ウサギ
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「本当に良かったのか?今日は一階だけでも良かったんじゃ…」
三人が行った後、真田がそう尋ねる。
桐条は「そうしたかったんだが……」と言葉尻を濁し、すぐに「まあ、さほど強敵は出ないさ」とかぶりをふった。
それに、彼なら強敵が出る前に引き返すさ。
そう、言おうとした時だった。
「……何をしている」
ふとホールに響いた声に、二人はバッと入口を振り返る。
其処には黒いマントを着てフードを目深に被った青年の姿があり、桐条は「誰だ!」と召喚銃を頭に構えた。
「……答えろ。何をしている」
彼女の問いには答えず、彼は尋ねる。
青年は茶色のゴーグルをつけていて、フードから微かに見える髪は色素がなかった。
「……シャドウの巣を叩きに来ているだけだ。お前も、ペルソナ使いだろう?」
「ああ。……別に、お前たちに敵対する気も、シャドウを野放しにする気もない」
彼がそう言うと、真田は警戒心を解かないまま聞く。
「お前、名前は」
「……ウサギ」
「「は?」」
目を丸くした二人に、ウサギと名乗った青年は平然と返した。
「そう呼ぶといい。名前なんてただの記号だ」
「……わかった。それでウサギ、お前は何をしにきたんだ?」
「シャドウを倒しに」
「一人でか?」
「そう」
「笑わせるな!そんな事できるわけが……」
「出来る」
桐条の言葉を遮って、彼は口を開く。
それは自信でも過信でもなく、ただの事実であるような口ぶりで。
「……別に、信じてもらう必要はない。俺を疑うなら殺せばいいし、幾月さんに突き出して俺を解剖するなりすればいい。俺は無意味に戦うのは嫌いだ」
「……何故そこで理事長の名前が出てくる」
「アンタらの顧問だろ。それに、彼は俺みたいな実験台を手に入れて喜ぶ筈だ。……君らが喜ぶかは別としてな」
青年がそう言いフードを取ると、何処からか一枚のカードを取り出してそれを見せた。
『NO ARCANA』
そう下に書かれたカードの絵柄の部分は黒地に赤で大きくバツマークが付いており、彼はそれに口付ける。
「……おいで、クロッカー」
するとパアとカードが光っては分散し、その集約された先に大きな時計兎が姿を現した。
二人は茫然とそれを見、青年に視線を戻す。
「……属性が、ない……!?」
「それに召喚銃も無しに……一体、どうやって……」
「で、俺を殺す?解剖する?どうしたい?」
青年は質問には答えず、先ほど言ったことを繰り返した。
桐条と真田はお互い顔を見合わせ、渋った顔で首を横に振る。
よくわからないが、この青年はきっと強い。そして、それを殺すのはきっと容易ではない。
「……そう。じゃあ俺、こっちからだから」
彼は三人の行った階段からではなく、淡く光る転送装置の更に奥の方へ歩いてはすぐにその姿を消した。
三人が行った後、真田がそう尋ねる。
桐条は「そうしたかったんだが……」と言葉尻を濁し、すぐに「まあ、さほど強敵は出ないさ」とかぶりをふった。
それに、彼なら強敵が出る前に引き返すさ。
そう、言おうとした時だった。
「……何をしている」
ふとホールに響いた声に、二人はバッと入口を振り返る。
其処には黒いマントを着てフードを目深に被った青年の姿があり、桐条は「誰だ!」と召喚銃を頭に構えた。
「……答えろ。何をしている」
彼女の問いには答えず、彼は尋ねる。
青年は茶色のゴーグルをつけていて、フードから微かに見える髪は色素がなかった。
「……シャドウの巣を叩きに来ているだけだ。お前も、ペルソナ使いだろう?」
「ああ。……別に、お前たちに敵対する気も、シャドウを野放しにする気もない」
彼がそう言うと、真田は警戒心を解かないまま聞く。
「お前、名前は」
「……ウサギ」
「「は?」」
目を丸くした二人に、ウサギと名乗った青年は平然と返した。
「そう呼ぶといい。名前なんてただの記号だ」
「……わかった。それでウサギ、お前は何をしにきたんだ?」
「シャドウを倒しに」
「一人でか?」
「そう」
「笑わせるな!そんな事できるわけが……」
「出来る」
桐条の言葉を遮って、彼は口を開く。
それは自信でも過信でもなく、ただの事実であるような口ぶりで。
「……別に、信じてもらう必要はない。俺を疑うなら殺せばいいし、幾月さんに突き出して俺を解剖するなりすればいい。俺は無意味に戦うのは嫌いだ」
「……何故そこで理事長の名前が出てくる」
「アンタらの顧問だろ。それに、彼は俺みたいな実験台を手に入れて喜ぶ筈だ。……君らが喜ぶかは別としてな」
青年がそう言いフードを取ると、何処からか一枚のカードを取り出してそれを見せた。
『NO ARCANA』
そう下に書かれたカードの絵柄の部分は黒地に赤で大きくバツマークが付いており、彼はそれに口付ける。
「……おいで、クロッカー」
するとパアとカードが光っては分散し、その集約された先に大きな時計兎が姿を現した。
二人は茫然とそれを見、青年に視線を戻す。
「……属性が、ない……!?」
「それに召喚銃も無しに……一体、どうやって……」
「で、俺を殺す?解剖する?どうしたい?」
青年は質問には答えず、先ほど言ったことを繰り返した。
桐条と真田はお互い顔を見合わせ、渋った顔で首を横に振る。
よくわからないが、この青年はきっと強い。そして、それを殺すのはきっと容易ではない。
「……そう。じゃあ俺、こっちからだから」
彼は三人の行った階段からではなく、淡く光る転送装置の更に奥の方へ歩いてはすぐにその姿を消した。