ウサギ
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翌日の夜 学校前―。
有里達は予定通り集まり、影時間が来るのを待っていた。
伊織は先ほどから落ち着かなそうにそわそわしているが、有里は対照的にボーっと空を眺めている。
「そろそろだ」
真田がそう言うと、桐条や岳羽は学校をジッと見た。伊織達もそれにならい、白い建物を見上げる。
カチッ…カチッ…カチッ……
ボーン………ボーン………ボーン………
異変があったのは、丁度鐘が鳴った時だった。
学校は突如として変形し、巨大な塔へと姿を変える。
「なんなんだよこれ!?」
伊織は叫び、全く原型をとどめていない学校―『タルタロス』を目をこすって見た。
桐条曰く、「原因はわからないが、学校だけが影時間に姿を変える」らしい。
中へと導かれ、有里はゆっくりと入っていく。
エントランスホールには大きな階段と置時計に転送装置、それと青い扉があった。
(……この扉……『ベルベットルーム』…?)
それに有里は見覚えがあった。
此処に来てから暫く経った日の夢で、この扉の奥の老人と女性と喋ったのだ。
(……もしかして)
恐る恐る扉を引き、中に入る。
すると其処にはやはりギョロリと目を光らせる老人―イゴール―と脇に立つ女性―エリザベス―の姿があった。
「ようこそ、ベルベットルームへ」
老人のしわがれた声が聞こえる。有里が近くの椅子に腰掛け「訊きたい事があるんだけど」と言うと、「分かっております」とエリザベスが応えた。
「此処は貴方様の持ち得るペルソナを作ることの出来る場所であり、貴方様の旅路を見送る場所でございます。
私達、貴方様の能力『ワイルド』に大変興味を持ち、是非その力を此処で見守らせてほしいのでございます」
「……『ワイルド』、複数のペルソナを持てる力……」
「左様。それはあなたの使い方次第でどんどん強くなっていくことでしょう」
イゴールはキヒヒと笑い、「そして」と続ける。
「どうやら、あなたは私のもう一人のお客人と会っているようですな?」
「は?」
「彼はあなたの道標となり、あなたの進むべき道を真っ直ぐ示してくれるでしょう。
たとえそれが、彼自身を犠牲にする行為だったとしても」
「……」
「あの御方の力は、強くなりすぎてしまったのです。それは彼の精神を無理矢理に強固としていったも同じ。強いが故に淡い、自身の道を蔑ろにしてでも他者の道を照らし、何時かは見るに耐えない程ひどく壊れていく」
イゴールの声は先ほどと同じ口調ながらも少し寂しげで、有里はその言葉に一人の人物を思い浮かべた。
(……時計兎の、あの人の事かな)
この前、『シャドウ』に襲われた時に会った『ペルソナ使い』。
「お客様、どうかもう一人のお客人の事も守っておやりなさい。強くて脆い子供の事を」
「……わかった」
有里が頷くと、イゴールはそう言って「では、ごきげんよう」と扉を閉じた。
「……有里?どうしたんだ?」
桐条の声で、ハッと我にかえる。
どうやら自分が青い扉に入ったことは分からなかったようで、有里は「なんでもない」と返した。
「そうか。では、お前たちにはこれからタルタロスの探索を行ってもらう」
桐条がそう言い、「リーダーは有里、お前がやれ」と真田が肩を叩く。
「えー!?コイツ、全然リーダーっぽくないでしょ!」
「……あのねえ順平。彼はもう実戦経験者なの」
伊織の反論に岳羽がため息を吐きながら呟いた。「え?マジで?」と目を白黒させ有里の方を向くと、彼もコクリと頷く。
「まあ、別にいいけど」
「おま……適当だなー」
「いいさ。取り敢えず今日は行けるところまででいいから行ってくれ。無茶や単独行動はしないようにな」
その言葉に三人は頷いて、エントランスからつながる長い階段を上りはじめた。
有里達は予定通り集まり、影時間が来るのを待っていた。
伊織は先ほどから落ち着かなそうにそわそわしているが、有里は対照的にボーっと空を眺めている。
「そろそろだ」
真田がそう言うと、桐条や岳羽は学校をジッと見た。伊織達もそれにならい、白い建物を見上げる。
カチッ…カチッ…カチッ……
ボーン………ボーン………ボーン………
異変があったのは、丁度鐘が鳴った時だった。
学校は突如として変形し、巨大な塔へと姿を変える。
「なんなんだよこれ!?」
伊織は叫び、全く原型をとどめていない学校―『タルタロス』を目をこすって見た。
桐条曰く、「原因はわからないが、学校だけが影時間に姿を変える」らしい。
中へと導かれ、有里はゆっくりと入っていく。
エントランスホールには大きな階段と置時計に転送装置、それと青い扉があった。
(……この扉……『ベルベットルーム』…?)
それに有里は見覚えがあった。
此処に来てから暫く経った日の夢で、この扉の奥の老人と女性と喋ったのだ。
(……もしかして)
恐る恐る扉を引き、中に入る。
すると其処にはやはりギョロリと目を光らせる老人―イゴール―と脇に立つ女性―エリザベス―の姿があった。
「ようこそ、ベルベットルームへ」
老人のしわがれた声が聞こえる。有里が近くの椅子に腰掛け「訊きたい事があるんだけど」と言うと、「分かっております」とエリザベスが応えた。
「此処は貴方様の持ち得るペルソナを作ることの出来る場所であり、貴方様の旅路を見送る場所でございます。
私達、貴方様の能力『ワイルド』に大変興味を持ち、是非その力を此処で見守らせてほしいのでございます」
「……『ワイルド』、複数のペルソナを持てる力……」
「左様。それはあなたの使い方次第でどんどん強くなっていくことでしょう」
イゴールはキヒヒと笑い、「そして」と続ける。
「どうやら、あなたは私のもう一人のお客人と会っているようですな?」
「は?」
「彼はあなたの道標となり、あなたの進むべき道を真っ直ぐ示してくれるでしょう。
たとえそれが、彼自身を犠牲にする行為だったとしても」
「……」
「あの御方の力は、強くなりすぎてしまったのです。それは彼の精神を無理矢理に強固としていったも同じ。強いが故に淡い、自身の道を蔑ろにしてでも他者の道を照らし、何時かは見るに耐えない程ひどく壊れていく」
イゴールの声は先ほどと同じ口調ながらも少し寂しげで、有里はその言葉に一人の人物を思い浮かべた。
(……時計兎の、あの人の事かな)
この前、『シャドウ』に襲われた時に会った『ペルソナ使い』。
「お客様、どうかもう一人のお客人の事も守っておやりなさい。強くて脆い子供の事を」
「……わかった」
有里が頷くと、イゴールはそう言って「では、ごきげんよう」と扉を閉じた。
「……有里?どうしたんだ?」
桐条の声で、ハッと我にかえる。
どうやら自分が青い扉に入ったことは分からなかったようで、有里は「なんでもない」と返した。
「そうか。では、お前たちにはこれからタルタロスの探索を行ってもらう」
桐条がそう言い、「リーダーは有里、お前がやれ」と真田が肩を叩く。
「えー!?コイツ、全然リーダーっぽくないでしょ!」
「……あのねえ順平。彼はもう実戦経験者なの」
伊織の反論に岳羽がため息を吐きながら呟いた。「え?マジで?」と目を白黒させ有里の方を向くと、彼もコクリと頷く。
「まあ、別にいいけど」
「おま……適当だなー」
「いいさ。取り敢えず今日は行けるところまででいいから行ってくれ。無茶や単独行動はしないようにな」
その言葉に三人は頷いて、エントランスからつながる長い階段を上りはじめた。