「……まさか、もう活動を再開するなんてな」
桜木はゴーグルを外し、紅い瞳を外に晒す。
此処は深層モナド。彼等は上へ上へと行っているから遭遇することはないし、そもそもこの扉自体見えていなかっただろう。
「クロッカー、湊達は大丈夫そう？」
彼はペルソナにそう語りかけ、それにペルソナも頷く。
「そっか。……じゃあ俺達も、頑張ろう」
彼等が見える場所で戦うのなら、自分は誰からも見つけてもらえない場所で。
例え途中で倒れても、野垂れ死にをしても、此処は地下だから、絶対『あの場所』に繋がってる。
だから、この身を惜しみなく投げ出すことが出来る。
「……俺は魔法しか使えないから、代わりに最大級の幻想を見せてあげる」
目の前に立ちはだかってきたシャドウに、彼はそう言ってほんの少しだけ口角を上げた。