ただ一人の声
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「……」
7歳で、両親を亡くして。
残ったのはちょっとの遺産とからっぽの家、そして自分を憐れみ、あるいは蔑む目。
それでも、小さくて大きな約束を守る為に彼は我慢して生き続けたのだ。
例えもう叶わない願いの為の約束でも、叶えるべきだと信じたのだ。
もう一人の自分に、理不尽だと嘆く幼い、けれど当たり前の感情を全て押し付けて。
ただただ強く、強くあろうとしたのだ。
真っ直ぐに前を見、進もうとしたのだ。
……なんて、聡い子供なのだろう。
……なんと、哀れな子供なのだろう。
感情が収まらないのか嗚咽は止まることなく、涙が有里のシャツを濡らす。
「……そう、だよね。ユキさんは、ちっちゃい頃からずっと一人で戦ってたんだよね」
「当然といやあそうだけど……なんか、悲しいな」
「これがユキさんの”心の声”……つまり、本心」
「実際、先輩はずっと立ち止まったままだったんすね……無理矢理前を向いて、ひたすら戦って。……それってスゲーことだけど、その、……それだけ、俺達より辛い思いをいっぱいして」
「……泣く事が出来るほどの、安らぎの場もなかったのでしょう。噂で蔑まれ、目の前で親が死んだというショックと、叶えなければならない約束との間で、押し潰されまいとすることで精一杯だった……」
「ユキサンは、一度もクマ達に『助けて』って言ってないクマ……いつも一人で抱え込んで、ホントにどうにかしちゃうのは凄いクマよ?でもそれじゃあいつか壊れちゃうクマ……!」
「痛い、痛いよ……、やだ、一人に、しないで……」
「重いの、痛いの、もう、やだよ……っ」
桜木の顔は、もう涙でぐしゃぐしゃになっていた。
有里は腕に力をこめ、しっかりと抱きしめ言う。
「……ユキ、一人じゃない、僕がいるよ」
「っ、ひぐ、……湊……っ?」
「そう。君の居場所は、僕が作ってあげる。思い出も、今から沢山作ろう?」
「……いいの?」
「うん。辛かった分、これからどんどん楽しい事しよう。行きたいとこ、沢山行こう」
「……」
「約束した夏祭りも、ユキが行ってない場所も全部、連れて行ってあげる」
彼の涙を指で拭い、そして笑った。
「ユキ。僕は君が好きだ。君は生きていい。これからも、ずっと」
「………あ、りがと……っ」
7歳で、両親を亡くして。
残ったのはちょっとの遺産とからっぽの家、そして自分を憐れみ、あるいは蔑む目。
それでも、小さくて大きな約束を守る為に彼は我慢して生き続けたのだ。
例えもう叶わない願いの為の約束でも、叶えるべきだと信じたのだ。
もう一人の自分に、理不尽だと嘆く幼い、けれど当たり前の感情を全て押し付けて。
ただただ強く、強くあろうとしたのだ。
真っ直ぐに前を見、進もうとしたのだ。
……なんて、聡い子供なのだろう。
……なんと、哀れな子供なのだろう。
感情が収まらないのか嗚咽は止まることなく、涙が有里のシャツを濡らす。
「……そう、だよね。ユキさんは、ちっちゃい頃からずっと一人で戦ってたんだよね」
「当然といやあそうだけど……なんか、悲しいな」
「これがユキさんの”心の声”……つまり、本心」
「実際、先輩はずっと立ち止まったままだったんすね……無理矢理前を向いて、ひたすら戦って。……それってスゲーことだけど、その、……それだけ、俺達より辛い思いをいっぱいして」
「……泣く事が出来るほどの、安らぎの場もなかったのでしょう。噂で蔑まれ、目の前で親が死んだというショックと、叶えなければならない約束との間で、押し潰されまいとすることで精一杯だった……」
「ユキサンは、一度もクマ達に『助けて』って言ってないクマ……いつも一人で抱え込んで、ホントにどうにかしちゃうのは凄いクマよ?でもそれじゃあいつか壊れちゃうクマ……!」
「痛い、痛いよ……、やだ、一人に、しないで……」
「重いの、痛いの、もう、やだよ……っ」
桜木の顔は、もう涙でぐしゃぐしゃになっていた。
有里は腕に力をこめ、しっかりと抱きしめ言う。
「……ユキ、一人じゃない、僕がいるよ」
「っ、ひぐ、……湊……っ?」
「そう。君の居場所は、僕が作ってあげる。思い出も、今から沢山作ろう?」
「……いいの?」
「うん。辛かった分、これからどんどん楽しい事しよう。行きたいとこ、沢山行こう」
「……」
「約束した夏祭りも、ユキが行ってない場所も全部、連れて行ってあげる」
彼の涙を指で拭い、そして笑った。
「ユキ。僕は君が好きだ。君は生きていい。これからも、ずっと」
「………あ、りがと……っ」