暗転
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「……持ってきちゃったんだ」
望月は困ったように笑って、その子供に声をかけた。
少年は今にも目から大粒の涙を溢しそうな、くしゃくしゃな顔をしていて、手に持った懐中時計をぎゅっと握り込む。
「っく、おにいちゃたち、なんて、きらいだもん、ひっく、」
「………辛かったよね、ごめんね?」
「、んーん、わるいの、黒うさぎさんとのやくそくやぶった、ユキ、だから、」
「違うよ」
望月はゆっくりと彼に近づいて、抱きしめ言った。
「君も、ユキ君も、悪くない。……だから、もう自分を責めないで……?」
「っ、ふ、ぅ、……うあああぁぁぁああぁぁあん……!!」
嫌いになりたくなんて、なかったんだろう。
大好きで、大切にしたくて、だから、こんなに泣いている。
「……エレボスが、きた」
何かを感じ取ったのか、少年は顔を上げる。
「まもんなきゃ、みんなを、おにいちゃを、守んなきゃ……っ!!」
そう言って、扉の前に走って叫んだ。
「手出しなんて、ぜったいにさせない!来て、クロッカー!!」
『我は汝、汝は我……我は汝の誓いより出でし者、クロッカーなり』
声が空間に聞こえ、扉の向こうから、鋭い音が聞こえてくる。
けれどそれは一瞬で、すぐに異常事態が発生した。
『う、ぐ、ぁ』
「……く、ろっか…ぁ…?」
異変に気付いた少年は、扉をドンドンと叩いて反応を確かめる。
けれど、いつも返ってくる音が、今回は帰ってこない。
「!……耐えて、お願い………耐えて!!!」
倒してと言ってはいけないことを、記憶は理解していた。
そうしてしまえば、もっと取り返しのつかないことになる事を、理解していた。
クロッカーはエレボスに呑み込まれ、手を外に伸ばす。
『…湊……』
『たすけ、て、湊……おれを、た、すけ……』
「……ユキ?」
呼ばれた気がして、有里は帰路を振り返った。
しかし誰もいない。気のせいかとまた歩こうとして、正面に立っていた人物に目を丸くする。
「お前、は……」
「久しぶり、有里君」
望月は困ったように笑って、その子供に声をかけた。
少年は今にも目から大粒の涙を溢しそうな、くしゃくしゃな顔をしていて、手に持った懐中時計をぎゅっと握り込む。
「っく、おにいちゃたち、なんて、きらいだもん、ひっく、」
「………辛かったよね、ごめんね?」
「、んーん、わるいの、黒うさぎさんとのやくそくやぶった、ユキ、だから、」
「違うよ」
望月はゆっくりと彼に近づいて、抱きしめ言った。
「君も、ユキ君も、悪くない。……だから、もう自分を責めないで……?」
「っ、ふ、ぅ、……うあああぁぁぁああぁぁあん……!!」
嫌いになりたくなんて、なかったんだろう。
大好きで、大切にしたくて、だから、こんなに泣いている。
「……エレボスが、きた」
何かを感じ取ったのか、少年は顔を上げる。
「まもんなきゃ、みんなを、おにいちゃを、守んなきゃ……っ!!」
そう言って、扉の前に走って叫んだ。
「手出しなんて、ぜったいにさせない!来て、クロッカー!!」
『我は汝、汝は我……我は汝の誓いより出でし者、クロッカーなり』
声が空間に聞こえ、扉の向こうから、鋭い音が聞こえてくる。
けれどそれは一瞬で、すぐに異常事態が発生した。
『う、ぐ、ぁ』
「……く、ろっか…ぁ…?」
異変に気付いた少年は、扉をドンドンと叩いて反応を確かめる。
けれど、いつも返ってくる音が、今回は帰ってこない。
「!……耐えて、お願い………耐えて!!!」
倒してと言ってはいけないことを、記憶は理解していた。
そうしてしまえば、もっと取り返しのつかないことになる事を、理解していた。
クロッカーはエレボスに呑み込まれ、手を外に伸ばす。
『…湊……』
『たすけ、て、湊……おれを、た、すけ……』
「……ユキ?」
呼ばれた気がして、有里は帰路を振り返った。
しかし誰もいない。気のせいかとまた歩こうとして、正面に立っていた人物に目を丸くする。
「お前、は……」
「久しぶり、有里君」