夏休み
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「映画祭りなんてあったんだね。バイト代がはずむわけだ」
映画チケットの半券を切りながらユキが言った言葉に、湊は「知らなかったの?」と返した。
「……そんなに、興味無かったし。時間があったらバイトしてたから」
ユキはそう言って、半券をピリピリと切って来場客に手渡す。
コロ丸が仲間に入って数日後。二人は同じ映画館のバイトを取っていた。
手際よく半券を切り、他の作業をしながら説明していくユキに遅れないように、頭の中に説明を叩き込んでいく。
「今日は人が多いから、一応、片付けは落し物やゴミにも注意して」
「うん」
ゴミ袋と火バサミを手に持って頷くと、彼も箒とチリトリを手にさっさと劇場の掃除を始めた。
映画祭りは無料という事もあってか沢山の客で賑わう代わりに、いつもより格段にマナーに目を光らせなければならないという。
「……湊は、映画よく見るの?」
ふと尋ねられ、少し考えたあと「そうだね」と返す。
「字幕なしの外国ものみたり、色々……ユキは?」
「……見たことがない、かな。時間もお金も、他につぎ込んでたし」
「…………そっか」
「うん。あ、そこ、落し物あるよ」
ユキがそう言って、スッと僕の目の前に乗り出す。
サラリと、地毛より少し長めの黒髪が彼の肩にかかっては落ちて、下を見ているからか綺麗で長い睫毛がよく見えた。
「ん。……俺の顔に何かついてるか?」
ジッと見すぎていたのか、彼は落し物であろうアクリルキーホルダーを手に首を傾げていて、僕は慌てて「なんでもない」と答える。
「そう。……それで、落し物はチケット販売をしてる人に見つけた場所と日時を伝えて預かってもらえば大丈夫だから」
「わかった。場所は、近くの席の番号も?」
「うん。そのほうが限定しやすいし、引き取りにきた人に確認できるからね。あと、落し物は大切に扱うこと」
クレームつけてくる人とかたまにいるからと言って、彼はキーホルダーを半透明の袋に入れて僕のバイト服のポケットに入れた。
「掃除が終わったら休憩だから、その時に行ってみて」
「わかった」
「じゃあ、続きやろうか」
彼は箒を手に、また作業を再開させる。
僕も紙くずを拾っては、ゴミ袋に詰め込んだ。
―彼と一緒にバイトをするのは、これで4個目だけれど。
ほぼ同じ持ち場である彼とは必然的に顔を合わせ、そして大体の確率で彼とペアになる。
彼はバイト経験も豊富で年も近いからか、どこの店でも信頼の置ける人物として存在しているらしい。
そんな彼の紹介で入ったため、自分に対する待遇もそこそこ良くて正直驚いた。
(ユキの迷惑にならないように、給料分頑張らなきゃな……)
「……同い年くらいで湊くらい真面目に取り組む人、初めて見た」
「え……そうなの?」
「同年代だと、皆交友関係にも時間使いたいらしくて。シフトも予めそれ考えて作ってるから。
もし湊も何かあったら、いつでも言ってね?」
「う、うん。…今サラッと言ったけど、もしかしてユキ……」
「ん?……ああ、バイトチーフだよ、俺」
「………ユキの顔に泥を塗らないよう、頑張るよ…」
「?」
映画チケットの半券を切りながらユキが言った言葉に、湊は「知らなかったの?」と返した。
「……そんなに、興味無かったし。時間があったらバイトしてたから」
ユキはそう言って、半券をピリピリと切って来場客に手渡す。
コロ丸が仲間に入って数日後。二人は同じ映画館のバイトを取っていた。
手際よく半券を切り、他の作業をしながら説明していくユキに遅れないように、頭の中に説明を叩き込んでいく。
「今日は人が多いから、一応、片付けは落し物やゴミにも注意して」
「うん」
ゴミ袋と火バサミを手に持って頷くと、彼も箒とチリトリを手にさっさと劇場の掃除を始めた。
映画祭りは無料という事もあってか沢山の客で賑わう代わりに、いつもより格段にマナーに目を光らせなければならないという。
「……湊は、映画よく見るの?」
ふと尋ねられ、少し考えたあと「そうだね」と返す。
「字幕なしの外国ものみたり、色々……ユキは?」
「……見たことがない、かな。時間もお金も、他につぎ込んでたし」
「…………そっか」
「うん。あ、そこ、落し物あるよ」
ユキがそう言って、スッと僕の目の前に乗り出す。
サラリと、地毛より少し長めの黒髪が彼の肩にかかっては落ちて、下を見ているからか綺麗で長い睫毛がよく見えた。
「ん。……俺の顔に何かついてるか?」
ジッと見すぎていたのか、彼は落し物であろうアクリルキーホルダーを手に首を傾げていて、僕は慌てて「なんでもない」と答える。
「そう。……それで、落し物はチケット販売をしてる人に見つけた場所と日時を伝えて預かってもらえば大丈夫だから」
「わかった。場所は、近くの席の番号も?」
「うん。そのほうが限定しやすいし、引き取りにきた人に確認できるからね。あと、落し物は大切に扱うこと」
クレームつけてくる人とかたまにいるからと言って、彼はキーホルダーを半透明の袋に入れて僕のバイト服のポケットに入れた。
「掃除が終わったら休憩だから、その時に行ってみて」
「わかった」
「じゃあ、続きやろうか」
彼は箒を手に、また作業を再開させる。
僕も紙くずを拾っては、ゴミ袋に詰め込んだ。
―彼と一緒にバイトをするのは、これで4個目だけれど。
ほぼ同じ持ち場である彼とは必然的に顔を合わせ、そして大体の確率で彼とペアになる。
彼はバイト経験も豊富で年も近いからか、どこの店でも信頼の置ける人物として存在しているらしい。
そんな彼の紹介で入ったため、自分に対する待遇もそこそこ良くて正直驚いた。
(ユキの迷惑にならないように、給料分頑張らなきゃな……)
「……同い年くらいで湊くらい真面目に取り組む人、初めて見た」
「え……そうなの?」
「同年代だと、皆交友関係にも時間使いたいらしくて。シフトも予めそれ考えて作ってるから。
もし湊も何かあったら、いつでも言ってね?」
「う、うん。…今サラッと言ったけど、もしかしてユキ……」
「ん?……ああ、バイトチーフだよ、俺」
「………ユキの顔に泥を塗らないよう、頑張るよ…」
「?」