出会いと大型シャドウ
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一方その頃。
有里は寮の暗さに驚き、寮長を含めもう寝ているのではとため息をつく。
(遅くなるとは、伝えたはずなんだけど……)
『遅かったね』
聞こえてきたその声に、彼は緩慢に振り返る。
すると囚人のようなボーダーの服を纏った少年が、いつの間にか目の前に立っていた。
『長い間、君を待っていたよ。
この先へ進むなら、そこに署名を』
そこ、と言われて示されたのは、契約書のような紙。
『一応契約だからね。怖がらなくていいよ。
ここからは自分の決めたことに責任をとってもらうっていう、当たり前の内容だから』
「……」
促されるままに自らの名前を書いていくと、少年はそれを受け取って後ろへ下がった。
『確かに時はすべての物に結末を運んでくる。たとえ目と耳を塞いでもね。
―さあ、はじまるよ』
少年は煙のように消え、代わりにコツコツと誰かが階段を下りてくる音がする。
有里が奥の階段に目を向けると、「誰?」という声と共に怪訝そうな顔をした女子生徒が姿を現した。
彼女の腰には銃のようなものがしまわれたホルスターが下げられていて、思わず目を瞠る。
(……銃?)
この寮の学生だろうか。いや、何なんだこの状況。
(……僕が何をしたって言うんだ……)
震える手で彼女が銃を持とうとし、有里が命の終わりを感じた瞬間。「待て!!」という女性の声が聞こえ、途端に周りの灯がパッと点る。
「到着が遅れたようだね」
階段の向こうから声がし、そちらを向くともう一人の大人びた女子生徒が立っていた。
「私は桐条美鶴。この寮に住んでいるものだ」
彼女はそう言って、女子生徒に声をかける。
「彼は転入生だ。ここへの入寮が急に決まってね……。まあ、いずれ男子寮の割り当てが正式にされるだろう」
「……いいんですか?」
女子生徒の問いに「さあな」と返して、桐条は話が飲み込めておらずキョトンとしている有里の方を向く。
「彼女は岳羽ゆかり。この春から二年生だから、君と同じだな」
岳羽と呼ばれた女子生徒は、湊を訝しげに見て「……岳羽です」とだけ口を開く。
有里もそれに「よろしく」といい、その後桐条の言うとおりに岳羽から部屋を案内してもらうことにした。
岳羽はしきりに「何か訊きたい事はある?」や「此処に来るまで平気だった?」と聞いてきたが、訊きたいことなんて多すぎたし、もう夜遅いので「別に」とだけ返していく。
(ユキって人は、会ったことは言うなって言ってたし)
その答えに彼女はやや安堵を見せ、「いろいろ分からない事あるだろうけど、それはまた今度ね」と言っては去っていった。
部屋のベッドに横たわり、有里は大きなため息をついた。
(……疲れた)
考えたいことは山ほどあるが、体力が既に悲鳴をあげている。
今日はもう寝た方がいいだろう。
有里は億劫そうに布団を被ると、そのまま静かに寝息を立てた。
有里は寮の暗さに驚き、寮長を含めもう寝ているのではとため息をつく。
(遅くなるとは、伝えたはずなんだけど……)
『遅かったね』
聞こえてきたその声に、彼は緩慢に振り返る。
すると囚人のようなボーダーの服を纏った少年が、いつの間にか目の前に立っていた。
『長い間、君を待っていたよ。
この先へ進むなら、そこに署名を』
そこ、と言われて示されたのは、契約書のような紙。
『一応契約だからね。怖がらなくていいよ。
ここからは自分の決めたことに責任をとってもらうっていう、当たり前の内容だから』
「……」
促されるままに自らの名前を書いていくと、少年はそれを受け取って後ろへ下がった。
『確かに時はすべての物に結末を運んでくる。たとえ目と耳を塞いでもね。
―さあ、はじまるよ』
少年は煙のように消え、代わりにコツコツと誰かが階段を下りてくる音がする。
有里が奥の階段に目を向けると、「誰?」という声と共に怪訝そうな顔をした女子生徒が姿を現した。
彼女の腰には銃のようなものがしまわれたホルスターが下げられていて、思わず目を瞠る。
(……銃?)
この寮の学生だろうか。いや、何なんだこの状況。
(……僕が何をしたって言うんだ……)
震える手で彼女が銃を持とうとし、有里が命の終わりを感じた瞬間。「待て!!」という女性の声が聞こえ、途端に周りの灯がパッと点る。
「到着が遅れたようだね」
階段の向こうから声がし、そちらを向くともう一人の大人びた女子生徒が立っていた。
「私は桐条美鶴。この寮に住んでいるものだ」
彼女はそう言って、女子生徒に声をかける。
「彼は転入生だ。ここへの入寮が急に決まってね……。まあ、いずれ男子寮の割り当てが正式にされるだろう」
「……いいんですか?」
女子生徒の問いに「さあな」と返して、桐条は話が飲み込めておらずキョトンとしている有里の方を向く。
「彼女は岳羽ゆかり。この春から二年生だから、君と同じだな」
岳羽と呼ばれた女子生徒は、湊を訝しげに見て「……岳羽です」とだけ口を開く。
有里もそれに「よろしく」といい、その後桐条の言うとおりに岳羽から部屋を案内してもらうことにした。
岳羽はしきりに「何か訊きたい事はある?」や「此処に来るまで平気だった?」と聞いてきたが、訊きたいことなんて多すぎたし、もう夜遅いので「別に」とだけ返していく。
(ユキって人は、会ったことは言うなって言ってたし)
その答えに彼女はやや安堵を見せ、「いろいろ分からない事あるだろうけど、それはまた今度ね」と言っては去っていった。
部屋のベッドに横たわり、有里は大きなため息をついた。
(……疲れた)
考えたいことは山ほどあるが、体力が既に悲鳴をあげている。
今日はもう寝た方がいいだろう。
有里は億劫そうに布団を被ると、そのまま静かに寝息を立てた。