復讐の代償
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乾いた銃声。天田を狙って撃たれた筈の銃弾は、それより数メートル前で止まった。
白い髪がはらりと舞い、ゴーグルを付けた青年は撃たれた胸を抑えながら膝を折る。
「っが、ぁ……」
「……ウサギ!?」
天田を庇うようにして立っていた荒垣は、驚いて彼に駆け寄る。
足が痛いが、それどころではない。天田も「そ、んな」とよろけながら彼に近づいた。
「おや、君はこの前の……腹立たしいタイミングで来ますね」
「誰があんた等の思い描くシナリオにさせるかよ…かはっ」
ユキは血を吐き、ギッとタカヤを睨む。
「ウサギさん!?大丈夫ですか!?ねえ!!」
「……あまり動かすな、逆に血が止まらない」
身体を揺すろうとする天田を手で制止し、ウサギは肩で息を整えた。
「はー……はー……げほごほ、っ!……チッ」
「お前、なんでこっちに来てんだよ!」
「……二年前の事件を、見てたから。大体、どうなるかわかってたし」
彼は荒垣に対しそう言い、不安そうに見つめてきた天田を見上げる。
「……け、ん君……」
「ウサギさん……?」
「俺は、真次郎、さんにも、君にも、生きてほし、い。
……それは、アンタ達の生きる理由には、ならない、かな、」
掠れた声で、言い聞かせるように囁く。
天田は「え……」と目を丸くし、荒垣はバッとウサギを見た。
「恨みを忘れろ、とか、言わないよ。でも、そんなに俯いてたら、お母さんが心配する……
……それに、二人が死ぬことは、仲間がきっと認めないだろう」
彼は両手を伸ばし彼等の頬を撫でると、グッと両足に力をこめ立ち上がり、タカヤを見据える。
「……タカヤって、いったっけ。……アンタは、悲しい目をしてるな」
「……は?」
「何か夢があって、でも、諦めざるをえなくて、全てが、つまらなくなって……そんな、目をしてる」
そう言うと、タカヤは初めて驚愕の表情を浮かべた。
「前に進めてないのはお前だって同じだ。……コイツ等と、何も変わらない」
「っそんなこと、あるわけが……っ!!」
「クロッカー、『メギドラオン』!」
タカヤが銃口を再び向け、それをウサギがペルソナで阻止する。
「ぐはっ……」
それによりタカヤは壁に打ち付けられ、銃は手から離れカシャンと地面に落ちた。
ウサギは彼に近づき、冷たい声で言い放つ。
「俺は、前を自身の手で”向かされた”、からな。そうじゃ、なかったら、とっくに、シャドウの餌食だ」
「……そう、ですか。あなたはやはり、私たちにとって厄介な相手のようだ」
「……早く、目の前から消えろ。今度は、外さない」
彼がそう告げると、タカヤは笑ってよろりと立ち上がり闇に消えていった。
途端、彼はふらふらと糸が切れたように前に向かって倒れこむ。
「ウサギ!」
「あ、血、抜けすぎたかも……やば……」
視界がぐらつく、ぼやける、頭が正常に作動している気がしない。
荒垣が彼を抱きかかえ、天田は血相を変えて湊達を呼びに行った。
「……銃弾が身体の中にある状態で、ディアは危険だと思う」
駆けつけた湊は、事情を聞いた後そう言った。
「そ、そっか、傷口塞ぐだけだから、残っちゃうかもしれないもんね」
「うん。取り敢えず、ウサギは病院に連れて行く。彼の事だから、保険証とかは身につけているだろうし」
影時間もすぐ終わる。彼は空を見上げて、そして視線を戻した。
「……荒垣先輩、一緒に来てもらえますか?」
「あ?……俺か?」
「念のため、私たちもついて行ったほうが……」
「ウサギの本名を知ってるのは僕らだけですから。……色々面倒事にならないように、僕らだけで行きます」
端的にそう伝えると、それならばと桐条は引き下がった。
「何か問題事があれば、すぐに伝えてくれ。……理事長に見つからないよう、手配はしておく」
「助かります。……行きましょう、荒垣先輩」
「……ああ」
荒垣は銃弾が突き抜けていたため岳羽にディアをかけてもらい、そのままヒョイとウサギを抱きかかえて湊と共に病院に走る。
「軽っ!?」
「あ、ユキはすごい軽いですよ。ロクに食べないので」
「……っくそ、軽いし、ほせーし、何でこんな奴が俺達なんかを……」
「……それは、彼に聞いた方が早いと思います」
やがて影時間も終わり、路地を抜けると真っ白な病院が目に入ってきた。
白い髪がはらりと舞い、ゴーグルを付けた青年は撃たれた胸を抑えながら膝を折る。
「っが、ぁ……」
「……ウサギ!?」
天田を庇うようにして立っていた荒垣は、驚いて彼に駆け寄る。
足が痛いが、それどころではない。天田も「そ、んな」とよろけながら彼に近づいた。
「おや、君はこの前の……腹立たしいタイミングで来ますね」
「誰があんた等の思い描くシナリオにさせるかよ…かはっ」
ユキは血を吐き、ギッとタカヤを睨む。
「ウサギさん!?大丈夫ですか!?ねえ!!」
「……あまり動かすな、逆に血が止まらない」
身体を揺すろうとする天田を手で制止し、ウサギは肩で息を整えた。
「はー……はー……げほごほ、っ!……チッ」
「お前、なんでこっちに来てんだよ!」
「……二年前の事件を、見てたから。大体、どうなるかわかってたし」
彼は荒垣に対しそう言い、不安そうに見つめてきた天田を見上げる。
「……け、ん君……」
「ウサギさん……?」
「俺は、真次郎、さんにも、君にも、生きてほし、い。
……それは、アンタ達の生きる理由には、ならない、かな、」
掠れた声で、言い聞かせるように囁く。
天田は「え……」と目を丸くし、荒垣はバッとウサギを見た。
「恨みを忘れろ、とか、言わないよ。でも、そんなに俯いてたら、お母さんが心配する……
……それに、二人が死ぬことは、仲間がきっと認めないだろう」
彼は両手を伸ばし彼等の頬を撫でると、グッと両足に力をこめ立ち上がり、タカヤを見据える。
「……タカヤって、いったっけ。……アンタは、悲しい目をしてるな」
「……は?」
「何か夢があって、でも、諦めざるをえなくて、全てが、つまらなくなって……そんな、目をしてる」
そう言うと、タカヤは初めて驚愕の表情を浮かべた。
「前に進めてないのはお前だって同じだ。……コイツ等と、何も変わらない」
「っそんなこと、あるわけが……っ!!」
「クロッカー、『メギドラオン』!」
タカヤが銃口を再び向け、それをウサギがペルソナで阻止する。
「ぐはっ……」
それによりタカヤは壁に打ち付けられ、銃は手から離れカシャンと地面に落ちた。
ウサギは彼に近づき、冷たい声で言い放つ。
「俺は、前を自身の手で”向かされた”、からな。そうじゃ、なかったら、とっくに、シャドウの餌食だ」
「……そう、ですか。あなたはやはり、私たちにとって厄介な相手のようだ」
「……早く、目の前から消えろ。今度は、外さない」
彼がそう告げると、タカヤは笑ってよろりと立ち上がり闇に消えていった。
途端、彼はふらふらと糸が切れたように前に向かって倒れこむ。
「ウサギ!」
「あ、血、抜けすぎたかも……やば……」
視界がぐらつく、ぼやける、頭が正常に作動している気がしない。
荒垣が彼を抱きかかえ、天田は血相を変えて湊達を呼びに行った。
「……銃弾が身体の中にある状態で、ディアは危険だと思う」
駆けつけた湊は、事情を聞いた後そう言った。
「そ、そっか、傷口塞ぐだけだから、残っちゃうかもしれないもんね」
「うん。取り敢えず、ウサギは病院に連れて行く。彼の事だから、保険証とかは身につけているだろうし」
影時間もすぐ終わる。彼は空を見上げて、そして視線を戻した。
「……荒垣先輩、一緒に来てもらえますか?」
「あ?……俺か?」
「念のため、私たちもついて行ったほうが……」
「ウサギの本名を知ってるのは僕らだけですから。……色々面倒事にならないように、僕らだけで行きます」
端的にそう伝えると、それならばと桐条は引き下がった。
「何か問題事があれば、すぐに伝えてくれ。……理事長に見つからないよう、手配はしておく」
「助かります。……行きましょう、荒垣先輩」
「……ああ」
荒垣は銃弾が突き抜けていたため岳羽にディアをかけてもらい、そのままヒョイとウサギを抱きかかえて湊と共に病院に走る。
「軽っ!?」
「あ、ユキはすごい軽いですよ。ロクに食べないので」
「……っくそ、軽いし、ほせーし、何でこんな奴が俺達なんかを……」
「……それは、彼に聞いた方が早いと思います」
やがて影時間も終わり、路地を抜けると真っ白な病院が目に入ってきた。