を飲む。
周りに囲まれたのは最初の方だけで、今は一人ずつ余興を見せたりしながら盛り上がっていた。
「湊と料理作るのなんて、初めて?」
「そうだね。ユキ、家庭科の授業も殆ど来なかったから」
「はは。……美鶴さん達は、元気にしてる?」
「うん。アイギスとコロ丸は、こないだ会ったけど」
「そうそう。二人にも心配かけたから、今度謝らないと。
……ねぇ、湊」
「ん?」
賑やかな空気を邪魔しないような声で、桜木は言う。
「俺、湊のいる大学、受けようと思ってるんだ」
「……本当?」
「うん。……此処にも思い出は出来たけど、帰る場所はやっぱり、あそこだから。
いつでも会いに行けるところに住みたいし」
「……そっか。皆には、後で?」
「来年、かな。悠には話したけど、後ちょっとだけ気になる事がある」
「気になる事?」
「……悠や足立さんが、ペルソナを発動した理由」
コップを脇に置いて、先程よりも小声で。
「……条件が、他の人と違うんだ。それに、アメノサギリがニュクスと似たように”呼ばれた”存在なら、”呼んだ相手”がいたはず。
今のところ攻撃してくる様子はないから、静かに探ってる」
「……ああ、あの人みたいな感じか」
「そう。ペルソナを与えてくるなんて、今回は人なのかも分からないけどね。
それが終わってから、皆に伝えるつもり」
「そっか」
「湊は、明日帰るんだよね?」
「うん。本当は年越しも、その後もずっと一緒に居たかったけど」
そう言って笑えば、桜木はまた顔を赤くした。
「……湊って、そんなにぐいぐい来る人だったっけ」
「ユキが気付かなかっただけだよ」
「……そう思っとく」
桜木は赤らんだ顔を手で仰ぎながら、「料理取ってくるね」とその場を離れた。
するとそれを見計らってか、鳴上が有里のところへと近づく。
「……」
「君達のこと、もう怒ってないから気にしなくていいよ」
何を言いだそうか悩んでいるのを察してか、有里が言う。
「寧ろ、ユキの記憶や感情を取り戻してくれたから、ありがとうって思ってる」
「……こちらこそ、協力ありがとうございました」
鳴上が頭を下げると、有里は「ユキの為だったからね」と笑った。
「ユキから聞いてるだろうけど、まだ全てが終わったわけじゃない。これから頑張るのは、正真正銘君達だけだよ」
「はい。今度はちゃんと、向き合います」
「なら良かった」
「……あれ、悠も湊も、何か話してた?」
手にサラダを載せた紙皿を持ち、桜木が首を傾げる。
「ちょっとね。面会に来た時にユキに抱き着いたのは、何の意図があったのかと思って」
「は?」
「へ?」
素っ頓狂な声が重なり、桜木が「意図なんてあったの?」と鳴上に尋ねる。
「い、いえ。そんなには……」
「そんなに?」
「……湊さんに対抗するには、それくらいがいいかな、と……」
「へーえ」
「?対抗……?」
ぐるぐる、ぐるぐる。
桜木の脳内回路が巡り巡って、一つの答えを導き出せたのか、少し後ずさった。
「……ごめん、なんか、自分が勘違いしてる気がする」
「いえ、その……」
「ユキの想像した答えで合ってると思うよ」
だから牽制したんだし。有里は言いながら、サラダを食べる。
「ユキ、あれだけ鈍感だったのに。成長したよね」
「……褒められてる気がしない」
「あはは……」
「……それで、本当なの?」
ぼそぼそと、呟くような声で桜木が聞く。
鳴上は頬をかきながら、「はい」と頷いた。
「湊さんを見てると、自分はまだまだだなって思いますけど……」
「……そっか。……そ、っか」
「ユキ?」
「……本当に、周りの事見れてなかったな、って、再確認」
心臓がうるさい。そう言いながら俯いた彼は、耳まで赤くなっていて。
「……脈ありですかね」
「譲らないよ?」
二人はそう言い合って、クスリと笑った。