失踪と噂
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昼休み。教室はいつものように賑やかだが、窓際の席だからそれが耳障りになることもない。
古本屋で手伝いのお礼にと貰った本を読んでいると、「桜木君、ちょっといいかな?」と声をかけられた。
ゆっくり顔を上げれば、ゆかりが気まずそうに苦笑し立っている。
「……岳羽さん、何?」
俺は本に栞をはさみ、尋ねる。彼女は「ええと……」と言葉を探りながら、目を逸らした。
「体育の先生が、サボるなら今日の放課後に体力テストやらないと単位出さないって……」
「……そう」
まあ、体育は去年もそんな感じだったけど。寧ろよくこの我が儘が通るなと感心するくらいで。
頭の中で、今日のバイト時間を確認する。
今日は、夜から喫茶店。だからまあ、帰りが多少遅くなっても大丈夫だろう。
そうしてまた読書に戻ろうとして、彼女がまだ立ち去っていないことに気づく。
「他に、何かある?」
「え、いや……先生からの言伝とかはないんだけど……」
「?」
首を傾げ、じっとゆかりを見る。
彼女は目を逸した状態から少しだけこちらを見て、「あ、あのさ」と口を開いた。
「この前、ほら、病院で会ったでしょ?それと体育休むの、関係あるのかなーって……」
「別に、ないけど」
「あ、そ、そうなんだ!へー……」
「……」
「えっと、その……私、中等部の時一度同じクラスになってるんだけど、覚えてる?」
「うん」
「その時も体育殆ど出てなかったから、もしかしてーと思ったんだけど……」
それっきり黙ってしまい、どうも会話が続かない。続ける気もないんだけど。
だって教師が来たら絶対『なんで起きてるんだ』って目で見られるし。下手をすれば彼女の評判も落ちかねない。
「……早く、席についたら?」
それだけ言って、欠伸をする。するともう寝るのだと悟ったのか、ゆかりはこっそりと離れていった。
(……何がしたかったんだろう、あれは)
中等部の時は、喋ろうとさえしなかったのに。
どんな噂でこうなったかは忘れたけど、それを他の人から聞いた彼女は眉間に深く皺を寄せて、以降自分とは関わらなかった。
(……まあ、いいか)
特に意味なんて無いのだろう。あったとしても、その時また考えればいい。
予鈴が鳴る。
俺は机に顔を伏せて、今日これからの予定を考え始めた。
古本屋で手伝いのお礼にと貰った本を読んでいると、「桜木君、ちょっといいかな?」と声をかけられた。
ゆっくり顔を上げれば、ゆかりが気まずそうに苦笑し立っている。
「……岳羽さん、何?」
俺は本に栞をはさみ、尋ねる。彼女は「ええと……」と言葉を探りながら、目を逸らした。
「体育の先生が、サボるなら今日の放課後に体力テストやらないと単位出さないって……」
「……そう」
まあ、体育は去年もそんな感じだったけど。寧ろよくこの我が儘が通るなと感心するくらいで。
頭の中で、今日のバイト時間を確認する。
今日は、夜から喫茶店。だからまあ、帰りが多少遅くなっても大丈夫だろう。
そうしてまた読書に戻ろうとして、彼女がまだ立ち去っていないことに気づく。
「他に、何かある?」
「え、いや……先生からの言伝とかはないんだけど……」
「?」
首を傾げ、じっとゆかりを見る。
彼女は目を逸した状態から少しだけこちらを見て、「あ、あのさ」と口を開いた。
「この前、ほら、病院で会ったでしょ?それと体育休むの、関係あるのかなーって……」
「別に、ないけど」
「あ、そ、そうなんだ!へー……」
「……」
「えっと、その……私、中等部の時一度同じクラスになってるんだけど、覚えてる?」
「うん」
「その時も体育殆ど出てなかったから、もしかしてーと思ったんだけど……」
それっきり黙ってしまい、どうも会話が続かない。続ける気もないんだけど。
だって教師が来たら絶対『なんで起きてるんだ』って目で見られるし。下手をすれば彼女の評判も落ちかねない。
「……早く、席についたら?」
それだけ言って、欠伸をする。するともう寝るのだと悟ったのか、ゆかりはこっそりと離れていった。
(……何がしたかったんだろう、あれは)
中等部の時は、喋ろうとさえしなかったのに。
どんな噂でこうなったかは忘れたけど、それを他の人から聞いた彼女は眉間に深く皺を寄せて、以降自分とは関わらなかった。
(……まあ、いいか)
特に意味なんて無いのだろう。あったとしても、その時また考えればいい。
予鈴が鳴る。
俺は机に顔を伏せて、今日これからの予定を考え始めた。