早朝の焦り
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配達員であり容疑者の、生田目を追いかけて。
トラック相手にパトカーでぶつかるなんて、我ながら無茶をしたものだ。
湊達は既に、テレビで『マヨナカテレビ』とやらに菜々子救出のため向かっていった。
残っているのはもたつきながら救急車を呼ぶ足立と、動けない自分だけ。
後はもう、あいつらに半信半疑ながら託すことしかできない。
辛うじて僅かに動く腕で携帯を操作し、あまりかけた事のない番号を押した。
何回かコール音をならせば、ぷつと音がしてノイズの多い声が届く。
『……遼太郎さん、なんですか?』
あともう少しで、忙しくなりそうなんですけど。そういう彼の声は変わらず、落ち着き払っている。
「……すまん」
まず、そう言った。
「ハハ……湊の言っていた事、本当に、突拍子もない話だったよ。
……でも、お前も同じなんだろ?」
『ええ。ちなみに、別の場所であった”ソレ”のお陰で、俺は自分の手で家族を殺しました。
だから、誰も俺を裁くことが出来ないんですよ。嫌な世界ですよね』
嫌な世界。
お前には、この世界がそう見えているのか。
「……そうか」
『別にアンタがどう思ってようと、俺はしたいことをします。
そうですね……俺の精神がぶっ壊れてほぼ死人と同義になってでも、菜々子ちゃんを助けます』
「……それは、やめろ……」
『は?』
「お前は……少しくらい自分を大事にしろっつってんだよ……」
『その言葉はそのままお返しします。生憎と、俺に家族はいないので。では』
一方的に切られた電話。
それに嘆息しながら、ふと気づく。
(あいつ、俺達とは家族じゃないんだな)
全員分の飯を、ほぼ毎日作って。
空いてる時間が多かったら、家事もやって。
菜々子の宿題を見て、悠の勉強を見て、2人が、あいつと遊んだことを嬉しそうに話題に出して。
言わずとも、家族だと思っていた。
けれど、言わなかったから、伝わってはいなかった。
(気持ちに寄り添ってない、か……)
一体あいつは、今、どんな気持ちなのだろうか。
トラック相手にパトカーでぶつかるなんて、我ながら無茶をしたものだ。
湊達は既に、テレビで『マヨナカテレビ』とやらに菜々子救出のため向かっていった。
残っているのはもたつきながら救急車を呼ぶ足立と、動けない自分だけ。
後はもう、あいつらに半信半疑ながら託すことしかできない。
辛うじて僅かに動く腕で携帯を操作し、あまりかけた事のない番号を押した。
何回かコール音をならせば、ぷつと音がしてノイズの多い声が届く。
『……遼太郎さん、なんですか?』
あともう少しで、忙しくなりそうなんですけど。そういう彼の声は変わらず、落ち着き払っている。
「……すまん」
まず、そう言った。
「ハハ……湊の言っていた事、本当に、突拍子もない話だったよ。
……でも、お前も同じなんだろ?」
『ええ。ちなみに、別の場所であった”ソレ”のお陰で、俺は自分の手で家族を殺しました。
だから、誰も俺を裁くことが出来ないんですよ。嫌な世界ですよね』
嫌な世界。
お前には、この世界がそう見えているのか。
「……そうか」
『別にアンタがどう思ってようと、俺はしたいことをします。
そうですね……俺の精神がぶっ壊れてほぼ死人と同義になってでも、菜々子ちゃんを助けます』
「……それは、やめろ……」
『は?』
「お前は……少しくらい自分を大事にしろっつってんだよ……」
『その言葉はそのままお返しします。生憎と、俺に家族はいないので。では』
一方的に切られた電話。
それに嘆息しながら、ふと気づく。
(あいつ、俺達とは家族じゃないんだな)
全員分の飯を、ほぼ毎日作って。
空いてる時間が多かったら、家事もやって。
菜々子の宿題を見て、悠の勉強を見て、2人が、あいつと遊んだことを嬉しそうに話題に出して。
言わずとも、家族だと思っていた。
けれど、言わなかったから、伝わってはいなかった。
(気持ちに寄り添ってない、か……)
一体あいつは、今、どんな気持ちなのだろうか。