かつての友人達
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医者から、漸く許可が出た日。
他の皆には事情を説明して、自分ひとりでユキさんに会いに来た。
彼は既にベッドから起きていて、何か古い本を読んでいた顔をこちらに向ける。
「……悠?」
虚ろな目。
まっさらな表情。
変わらない声。
拘束具は解かれているものの、そばに置いてある精神安定剤の入った注射器は、いつでも自分で刺せるようにしてある。
「……あの、この前の事、その、」
「ごめんね」
「え、」
「気を遣わせちゃって……犯人探し、忙しいんでしょ?無理に来なくても大丈夫だからさ」
「そんな、事は、」
「俺はもう、退院したら直ぐに犯人に話を聞くよ」
ひとりで行動するって、決めたから。
彼は言外にそう言い、そして小さく付け足す。
「それに付いてきたいと思うなら、来るといい」
「……」
「“犯人は自分達で見つけ出す”んだろ?」
俺は、もう助っ人でもないけど。
君達が見つけることは、止めないよ。
ユキさんはそう言って、本に目を落とす。
「しばらくマヨナカテレビには行ってないけど、向こうは変わってない?」
「……霧が濃くなった、くらいで……」
「そう」
退院したら、シャドウも片づけなきゃね。
淡々とした声をただ聞いていると、扉が二回ノックされ、堂島さんの声がした。
「……ユキ、いるか?」
「遼太郎さん、入っていいよ」
堂島さんはゆっくりと入ってきて、そして自分を見て驚いた顔をする。
「悠……」
「少し話をしていただけだ。もう終わったから気にしないで。
それより、何?」
彼は本を閉じて尋ねる。
「……菜々子が、また息を吹き返した」
「……」
「まだ、目は覚まさないが……お前が、何かしたのか?」
「まだ何も。でも、そうか……遼太郎さん。俺を生田目に会わせてくれないか?」
「お前、その体でか……?」
「体なら、もういいんだ。外にいるなら、先生に言って外出届けとかを出して貰うし」
散歩だって、長時間できるようになったからね。ユキさんはそう言うと立ち上がり、堂島さんに向き直った。
「それよりも、菜々子ちゃんが目覚める前に、この件に相応のケリをつけたい」
それは、もう虚ろではなくて。
「……わかった。付いてこい」
病室から出ようとする彼らに、俺は何とか声を出す。
「ユキさ……」
「付いてきたいなら、付いてきてもいいよ」
ユキさんはいつも通りの声で、ただそれだけ言った。
他の皆には事情を説明して、自分ひとりでユキさんに会いに来た。
彼は既にベッドから起きていて、何か古い本を読んでいた顔をこちらに向ける。
「……悠?」
虚ろな目。
まっさらな表情。
変わらない声。
拘束具は解かれているものの、そばに置いてある精神安定剤の入った注射器は、いつでも自分で刺せるようにしてある。
「……あの、この前の事、その、」
「ごめんね」
「え、」
「気を遣わせちゃって……犯人探し、忙しいんでしょ?無理に来なくても大丈夫だからさ」
「そんな、事は、」
「俺はもう、退院したら直ぐに犯人に話を聞くよ」
ひとりで行動するって、決めたから。
彼は言外にそう言い、そして小さく付け足す。
「それに付いてきたいと思うなら、来るといい」
「……」
「“犯人は自分達で見つけ出す”んだろ?」
俺は、もう助っ人でもないけど。
君達が見つけることは、止めないよ。
ユキさんはそう言って、本に目を落とす。
「しばらくマヨナカテレビには行ってないけど、向こうは変わってない?」
「……霧が濃くなった、くらいで……」
「そう」
退院したら、シャドウも片づけなきゃね。
淡々とした声をただ聞いていると、扉が二回ノックされ、堂島さんの声がした。
「……ユキ、いるか?」
「遼太郎さん、入っていいよ」
堂島さんはゆっくりと入ってきて、そして自分を見て驚いた顔をする。
「悠……」
「少し話をしていただけだ。もう終わったから気にしないで。
それより、何?」
彼は本を閉じて尋ねる。
「……菜々子が、また息を吹き返した」
「……」
「まだ、目は覚まさないが……お前が、何かしたのか?」
「まだ何も。でも、そうか……遼太郎さん。俺を生田目に会わせてくれないか?」
「お前、その体でか……?」
「体なら、もういいんだ。外にいるなら、先生に言って外出届けとかを出して貰うし」
散歩だって、長時間できるようになったからね。ユキさんはそう言うと立ち上がり、堂島さんに向き直った。
「それよりも、菜々子ちゃんが目覚める前に、この件に相応のケリをつけたい」
それは、もう虚ろではなくて。
「……わかった。付いてこい」
病室から出ようとする彼らに、俺は何とか声を出す。
「ユキさ……」
「付いてきたいなら、付いてきてもいいよ」
ユキさんはいつも通りの声で、ただそれだけ言った。