―最初に向けられたのは、憐れみ。

小学校に上がった頃、先生達は何かと俺を気にかけているようだった。
「ご両親が亡くなったって……」
「事故でしょ？かわいそうに……」
表情の浮かばない事はショックが大きすぎたから。
皆より浮いているのは人との関わり方を忘れているから。……なんてありきたりの理由をつけられた俺は、先生達の手で他の生徒からも更に孤立していった。
自然に、ゆっくりと。
別に関わろうと思うこともなく、寧ろ一人の方が楽だったからほうっておいたら、なんと中等部までそれが続いて。
もう孤独に慣れてしまった中等部2年の頃に、ちょっとした事件が起こった。
3年生らしき人に教室に呼ばれた放課後、二人きりの教室。
簡潔に言えば、制服を脱がされた。
何をされていたか覚えてないけど、気がついたらその人は倒れていて、両手とその人の顔は真っ赤に染まっていて。
駆けつけた人が何を思ったかは、……まあ、想像がつくだろう。
―憐れみからの、危険人物。
その人は学力が足りず、結局別の高校に行ったと風の噂で聞いた。
俺はといえば、「なぜあんなことをした！」とか「彼は良い子だったのに……」とか、まあ教師から罵りを浴び、それに便乗した生徒にも嫌がらせを受け続け、恐らく平凡な現在に至る。
嫌がらせと言っても程度は低く、（まあ危険人物なんだからしょうがないと思うけれど）ある程度の怪我と下駄箱への不法投棄で事足りた。
怪我はタルタロスで散々しているし、怪しむ人だっていない。
教師の今現在上げている噂だって、それを訝しむ程俺を知っている生徒はいないだろう。
（俺は、約束の為に生きているから）
一つは、身近な人と。
もう一つは―――。