戦う意味
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8月6日、旧陸軍施設。
何度目の満月だか、もう数えるのさえ飽きていた頃。
”ストレガ”。
そう名乗る人たちが、僕たちの前に現れた。
タカヤと名乗った長髪の男は僕たちを見、そしてクスリと笑った。
「今日までのみなさんのご活躍、影ながら見させていただきました……聞けば、人々を守る為の”善なる戦い”だとか」
「……それが?」
警戒しているのか、ユキが深々とフードを被ったまま問う。すると彼はそれを肯定と受け取ったのか、「それ、やめていただけませんかねえ……?」と告げた。
「……どういうことだ?」
「簡単なこっちゃ。シャドウや影時間が消えたら”この力”かて消えるかもしれん。そんなん許されへん!」
そう答えたのはジンだ。彼は眼鏡を少しかけなおし、そしてタカヤの隣に並ぶ。
「シャドウは我々と常に隣り合わせのもの……災いなど常にあるもの……
シャドウでなくとも人が人を襲う……そういうものです。
それは摂理……自然なこと。
しかし貴方がたは”個人”の目的で動いているに過ぎません。
その正義とやらはそれを正当化するための嘘!偽り!ただの”偽善”です!」
「お前たちは気づくべきや。自身が影時間を知る前よりも生きがいを感じていることにな。
退屈な日々や日常を取り戻したいんか?
……生きる目的、なくしてしまうでぇ?」
「そろそろいいかな」
彼らの言葉を遮ったユキはスッと彼等の前に立ち、「喋りすぎだよ。バイト遅れたらどうしてくれんの?」とため息をついた。
「……貴方は、見ない顔ですね」
「あ、そう。で、アンタ等は自分の目的を他人に同調してもらいたいのか?……だったらお生憎様、俺はこの戦いをやめることはない」
「……話をちゃんと聞いていたのですか?それは”偽善”であり、貴方の生きがいをなくすことに……」
「俺が、そもそも”退屈な日常”を手に入れられたと思ってんなら随分と平和な頭なんだな?」
冷たく、底冷えするような声。以前にも何回か聞いたことあるその声に僕たちは固まり、そのまま彼を見た。
彼はフードを取り、白く短い髪を晒す。
「……俺が、噂でいうとこの”白髪の青年”だ。噂によって蔑まれ、貶され、アンタ等が言っているような日々さえ手に入らなかった。それは今でも、きっと終わった後でも変わらない。だから俺は日常に救いなんて求めていない。
……それに、これに生きがいを感じる暇もないくらい、俺は多くのシャドウを殺している」
「……ほう」
「俺の戦いは”約束”だ。”正義”なんて興味ないし、”約束”を果たすためには、確実に全てのシャドウを破壊しなければならない事も知っている。……全てが終わったら、自分が死ぬことも含めてな」
彼はそう言って、フッと口角を上げた……ように見えた。
「誰が約束放棄してアンタ等の我が儘に付き合うか、バーカ」
「…………!」
タカヤがその無邪気にも聞こえる言葉に呆気に取られた一瞬。ユキのナイフが彼の喉元をかすった。
彼は咄嗟に避け、驚愕に近い表情でユキを見る。
「あ、外した」
淡々とした声。まるで、人を殺すことをなんとも思っていないような――。
「アンタ等で、噂を本当にするのも悪くないかもな。……ねえ、どうする?」
「ぐはっ……!」
駆け出してきたジンの腹を思い切り蹴飛ばして、ユキはタカヤをジッと見る。
するとタカヤは息を吐き、「今回は挨拶をしに来ただけですから」と両手を軽く挙げた。
「……二度と現れないでくれると、早くバイト行けて助かるんだけど?」
「フフ、それはどうでしょうか……?おや、そろそろお出ましのようだ。それではこれで」
タカヤとジンは消え、そして山岸さんから「敵の反応!2体です!」とアナライズが入る。
「……ウサギ、今のは……」
「何?」
桐条先輩の声に、ユキはいつもどおり短く聞く。
「”約束”とは、何だ?それに、全てが終わったら……」
「内緒。ああでも、うん。全てが終わったら、その代償に俺は死ぬ。それだけ」
まるで、ものを買ったから後でお金を払う、みたいな気軽な声で。
自身の死を予言した彼に、全員が固まる。
「……別に、アンタ等に関係ないことだろ?俺が死んで悲しむ奴なんていないしな」
ドゴゴゴゴゴ……
彼の声に合わせ、奥から戦車の形をしたシャドウが一体、現れた。
「……合体か。面倒だな」
ボソリと呟かれた彼の言葉に、全員武器を構える。
今日も圧勝。怪我人も出ることなく、彼は颯爽とバイトへ向かった。
―だが何故か、今回順平とゆかりはペルソナを召喚することが出来なかった。
何度目の満月だか、もう数えるのさえ飽きていた頃。
”ストレガ”。
そう名乗る人たちが、僕たちの前に現れた。
タカヤと名乗った長髪の男は僕たちを見、そしてクスリと笑った。
「今日までのみなさんのご活躍、影ながら見させていただきました……聞けば、人々を守る為の”善なる戦い”だとか」
「……それが?」
警戒しているのか、ユキが深々とフードを被ったまま問う。すると彼はそれを肯定と受け取ったのか、「それ、やめていただけませんかねえ……?」と告げた。
「……どういうことだ?」
「簡単なこっちゃ。シャドウや影時間が消えたら”この力”かて消えるかもしれん。そんなん許されへん!」
そう答えたのはジンだ。彼は眼鏡を少しかけなおし、そしてタカヤの隣に並ぶ。
「シャドウは我々と常に隣り合わせのもの……災いなど常にあるもの……
シャドウでなくとも人が人を襲う……そういうものです。
それは摂理……自然なこと。
しかし貴方がたは”個人”の目的で動いているに過ぎません。
その正義とやらはそれを正当化するための嘘!偽り!ただの”偽善”です!」
「お前たちは気づくべきや。自身が影時間を知る前よりも生きがいを感じていることにな。
退屈な日々や日常を取り戻したいんか?
……生きる目的、なくしてしまうでぇ?」
「そろそろいいかな」
彼らの言葉を遮ったユキはスッと彼等の前に立ち、「喋りすぎだよ。バイト遅れたらどうしてくれんの?」とため息をついた。
「……貴方は、見ない顔ですね」
「あ、そう。で、アンタ等は自分の目的を他人に同調してもらいたいのか?……だったらお生憎様、俺はこの戦いをやめることはない」
「……話をちゃんと聞いていたのですか?それは”偽善”であり、貴方の生きがいをなくすことに……」
「俺が、そもそも”退屈な日常”を手に入れられたと思ってんなら随分と平和な頭なんだな?」
冷たく、底冷えするような声。以前にも何回か聞いたことあるその声に僕たちは固まり、そのまま彼を見た。
彼はフードを取り、白く短い髪を晒す。
「……俺が、噂でいうとこの”白髪の青年”だ。噂によって蔑まれ、貶され、アンタ等が言っているような日々さえ手に入らなかった。それは今でも、きっと終わった後でも変わらない。だから俺は日常に救いなんて求めていない。
……それに、これに生きがいを感じる暇もないくらい、俺は多くのシャドウを殺している」
「……ほう」
「俺の戦いは”約束”だ。”正義”なんて興味ないし、”約束”を果たすためには、確実に全てのシャドウを破壊しなければならない事も知っている。……全てが終わったら、自分が死ぬことも含めてな」
彼はそう言って、フッと口角を上げた……ように見えた。
「誰が約束放棄してアンタ等の我が儘に付き合うか、バーカ」
「…………!」
タカヤがその無邪気にも聞こえる言葉に呆気に取られた一瞬。ユキのナイフが彼の喉元をかすった。
彼は咄嗟に避け、驚愕に近い表情でユキを見る。
「あ、外した」
淡々とした声。まるで、人を殺すことをなんとも思っていないような――。
「アンタ等で、噂を本当にするのも悪くないかもな。……ねえ、どうする?」
「ぐはっ……!」
駆け出してきたジンの腹を思い切り蹴飛ばして、ユキはタカヤをジッと見る。
するとタカヤは息を吐き、「今回は挨拶をしに来ただけですから」と両手を軽く挙げた。
「……二度と現れないでくれると、早くバイト行けて助かるんだけど?」
「フフ、それはどうでしょうか……?おや、そろそろお出ましのようだ。それではこれで」
タカヤとジンは消え、そして山岸さんから「敵の反応!2体です!」とアナライズが入る。
「……ウサギ、今のは……」
「何?」
桐条先輩の声に、ユキはいつもどおり短く聞く。
「”約束”とは、何だ?それに、全てが終わったら……」
「内緒。ああでも、うん。全てが終わったら、その代償に俺は死ぬ。それだけ」
まるで、ものを買ったから後でお金を払う、みたいな気軽な声で。
自身の死を予言した彼に、全員が固まる。
「……別に、アンタ等に関係ないことだろ?俺が死んで悲しむ奴なんていないしな」
ドゴゴゴゴゴ……
彼の声に合わせ、奥から戦車の形をしたシャドウが一体、現れた。
「……合体か。面倒だな」
ボソリと呟かれた彼の言葉に、全員武器を構える。
今日も圧勝。怪我人も出ることなく、彼は颯爽とバイトへ向かった。
―だが何故か、今回順平とゆかりはペルソナを召喚することが出来なかった。