12番目のシャドウ
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「ウサギさん!ごめんなさい!」
「え」
怪我も完治し、久しぶりにタルタロスへとやってきたユキを待っていたのは、天田の謝罪の言葉だった。
ユキは首を傾げ、「何かした?」と口を開く。
「その……この前、命令無視して、しかも怪我を……」
「別に気にしてない。大体想像はついてたし。……それより、」
彼の言葉に被せるように言うと、ユキはスッとしゃがみこんで言った。
「復讐って、どうだった?」
「……いざ殺そうってなった時、頭が真っ白になりました」
天田はポツリと、呟くように答える。
「今まで、ただ殺そうってばっかり考えてて、……殺したら母さんが喜ぶのかって、そう考えたことなくて」
「うん」
「……それに、ウサギさんの言葉も思い出して、もしかして、荒垣さんもずっと辛かったんじゃないかって、わかんなくなって、……結局、僕は殺せなかったんだと思います」
「そっか」
ポン。頭に置かれた冷たい掌に、「子供じゃないんですよ」と天田が口を尖らせた。
「だから、僕……これからは、復讐の為じゃなく、僕の為に生きます。
僕の為に、強くなりたいです」
「……わかった。じゃあ俺は、それに協力することにしよう。
……あとコロ丸、背中は重いから乗らないで」
ユキは手を離してから、背中にのしかかってきたコロ丸に対しハアと息をついた。
コロ丸は「ワフッ」と鳴いて、素直に背中から降りる。
「にしても……胸を撃たれたと聞いていたが、本当に大丈夫なのか?」
「心臓からはちょっと外れてたらしくてね、ま、あの程度で死ぬつもりもなかったし」
桐条の言葉に肩を回しながら答え、「そういえば、次で最後の大型シャドウだったっけ?」と首を傾げた。
「は、はい。12のアルカナの最後……恐らく、刑死者が次の満月に現れます」
「多分次もストレガが邪魔しに来るだろうから、単独行動は避けて。
前回と前前回はどうにかなったけど、次は俺の内臓が危なくなるかもしれないし」
「それは、多分もう皆充分にわかったと思うよ?」
湊は苦笑して、ふと仲間たちを見る。
ユキは何気ない言葉だったようだが、皆表情を沈ませ俯いていた。
コロ丸だけは彼の周りをぴょこぴょこと嬉しそうに回っていて、彼もそれに息を吐く。
「……なんでコイツ、こんなに元気なわけ?」
「ワンッ!」
「『ここしばらく会えなくて寂しかった』と言っているであります!」
「…………あ、そ」
彼はワシャワシャとコロ丸の頭を撫でてやり、「これからバイトだから」とまた姿を消した。
「……次で、終わるんですよね?」
天田が、シンと静まったラウンジで口を開く。
湊は顔を俯かせ、「それは、分からない」と答えた。
「ウサギさん、何も言ってませんでしたけど……なんか、終わらなさそうな気がして……」
「でもよ、取り敢えず大型シャドウは倒すべきだろ?」
「伊織の言うとおりだ。ウサギの行動や発言には違和感があるが、今はそれを気にするべきではない」
「どうせアイツの事だ。全てが終われば何事も無かったかのように話すに決まっている」
「……そう、ですよね。まずは、倒さないと」
仲間が口々に『倒すべきだ』というも、その顔は不安に満ちている。
湊はため息をついて、ユキに”話していい”と言われていた最低限の事を言うために口を開いた。
「”例えこの戦いが終わりでも、はたまた何かの始まりだとしても、俺の約束はこの先にある”」
バッと全員が湊を見る。湊はそのまま、言葉を続けた。
「”迷う刃など必要ない。もしアンタ等全員が戦えないと武器を放棄しても、俺は一人で戦うために鍛えてきた”」
「”……ただ、アンタ等が『何の為に戦っていた』のかを、見つめ直す事にはなるだろうがな”」
―「この戦いは、長いようで短いんだよ」
ユキが病室のベッドの上で呟いた言葉を思い出しながら、彼はギュッと拳を握る。
「……戦おう」
そう一言言えば、仲間は決意した面持ちで頷いた。
「え」
怪我も完治し、久しぶりにタルタロスへとやってきたユキを待っていたのは、天田の謝罪の言葉だった。
ユキは首を傾げ、「何かした?」と口を開く。
「その……この前、命令無視して、しかも怪我を……」
「別に気にしてない。大体想像はついてたし。……それより、」
彼の言葉に被せるように言うと、ユキはスッとしゃがみこんで言った。
「復讐って、どうだった?」
「……いざ殺そうってなった時、頭が真っ白になりました」
天田はポツリと、呟くように答える。
「今まで、ただ殺そうってばっかり考えてて、……殺したら母さんが喜ぶのかって、そう考えたことなくて」
「うん」
「……それに、ウサギさんの言葉も思い出して、もしかして、荒垣さんもずっと辛かったんじゃないかって、わかんなくなって、……結局、僕は殺せなかったんだと思います」
「そっか」
ポン。頭に置かれた冷たい掌に、「子供じゃないんですよ」と天田が口を尖らせた。
「だから、僕……これからは、復讐の為じゃなく、僕の為に生きます。
僕の為に、強くなりたいです」
「……わかった。じゃあ俺は、それに協力することにしよう。
……あとコロ丸、背中は重いから乗らないで」
ユキは手を離してから、背中にのしかかってきたコロ丸に対しハアと息をついた。
コロ丸は「ワフッ」と鳴いて、素直に背中から降りる。
「にしても……胸を撃たれたと聞いていたが、本当に大丈夫なのか?」
「心臓からはちょっと外れてたらしくてね、ま、あの程度で死ぬつもりもなかったし」
桐条の言葉に肩を回しながら答え、「そういえば、次で最後の大型シャドウだったっけ?」と首を傾げた。
「は、はい。12のアルカナの最後……恐らく、刑死者が次の満月に現れます」
「多分次もストレガが邪魔しに来るだろうから、単独行動は避けて。
前回と前前回はどうにかなったけど、次は俺の内臓が危なくなるかもしれないし」
「それは、多分もう皆充分にわかったと思うよ?」
湊は苦笑して、ふと仲間たちを見る。
ユキは何気ない言葉だったようだが、皆表情を沈ませ俯いていた。
コロ丸だけは彼の周りをぴょこぴょこと嬉しそうに回っていて、彼もそれに息を吐く。
「……なんでコイツ、こんなに元気なわけ?」
「ワンッ!」
「『ここしばらく会えなくて寂しかった』と言っているであります!」
「…………あ、そ」
彼はワシャワシャとコロ丸の頭を撫でてやり、「これからバイトだから」とまた姿を消した。
「……次で、終わるんですよね?」
天田が、シンと静まったラウンジで口を開く。
湊は顔を俯かせ、「それは、分からない」と答えた。
「ウサギさん、何も言ってませんでしたけど……なんか、終わらなさそうな気がして……」
「でもよ、取り敢えず大型シャドウは倒すべきだろ?」
「伊織の言うとおりだ。ウサギの行動や発言には違和感があるが、今はそれを気にするべきではない」
「どうせアイツの事だ。全てが終われば何事も無かったかのように話すに決まっている」
「……そう、ですよね。まずは、倒さないと」
仲間が口々に『倒すべきだ』というも、その顔は不安に満ちている。
湊はため息をついて、ユキに”話していい”と言われていた最低限の事を言うために口を開いた。
「”例えこの戦いが終わりでも、はたまた何かの始まりだとしても、俺の約束はこの先にある”」
バッと全員が湊を見る。湊はそのまま、言葉を続けた。
「”迷う刃など必要ない。もしアンタ等全員が戦えないと武器を放棄しても、俺は一人で戦うために鍛えてきた”」
「”……ただ、アンタ等が『何の為に戦っていた』のかを、見つめ直す事にはなるだろうがな”」
―「この戦いは、長いようで短いんだよ」
ユキが病室のベッドの上で呟いた言葉を思い出しながら、彼はギュッと拳を握る。
「……戦おう」
そう一言言えば、仲間は決意した面持ちで頷いた。