未熟な家族
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
久しぶりに、夢を見た。
内容はあまり覚えていない。悪い夢ではなかったと思う。
布団を片付け少しカーテンを開ければ、まだ雨が降り続いていた。
(朝刊の配達して、お弁当と朝ごはんを作って、それから……)
同じ部屋で寝ていた菜々子ちゃんを起こさないように、けれど、置き手紙は忘れずに。
そうだ、人がいるから、戸締りもちゃんとしないといけない。
リビングで着替えながら、一つ一つの予定を形成していく。
コトン。
(……?)
滅多に鳴らない郵便受けから、そんな音がした。
気になって、気配がいなくなったのを確認し外に出る。
宛名の書かれていない封筒。紙が一枚、中に入っているだけのようだ。
「……」
中を一瞥し、そのままズボンのポケットにしまう。
「配達、行こう」
家の戸締りを確認してから、白い息の出る外のその向こうへと歩き出した。
慣れきった配達場所を巡り、丁寧に新聞を入れてまわって。
さて今日はなんのお弁当にしようと考えながら帰路に着くと、遼太郎さんが家の前で傘を手に立っていた。
「おはよう、遼太郎さん」
「……ああ、おはようさん」
「どうしたの?」
訊ねると、彼は少し言葉を迷ってから口を開く。
「昨日の、事だ」
「……あぁ、それ。ごめ、」
「すまなかった」
謝ろうとしたら、先に謝られて目を丸くした。
「家族の問題に、巻き込んじまって。……あんな事言われるまで、気付けなくてよ」
「……」
「あいつに、菜々子に、背負わせ過ぎちまった」
「……これから気をつければ、きっと大丈夫だよ」
こっちこそ、口悪くてごめんね。そう言って目を細める。
「今日のお弁当、鮭の塩焼きか鶏の照り焼きかで迷ってるんだけど、どっちがいい?」
「あ?……あー、鮭にしてくれ」
相変わらずだな、お前は。
そう苦笑されて、なんとなく、ほっとした。
(……大丈夫。俺も、いつも通りだ)
いつも通りやって、いつも通り考えて。
そうしてこの人達に、安心できる明日を。
内容はあまり覚えていない。悪い夢ではなかったと思う。
布団を片付け少しカーテンを開ければ、まだ雨が降り続いていた。
(朝刊の配達して、お弁当と朝ごはんを作って、それから……)
同じ部屋で寝ていた菜々子ちゃんを起こさないように、けれど、置き手紙は忘れずに。
そうだ、人がいるから、戸締りもちゃんとしないといけない。
リビングで着替えながら、一つ一つの予定を形成していく。
コトン。
(……?)
滅多に鳴らない郵便受けから、そんな音がした。
気になって、気配がいなくなったのを確認し外に出る。
宛名の書かれていない封筒。紙が一枚、中に入っているだけのようだ。
「……」
中を一瞥し、そのままズボンのポケットにしまう。
「配達、行こう」
家の戸締りを確認してから、白い息の出る外のその向こうへと歩き出した。
慣れきった配達場所を巡り、丁寧に新聞を入れてまわって。
さて今日はなんのお弁当にしようと考えながら帰路に着くと、遼太郎さんが家の前で傘を手に立っていた。
「おはよう、遼太郎さん」
「……ああ、おはようさん」
「どうしたの?」
訊ねると、彼は少し言葉を迷ってから口を開く。
「昨日の、事だ」
「……あぁ、それ。ごめ、」
「すまなかった」
謝ろうとしたら、先に謝られて目を丸くした。
「家族の問題に、巻き込んじまって。……あんな事言われるまで、気付けなくてよ」
「……」
「あいつに、菜々子に、背負わせ過ぎちまった」
「……これから気をつければ、きっと大丈夫だよ」
こっちこそ、口悪くてごめんね。そう言って目を細める。
「今日のお弁当、鮭の塩焼きか鶏の照り焼きかで迷ってるんだけど、どっちがいい?」
「あ?……あー、鮭にしてくれ」
相変わらずだな、お前は。
そう苦笑されて、なんとなく、ほっとした。
(……大丈夫。俺も、いつも通りだ)
いつも通りやって、いつも通り考えて。
そうしてこの人達に、安心できる明日を。