皆ではしゃいで、歩いて、別れて。
帰ってきた家は、誰も暖房を付けてないからか、冷え切っていた。
リビングまで重い足を動かして、なんとか暖房をつけてテーブルに伏せる。

――いつしか。

家に帰ってきてもひとりでいることに慣れてしまっていたけれど。
お帰りなさいって言ってくれる人がいるのはすごく安心できて。

――でもなんだか今は

あの頃の自分に戻ったみたいだよ。

「ユキさん……」
ぽつり、呟く。
けれど、彼は来ない。
一体、何を考えているのだろうか。
あの人の記憶が戻ってからずっと、距離を感じ続けていて。
「どうしたらいいのか、分からないんです……」
静かなのに、その声は誰にも届かずに消えていった。