ただ一人の声
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オルフェウスの一撃で、クロッカーがエレボスから離れる。クロッカーは限界だったのか、一度その場を離れ石像の前に腰を下ろした。
すると、エレボスに二つの顔が浮かび上がった。顔それぞれに角のようなものがついていて、全体的に黒いどろどろとしたものが渦巻いている。
「これが、本物のエレボスだ。準備はいいかい?」
望月は鳴上達に尋ねる。それに鳴上は頷いて、「勿論だ」と答えた。
「光と闇は効かないみたい……皆、頑張って!」
久慈川のナビが、空間に響き渡る。
それを合図に、彼らは戦い始めた。
「……俺の命が、代償だったら。
そうしたら、こんな事にならなかったかな」
戦っている姿を見ながら、ユキは言う。
「なんで、俺の答えは記憶だったんだろう。
なんで、生きてしまったんだろう」
ぽつり、ぽつり。
感情の乗らない声に、僕は答える。
「僕は、君が記憶を選んだ理由、何となくわかるよ」
「……?」
「君が家族と過ごした時間が、その記憶が、命よりも大切だったから」
そう言いながら、彼の手を取った。
「……君はさ、いつだって自分の事を蔑ろにしてた。
沢山のものを守って、救って、真っすぐに突き進んで」
「……それは……少しだけ、覚えてるけど」
「今だって、自分の記憶の事より鳴上君達の事を考えてるだろ?」
ユキの目が丸くなって、小さく頷く。
随分と、感情が出やすくなってる。だからこそ、今は一番脆い状態なんだろうけど。
「大丈夫。彼等だって、ずっと戦ってきたんだ。
すぐには倒せないかもしれないけど、どうにかしてくれるよ」
「……どうにかしてくれるって……
……悠達が傷つかなければ、どうなってもいいよ」
記憶が、二度と戻らなくたって。
そう言ったユキに、僕は「そっか」と言って前を向いた。
本当に危険になった時には、助太刀に入る。そういう計画を綾時としていたからだ。
(さて、どうなるか……)
エレボスの頭上に赤黒い光が集約されていき、それが放たれる度に呻き声が上がる。
「……綾時。回復くらいは手伝っていいか?」
「いいよ。皆を潰したくて此処に呼んだわけじゃないから」
それに頷いて、僕はポケットから地返しの玉を取り出し投げる。
これで、数人は回復できたはずだ。それでも、あまり今の状況でのこの状態は良くはない。
光はどんどん力を増す。その前に削り切らなければ、彼等は負ける。
「……もう、止めて……ッ」
それに気づいたのか、ユキはゆっくりと鳴上達に近づいて、その手からカードを出そうとする。
「悠、皆、もう、いいから……」
カードに向かって、手を伸ばそうとした、その瞬間。
すると、エレボスに二つの顔が浮かび上がった。顔それぞれに角のようなものがついていて、全体的に黒いどろどろとしたものが渦巻いている。
「これが、本物のエレボスだ。準備はいいかい?」
望月は鳴上達に尋ねる。それに鳴上は頷いて、「勿論だ」と答えた。
「光と闇は効かないみたい……皆、頑張って!」
久慈川のナビが、空間に響き渡る。
それを合図に、彼らは戦い始めた。
「……俺の命が、代償だったら。
そうしたら、こんな事にならなかったかな」
戦っている姿を見ながら、ユキは言う。
「なんで、俺の答えは記憶だったんだろう。
なんで、生きてしまったんだろう」
ぽつり、ぽつり。
感情の乗らない声に、僕は答える。
「僕は、君が記憶を選んだ理由、何となくわかるよ」
「……?」
「君が家族と過ごした時間が、その記憶が、命よりも大切だったから」
そう言いながら、彼の手を取った。
「……君はさ、いつだって自分の事を蔑ろにしてた。
沢山のものを守って、救って、真っすぐに突き進んで」
「……それは……少しだけ、覚えてるけど」
「今だって、自分の記憶の事より鳴上君達の事を考えてるだろ?」
ユキの目が丸くなって、小さく頷く。
随分と、感情が出やすくなってる。だからこそ、今は一番脆い状態なんだろうけど。
「大丈夫。彼等だって、ずっと戦ってきたんだ。
すぐには倒せないかもしれないけど、どうにかしてくれるよ」
「……どうにかしてくれるって……
……悠達が傷つかなければ、どうなってもいいよ」
記憶が、二度と戻らなくたって。
そう言ったユキに、僕は「そっか」と言って前を向いた。
本当に危険になった時には、助太刀に入る。そういう計画を綾時としていたからだ。
(さて、どうなるか……)
エレボスの頭上に赤黒い光が集約されていき、それが放たれる度に呻き声が上がる。
「……綾時。回復くらいは手伝っていいか?」
「いいよ。皆を潰したくて此処に呼んだわけじゃないから」
それに頷いて、僕はポケットから地返しの玉を取り出し投げる。
これで、数人は回復できたはずだ。それでも、あまり今の状況でのこの状態は良くはない。
光はどんどん力を増す。その前に削り切らなければ、彼等は負ける。
「……もう、止めて……ッ」
それに気づいたのか、ユキはゆっくりと鳴上達に近づいて、その手からカードを出そうとする。
「悠、皆、もう、いいから……」
カードに向かって、手を伸ばそうとした、その瞬間。