夏休み
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「新しい仲間って……犬?」
「ワンワン!」
お祭りの翌日、寮に現れたユキはコロ丸を見てポツリと尋ねる。
コロ丸は相槌を打つように吠え、彼の胸元めがけて飛び込んだ。
彼は一歩後ずさりつつもコロ丸を受け止め、抱きかかえる。
「わっ……え、あの、……よろしく?」
「ワン!」
「よろしくお願いします、と言っているであります!」
アイギスがそう言うと、「ああ、言葉がわかるのか」と呟いてそのままコロ丸の頭を撫でた。
「挨拶はいいが、おろしていいか?少し暑い」
「クゥーン……」
「もう少しこのままがいい、だそうです!」
「…はあ」
ユキはコロ丸を抱えたままソファーに腰掛け、楽な姿勢で撫でるのを再開させる。
それを、同じくラウンジにいた順平達は唖然として見ていた。
「……あの人、腕力どんくらいあんだよ……?」
「コロ丸って、結構体重あったよね……?」
「っていうか、コロ丸も早速懐いてるし…」
「あ、舐めた」
コロ丸がユキの頬をべロリと舐め、ユキは「うひゃっ」と少し驚いたように声を上げる。
そして「こら」と小さく指先で額を弾くと、コロ丸は「ワフッ」と言って大人しくなった。
「……で、俺はいつこれから開放されるんだ?」
肩を竦め、膝の上に乗っかったまま動かないコロ丸を見る。
それに対し、湊が「これから、バイトでも?」と尋ねると、白い髪が縦に揺れた。
「まあ、すぐではないけど。課題も七月中に片付いてるから問題はないし」
その言葉に順平やゆかりは「「え!?」」と反応し、ずいと近づく。
「もう終わったんですか?え、てかどこの学校かもわかんないんですけど……本当に?」
「……何でそこまで驚く必要がある?バイトの合間にやれば終わる量だったし、早く終わらせて損をするものでもないだろう?」
ユキはコロ丸を撫でながら淡々と答え、小さく首を傾げた。
「湊だって、もう終わってたよな?この前言っていたが」
「……ああ、まあ」
「ちっくしょー!裏切りだー!有里も俺と同じ最終日組だと信じてたのにー!」
「…課題はせめて、計画性を持って終わらせろよ」
ため息をつかれ、順平は「わぁってますよー……」と一気に落ち込んだ表情になる。
「ワンッ!」
「コロ丸さんが、『後回しにせず、今から始めるべきだ』、とおっしゃっています!」
「犬にまでダメだし食らった!?……ハイハイ、じゃあちょっとやってきますー……」
「あ、あたしも……」
そう言ってゆかりたちが消えると、ユキはハアと息を吐いてコロ丸を撫でる。
「アイツ等……あれでタルタロス探索に支障が出ても、俺は何もしないからな?」
「……まあ、その時はまず最初に桐条先輩が注意するから…」
「ワフッ」
「『自分も注意するから心配はいらない』、だそうです」
「そうか……というか、暑い。お前はそろそろ離れてくれ」
「クゥーン……」
「……そんな目で見たところで変わらないぞ。というか、外から来たばかりだから、俺汗臭いと思うんだけど」
「ワンワンッ」
目を細めるユキにコロ丸は首を振り、クンクンと彼の首元を嗅ぐ。
そして尻尾をパタパタと振らせると、アイギスが「臭くない、寧ろ落ち着く匂いだ、だそうです」と律儀に翻訳した。
「……汗の匂いが?」
「いえ、ウサギさん本体の匂いの事かと思われます。コロ丸さんは非常に上機嫌です」
「………そんなに、気にしたことないんだけど……」
ユキが首を傾れば、ぼふっとコロ丸が彼の右肩に顎を乗っけるようにして体重をかける。
湊は隣に座りながら、「凄い懐かれてるね」とお茶を出しながら苦笑した。
「僕らでも、撫でるくらいしかしてないけど……出会い頭飛び込まれるって、もしかして動物に好かれるタイプ?」
「…さあ。新聞配達の途中によく野良猫が肩に乗ってくるくらいかな」
「うん、相当好かれてるね」
「ワンっ!」
「……そうなの?…あ、こら、ゴーグル外そうとするな」
あぐあぐと彼のかけたゴーグルの紐にじゃれるコロ丸に、彼は額を叩いて止めさせる。
コロ丸は悲しそうに口を離したが、またボスンと肩に顎をのせ瞼を下ろした。
「暑い……」
ユキはもうのけるのを諦めたのか、お茶を口にしてはその頭をまた撫ではじめる。
その様子を、アイギスは不思議そうに眺めていた。
「ウサギさん、暑いのならコロ丸さんを引き剥がせばいいのではないのですか?」
すると彼は目を細め、「そうなんだけどな」と口を開く。
「別に、こうされる事自体が嫌というわけではないし、コイツが満足するまで待つかと思って」
「嫌ではない?つまり、好き、という事でしょうか?」
「両極端だな……。どっちでもない、普通だ」
会話も面倒になったのか、コロ丸の頭に顔を埋めて答え始める。
コロ丸は嬉しそうに尻尾を振り、「ワフッ」と鳴いた。
「好きと、嫌いの中間は、普通……なるほどなー」
アイギスはふむふむと頷いて、「データ、更新しました」と敬礼する。
「ところで、お時間は大丈夫でしょうか?」
「……ん。じゃあそろそろ行く。……コロ丸、離れろ」
彼がポンポンと背中を叩くと、コロ丸はヒョイと彼の膝から降りてハッハッと舌を出した。
その頭をかいぐり、ユキは立ち上がって軽く服についた毛を払う。
「ウサギ、今夜、タルタロスに行く予定なんだけど……」
「そうか。じゃ、また夜にね」
小さく手を振って、彼は外へと出て行った。
「ワンワン!」
お祭りの翌日、寮に現れたユキはコロ丸を見てポツリと尋ねる。
コロ丸は相槌を打つように吠え、彼の胸元めがけて飛び込んだ。
彼は一歩後ずさりつつもコロ丸を受け止め、抱きかかえる。
「わっ……え、あの、……よろしく?」
「ワン!」
「よろしくお願いします、と言っているであります!」
アイギスがそう言うと、「ああ、言葉がわかるのか」と呟いてそのままコロ丸の頭を撫でた。
「挨拶はいいが、おろしていいか?少し暑い」
「クゥーン……」
「もう少しこのままがいい、だそうです!」
「…はあ」
ユキはコロ丸を抱えたままソファーに腰掛け、楽な姿勢で撫でるのを再開させる。
それを、同じくラウンジにいた順平達は唖然として見ていた。
「……あの人、腕力どんくらいあんだよ……?」
「コロ丸って、結構体重あったよね……?」
「っていうか、コロ丸も早速懐いてるし…」
「あ、舐めた」
コロ丸がユキの頬をべロリと舐め、ユキは「うひゃっ」と少し驚いたように声を上げる。
そして「こら」と小さく指先で額を弾くと、コロ丸は「ワフッ」と言って大人しくなった。
「……で、俺はいつこれから開放されるんだ?」
肩を竦め、膝の上に乗っかったまま動かないコロ丸を見る。
それに対し、湊が「これから、バイトでも?」と尋ねると、白い髪が縦に揺れた。
「まあ、すぐではないけど。課題も七月中に片付いてるから問題はないし」
その言葉に順平やゆかりは「「え!?」」と反応し、ずいと近づく。
「もう終わったんですか?え、てかどこの学校かもわかんないんですけど……本当に?」
「……何でそこまで驚く必要がある?バイトの合間にやれば終わる量だったし、早く終わらせて損をするものでもないだろう?」
ユキはコロ丸を撫でながら淡々と答え、小さく首を傾げた。
「湊だって、もう終わってたよな?この前言っていたが」
「……ああ、まあ」
「ちっくしょー!裏切りだー!有里も俺と同じ最終日組だと信じてたのにー!」
「…課題はせめて、計画性を持って終わらせろよ」
ため息をつかれ、順平は「わぁってますよー……」と一気に落ち込んだ表情になる。
「ワンッ!」
「コロ丸さんが、『後回しにせず、今から始めるべきだ』、とおっしゃっています!」
「犬にまでダメだし食らった!?……ハイハイ、じゃあちょっとやってきますー……」
「あ、あたしも……」
そう言ってゆかりたちが消えると、ユキはハアと息を吐いてコロ丸を撫でる。
「アイツ等……あれでタルタロス探索に支障が出ても、俺は何もしないからな?」
「……まあ、その時はまず最初に桐条先輩が注意するから…」
「ワフッ」
「『自分も注意するから心配はいらない』、だそうです」
「そうか……というか、暑い。お前はそろそろ離れてくれ」
「クゥーン……」
「……そんな目で見たところで変わらないぞ。というか、外から来たばかりだから、俺汗臭いと思うんだけど」
「ワンワンッ」
目を細めるユキにコロ丸は首を振り、クンクンと彼の首元を嗅ぐ。
そして尻尾をパタパタと振らせると、アイギスが「臭くない、寧ろ落ち着く匂いだ、だそうです」と律儀に翻訳した。
「……汗の匂いが?」
「いえ、ウサギさん本体の匂いの事かと思われます。コロ丸さんは非常に上機嫌です」
「………そんなに、気にしたことないんだけど……」
ユキが首を傾れば、ぼふっとコロ丸が彼の右肩に顎を乗っけるようにして体重をかける。
湊は隣に座りながら、「凄い懐かれてるね」とお茶を出しながら苦笑した。
「僕らでも、撫でるくらいしかしてないけど……出会い頭飛び込まれるって、もしかして動物に好かれるタイプ?」
「…さあ。新聞配達の途中によく野良猫が肩に乗ってくるくらいかな」
「うん、相当好かれてるね」
「ワンっ!」
「……そうなの?…あ、こら、ゴーグル外そうとするな」
あぐあぐと彼のかけたゴーグルの紐にじゃれるコロ丸に、彼は額を叩いて止めさせる。
コロ丸は悲しそうに口を離したが、またボスンと肩に顎をのせ瞼を下ろした。
「暑い……」
ユキはもうのけるのを諦めたのか、お茶を口にしてはその頭をまた撫ではじめる。
その様子を、アイギスは不思議そうに眺めていた。
「ウサギさん、暑いのならコロ丸さんを引き剥がせばいいのではないのですか?」
すると彼は目を細め、「そうなんだけどな」と口を開く。
「別に、こうされる事自体が嫌というわけではないし、コイツが満足するまで待つかと思って」
「嫌ではない?つまり、好き、という事でしょうか?」
「両極端だな……。どっちでもない、普通だ」
会話も面倒になったのか、コロ丸の頭に顔を埋めて答え始める。
コロ丸は嬉しそうに尻尾を振り、「ワフッ」と鳴いた。
「好きと、嫌いの中間は、普通……なるほどなー」
アイギスはふむふむと頷いて、「データ、更新しました」と敬礼する。
「ところで、お時間は大丈夫でしょうか?」
「……ん。じゃあそろそろ行く。……コロ丸、離れろ」
彼がポンポンと背中を叩くと、コロ丸はヒョイと彼の膝から降りてハッハッと舌を出した。
その頭をかいぐり、ユキは立ち上がって軽く服についた毛を払う。
「ウサギ、今夜、タルタロスに行く予定なんだけど……」
「そうか。じゃ、また夜にね」
小さく手を振って、彼は外へと出て行った。