小さな白
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、このしゃしん、おにいちゃうつってるよ!」
学校の廊下。二年生の教室が並んでいるその廊下には、修学旅行での写真が丁度飾られていた。
ユキは飾られている写真を興味深く見つめ、「じゅんぺーおにいちゃ達もいる!」指差しては笑う。
「でも……このおにいちゃ、かなしそう」
そう呟いたのは、綾時が撮った桜木の写真だった。
清水寺から景色を眺める彼の視線はただただ遠くを見つめていて、湊も小さく頷く。
「…このお兄ちゃんはね、ずっと約束の為に生きてきたんだって。
約束の為に戦って、強くなって……それで、本当に約束を叶えちゃった」
「……やくそくかなって、おにいちゃ、いなくなっちゃったの?」
「うん」
湊の苦しげな声を聞き取ったのか、ユキは「そっかぁ……」と俯いた後、「でもね!」と顔をあげた。
「きっとね、このおにいちゃ、湊おにいちゃが大すきだったとおもう!
だってね、ほら、このしゃしんも、このしゃしんも、すごいうれしそうだもん!」
「……本当?」
「うん!」
彼が指差した写真は、どれも、桜木と湊が写りこんでいるものだった。
彼はカメラに対し興味がないのか決して目線を合わせていないため、どんな感情がその瞳に篭っているかは湊にはわからない。
(でも、……もし本人がそういうんだったら、そうなのかもな……)
写真は全て既に注文が済んでいて、この写真も勿論、寮の部屋にいったらあるだろう。
「ありがとうね、ユキ君」
「んーん!だって、本当の事だから!」
笑顔を見せた彼の頭を優しく撫でると、彼はくすぐったそうにしながら、それでも癖のようにその頭を掌に擦りつけた。そして背負っていたリュックからぬいぐるみを取り出すと、湊にぐいと押し付ける。
「……このぬいぐるみね、おにぃちゃにあげる」
「………いいの?」
湊の問いにユキはコクリと頷いた。
「もしね、おにぃちゃのすきなひとがかえってきたら、わたしてあげて?」
そう言うと、タタタと数歩湊から離れ、そして振り返っては満面の笑みを見せる。
「あそんでくれてありがと、おにぃちゃ。大すきだよ!」
呆気なく、後腐れなく。
ユキは、また湊の前から姿を消した。
学校の廊下。二年生の教室が並んでいるその廊下には、修学旅行での写真が丁度飾られていた。
ユキは飾られている写真を興味深く見つめ、「じゅんぺーおにいちゃ達もいる!」指差しては笑う。
「でも……このおにいちゃ、かなしそう」
そう呟いたのは、綾時が撮った桜木の写真だった。
清水寺から景色を眺める彼の視線はただただ遠くを見つめていて、湊も小さく頷く。
「…このお兄ちゃんはね、ずっと約束の為に生きてきたんだって。
約束の為に戦って、強くなって……それで、本当に約束を叶えちゃった」
「……やくそくかなって、おにいちゃ、いなくなっちゃったの?」
「うん」
湊の苦しげな声を聞き取ったのか、ユキは「そっかぁ……」と俯いた後、「でもね!」と顔をあげた。
「きっとね、このおにいちゃ、湊おにいちゃが大すきだったとおもう!
だってね、ほら、このしゃしんも、このしゃしんも、すごいうれしそうだもん!」
「……本当?」
「うん!」
彼が指差した写真は、どれも、桜木と湊が写りこんでいるものだった。
彼はカメラに対し興味がないのか決して目線を合わせていないため、どんな感情がその瞳に篭っているかは湊にはわからない。
(でも、……もし本人がそういうんだったら、そうなのかもな……)
写真は全て既に注文が済んでいて、この写真も勿論、寮の部屋にいったらあるだろう。
「ありがとうね、ユキ君」
「んーん!だって、本当の事だから!」
笑顔を見せた彼の頭を優しく撫でると、彼はくすぐったそうにしながら、それでも癖のようにその頭を掌に擦りつけた。そして背負っていたリュックからぬいぐるみを取り出すと、湊にぐいと押し付ける。
「……このぬいぐるみね、おにぃちゃにあげる」
「………いいの?」
湊の問いにユキはコクリと頷いた。
「もしね、おにぃちゃのすきなひとがかえってきたら、わたしてあげて?」
そう言うと、タタタと数歩湊から離れ、そして振り返っては満面の笑みを見せる。
「あそんでくれてありがと、おにぃちゃ。大すきだよ!」
呆気なく、後腐れなく。
ユキは、また湊の前から姿を消した。