不参加の文化祭
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文化祭。
今日はこの地域で唯一とも言える高校の学校行事のせいか、ジュネスにくる人の数は夕方までまばらだった。
それでも夜が近づいてくれば、興奮冷めやらぬ子どもを連れた母親などの姿も多くなってくる。
俺はいつも通りのシフトの中で、陳列棚の空きを埋めながらまた考え込んでいた。
題は、文化祭中の”俺”の過ごし方の考察。
参考までに湊に連絡を取ると、「荒天で中止になったから、ユキがどう過ごす予定だったのかは分からない」と言っていた。
「もし暇なようだったら、誘うつもりだったけど」とも。
彼でも分からないのなら、推測するしかなかった。
自分の行動を、自分の、考えを。
その結果が、「文化祭へは行かない」ことだった。
参加しない。行かない。―あの輪に、入らない。
修学旅行から戻って、学校に行くこと自体は少し出来るようになってきたけれど。
それでも、この行きたくない原因が分かるまで学校の関係者には接触しすぎないほうがいい。
記憶を失う前の自分も、きっと何か理由があって「参加するかどうか不明」だったのだろうから。
それに、もし文化祭の最中に、その原因がはっきりと分かってしまうとして。
自分が月光館学園を見た時のように取り乱し、倒れない保証はどこにもないのだ。
もし取り乱してしまえば、きっと多くの人に迷惑がかかる。
校長先生にも、悠にも、……タイミングが悪ければ、遊びに行くと言っていた遼太郎さんや菜々子ちゃんにも。
(最悪の事態を回避できるのであれば、それに越したことはない)
それが、行かない最大の理由。
校長先生には、別の課題を提出することで文化祭の参加を免除してもらった。
(文化祭……)
本当は、少し、気になる。
それは事実だし、そして多分、戻ってきた感情の一部によるものなのだろう。
だけど、今はこうするしかない。
距離を置いて、見定めるしかない。
(……早く、治さないとな)
出来る限り、早く。
自分を把握して、理解して、あまりあの人達に必要のない迷惑をかけないように。
そして、ひとりで生きられるように。
「今日は上がっていいよ」という店長の声に、俺ははいと返してスタッフ専用口へ向かう。
携帯の着信を確認すれば、メール受信箱に悠達からの連絡が入っていた。
今日はこの地域で唯一とも言える高校の学校行事のせいか、ジュネスにくる人の数は夕方までまばらだった。
それでも夜が近づいてくれば、興奮冷めやらぬ子どもを連れた母親などの姿も多くなってくる。
俺はいつも通りのシフトの中で、陳列棚の空きを埋めながらまた考え込んでいた。
題は、文化祭中の”俺”の過ごし方の考察。
参考までに湊に連絡を取ると、「荒天で中止になったから、ユキがどう過ごす予定だったのかは分からない」と言っていた。
「もし暇なようだったら、誘うつもりだったけど」とも。
彼でも分からないのなら、推測するしかなかった。
自分の行動を、自分の、考えを。
その結果が、「文化祭へは行かない」ことだった。
参加しない。行かない。―あの輪に、入らない。
修学旅行から戻って、学校に行くこと自体は少し出来るようになってきたけれど。
それでも、この行きたくない原因が分かるまで学校の関係者には接触しすぎないほうがいい。
記憶を失う前の自分も、きっと何か理由があって「参加するかどうか不明」だったのだろうから。
それに、もし文化祭の最中に、その原因がはっきりと分かってしまうとして。
自分が月光館学園を見た時のように取り乱し、倒れない保証はどこにもないのだ。
もし取り乱してしまえば、きっと多くの人に迷惑がかかる。
校長先生にも、悠にも、……タイミングが悪ければ、遊びに行くと言っていた遼太郎さんや菜々子ちゃんにも。
(最悪の事態を回避できるのであれば、それに越したことはない)
それが、行かない最大の理由。
校長先生には、別の課題を提出することで文化祭の参加を免除してもらった。
(文化祭……)
本当は、少し、気になる。
それは事実だし、そして多分、戻ってきた感情の一部によるものなのだろう。
だけど、今はこうするしかない。
距離を置いて、見定めるしかない。
(……早く、治さないとな)
出来る限り、早く。
自分を把握して、理解して、あまりあの人達に必要のない迷惑をかけないように。
そして、ひとりで生きられるように。
「今日は上がっていいよ」という店長の声に、俺ははいと返してスタッフ専用口へ向かう。
携帯の着信を確認すれば、メール受信箱に悠達からの連絡が入っていた。