―正直、図星だった。

平凡な日常にうんざりしてて、正義のヒーローみたいだななんて思ってて。
ウサギサンが完全に違う理由で動いてるのは知ってたけど、あそこまで揺るぎないものなんだって知らなくて。
（つーか、そっか……あの人は、噂のせいで俺っちたちみたいな日常、送れてないのか）
白くて、嘘みたいにサラサラな髪。いつだって迷いなく俺達を導く、真っ直ぐな言葉。
あの人を構成しているのは、あの人自身の強さなのだと、改めて気づかされた。
（戦いが終わったら、死ぬ、なんてさ……フツー言えねえって）
でも、有り得ない話じゃない。
だって俺らは、今”世界と戦うヒーロー”なんだから。
世界を救った代償があったって、不思議じゃない。
（でも……死んで欲しくねーな）
せめて、せめてあの人にも、退屈な日常を送らせてやれねーのかとか。
噂なんて何もない土地で、幸せにできねーのか、とか。
（……無力だな、俺は）
手を見て、握りしめて。
今日だって、ペルソナを召喚出来なかった。
ウサギサンがゆかりっちと俺を庇ってくれて、何とか怪我しなかったようなものだ。
『努力をバカに出来る人間はいない』
「……じゃあさ、桜木」

お前や、ウサギサンの努力を、一体誰が認めてやれたんだよ？
お前らはいつも一人で、当たり前のようにしてるけど。

（……俺っちが、認めてやる）
ちゃんと『やったな！』って隣に立って笑って、一緒にいて恥ずかしくないくらいまで強くなってやるから。
「……よっし、俺っちも、一肌脱いじゃいますか！」