失踪と噂
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「……この人、俺も送っていく。何度か家に帰るとこ見たことあるし、家からも近い」
気を失って倒れそうになった寸前、一体いつ動いたのか後ろからユキが抱え込んで床に接触するのを阻止していた。「湊はまだ知らないだろうし」と言われて、そうだなと頷く。
「じゃあ、頼む」
「頼まれた。行くよ」
ユキは真田先輩達に小さく頭を下げると、こちらを確認せず歩き出す。
僕は慌てて、森山さんを抱えたままスタスタと闇夜に足を進める彼の後を追った。
隣に並んで夜の道を歩きながら「ユキ、今日はありがとう」と言うと、きょとんとした目を向けられる。
「何が?」
「山岸さんを守ってくれたりして」
すると更に首を傾げ、僅かにずれたゴーグルから紅い目が少しだけ覗いた。
「俺はやるべきことをやっただけだ。それを感謝されるのは筋違いだと思うが」
「そうかな……?僕は、思ったことを伝えただけなんだけど」
「……俺は湊がよく分からない」
小さく肩を竦め、「ここだ」と足を止めた。そこは普通の一軒家で、ユキは森山さんをこちらに渡すと彼の家へと踵を返す。
「え……僕に押し付けるの?」
「俺、バイト前に寄らないと行けないところあるから。じゃあね」
こちらを振り返らず手だけを振って、あっという間にその姿は暗闇に溶けて見えなくなっていった。
気を失って倒れそうになった寸前、一体いつ動いたのか後ろからユキが抱え込んで床に接触するのを阻止していた。「湊はまだ知らないだろうし」と言われて、そうだなと頷く。
「じゃあ、頼む」
「頼まれた。行くよ」
ユキは真田先輩達に小さく頭を下げると、こちらを確認せず歩き出す。
僕は慌てて、森山さんを抱えたままスタスタと闇夜に足を進める彼の後を追った。
隣に並んで夜の道を歩きながら「ユキ、今日はありがとう」と言うと、きょとんとした目を向けられる。
「何が?」
「山岸さんを守ってくれたりして」
すると更に首を傾げ、僅かにずれたゴーグルから紅い目が少しだけ覗いた。
「俺はやるべきことをやっただけだ。それを感謝されるのは筋違いだと思うが」
「そうかな……?僕は、思ったことを伝えただけなんだけど」
「……俺は湊がよく分からない」
小さく肩を竦め、「ここだ」と足を止めた。そこは普通の一軒家で、ユキは森山さんをこちらに渡すと彼の家へと踵を返す。
「え……僕に押し付けるの?」
「俺、バイト前に寄らないと行けないところあるから。じゃあね」
こちらを振り返らず手だけを振って、あっという間にその姿は暗闇に溶けて見えなくなっていった。