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次に入ったのは、コニシ酒店と銘打たれた店だった。
中に入ると帰ってきたばかりらしい女子生徒が仏頂面で座っていて、ユキの髪を見て驚いたような顔をする。
「料理酒…みりんとか、ある?」
彼がそう尋ねれば、彼女はハッと我に返り、指先を右側の棚に向けた。
「それはそっち」
「分かった」
ユキは少し迷ってから、安めのみりんと料理酒を一本ずつ手に取り、彼女に渡す。
会計を待っていると、彼女がぼそり、尋ねてきた。
「……ねえ、アンタさ」
「?」
「その髪、地毛なの?」
「ああ、気持ち悪いか?」
彼はなんてことないように訊ね返す。
「別に、”その反応”も”その目”も慣れてるから、何言われたって大丈夫だけど」
「違う、けど……ゴメン、少しだけ、気味悪いなって思った」
彼女は素直に謝り、「最近、越してきた人?」と瓶を袋に入れながら訊いた。
「うん」
「じゃあ、ジュネスってもう行ってみた?少し行ったとこにある、大きなテーマパークみたいなとこ」
「行った」
「…ココのみりんとか、醤油ってね、あそこより全然種類もないし、料金も高いんだよね。
だから、今までいたお客さん殆ど、向こうに取られてんの」
でもね。そう彼女は続ける。
「私はココも、ジュネスも好きなんだ。だから、アンタみたいな客が常連になってくれると嬉しい」
「……俺みたいな?」
「アンタみたいな、どっちにも肩入れし過ぎない人」
そう言われ、ユキは首を傾げた。
「………どこからその発想になった?」
「ジュネスに行ったのに、豆腐屋やココに来て、もの買ってくれてるからね」
ユキは手に持った豆腐屋の袋を確認し、成る程と目を細める。
すると彼女はくすくすと笑って、「最近さあ」と言葉を続けた。
「買ってくれる人も、親もさ、ジュネスをすごい目の敵にしてるし、それで私も色々言われちゃうんだよね」
「……ジュネスでバイトしてるとか?」
「そうそう。でも私、ココが好きで、潰れて欲しくないから働いてるんだーって。言い返せないんだけど、ずっと心の中で言い返してる。……って、何話してるんだろね、私」
「いや、何か慣れてるし、平気」
パッと口を手で押さえた彼女に、ユキは頭を掻きながら言う。
(……記憶がなくなる前も、こういうことあったのかな……)
「じゃあ、俺そろそろ行くから」
「うん。また来てよ。えっと……」
「桜木ユキ」
「桜木君。私、小西早紀。よろしくね」
早紀は手を振り、ユキも目を細めてから小さく手を振り返して出ていった。
中に入ると帰ってきたばかりらしい女子生徒が仏頂面で座っていて、ユキの髪を見て驚いたような顔をする。
「料理酒…みりんとか、ある?」
彼がそう尋ねれば、彼女はハッと我に返り、指先を右側の棚に向けた。
「それはそっち」
「分かった」
ユキは少し迷ってから、安めのみりんと料理酒を一本ずつ手に取り、彼女に渡す。
会計を待っていると、彼女がぼそり、尋ねてきた。
「……ねえ、アンタさ」
「?」
「その髪、地毛なの?」
「ああ、気持ち悪いか?」
彼はなんてことないように訊ね返す。
「別に、”その反応”も”その目”も慣れてるから、何言われたって大丈夫だけど」
「違う、けど……ゴメン、少しだけ、気味悪いなって思った」
彼女は素直に謝り、「最近、越してきた人?」と瓶を袋に入れながら訊いた。
「うん」
「じゃあ、ジュネスってもう行ってみた?少し行ったとこにある、大きなテーマパークみたいなとこ」
「行った」
「…ココのみりんとか、醤油ってね、あそこより全然種類もないし、料金も高いんだよね。
だから、今までいたお客さん殆ど、向こうに取られてんの」
でもね。そう彼女は続ける。
「私はココも、ジュネスも好きなんだ。だから、アンタみたいな客が常連になってくれると嬉しい」
「……俺みたいな?」
「アンタみたいな、どっちにも肩入れし過ぎない人」
そう言われ、ユキは首を傾げた。
「………どこからその発想になった?」
「ジュネスに行ったのに、豆腐屋やココに来て、もの買ってくれてるからね」
ユキは手に持った豆腐屋の袋を確認し、成る程と目を細める。
すると彼女はくすくすと笑って、「最近さあ」と言葉を続けた。
「買ってくれる人も、親もさ、ジュネスをすごい目の敵にしてるし、それで私も色々言われちゃうんだよね」
「……ジュネスでバイトしてるとか?」
「そうそう。でも私、ココが好きで、潰れて欲しくないから働いてるんだーって。言い返せないんだけど、ずっと心の中で言い返してる。……って、何話してるんだろね、私」
「いや、何か慣れてるし、平気」
パッと口を手で押さえた彼女に、ユキは頭を掻きながら言う。
(……記憶がなくなる前も、こういうことあったのかな……)
「じゃあ、俺そろそろ行くから」
「うん。また来てよ。えっと……」
「桜木ユキ」
「桜木君。私、小西早紀。よろしくね」
早紀は手を振り、ユキも目を細めてから小さく手を振り返して出ていった。