小さな白
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二年も終わった、春休み。
特に行くあてもなく、アイギス達と町を散策する事にした。
けれど少し無言になる度に、目の前から消えてしまった彼の事を思い出してしまう。
(……振り切れ、ないなあ……)
他のメンバーは覚えていない、強くて優しかった彼。
あの白髪にもう一度だけでも、触れておきたかった、なんて。
「湊、大丈夫か?」
順平が不安そうに顔を覗いてきたので、「大丈夫」と笑って返す。
そしてまた何か話題を出そうとしたその時、クイ、とジャケットの後ろを引っ張られた。
「?」
振り返って確認すると、丁度腰のあたりに白い髪が見える。
そして、それがジッと、見たことのある紅い瞳で僕を見つめていた。
「……」
「ええと……お名前は?」
「…………」
「迷子かな?」
「交番に連れてくか?」
黙りこくるが、ゆかりや順平の言葉を聞いて、バッとまた顔を上げる。
「……いや」
「……?」
「人が多いばしょ、いっちゃだめなの……」
少年はそう言って、サイズが一回り大きそうなパーカーのフードを被った。
顔を見られたくない、ということだろうか。背中に背負った大きなリュックがゆらりとゆれて、顔が俯く。
「じゃあ、どうしたの?」
「……おかあさ、と、おとうさ、さがしてるの」
「お父さんと、お母さん?はぐれちゃったの?」
「っ……ふ、ぅ、……うわぁあぁぁぁぁぁん…!」
「!?」
肩が震えたかと思えば、突如としてボロボロと泣き出した。
順平達も慌ててなんとか宥めようとするが、大粒の涙は止まることなく頬を伝い落ちる。
「犬のおまわりさんの気分であります」
「懐かしいなそれ!ああほら、怖くないぞー!」
「ここじゃあれだし、一旦寮に戻る?落ち着いてから、もう一度話聞いた方が……」
「それがいいかも」
少年の頭を撫でて、「おぶってもいい?」と尋ねると、彼は泣きじゃくりながらもコクリと頷いた。
「よいしょっと……」
「ぐすっ……」
「早く行くであります!」
「わーってるよ!おら、寮まで競争な!」
「ちょっ……」
いきなり駆け出したアイギスと順平に驚き呆れながら、湊は少年をおぶって走り出す。
少年は深くフードを被って、顔を見られないように彼の背中に踞った。
特に行くあてもなく、アイギス達と町を散策する事にした。
けれど少し無言になる度に、目の前から消えてしまった彼の事を思い出してしまう。
(……振り切れ、ないなあ……)
他のメンバーは覚えていない、強くて優しかった彼。
あの白髪にもう一度だけでも、触れておきたかった、なんて。
「湊、大丈夫か?」
順平が不安そうに顔を覗いてきたので、「大丈夫」と笑って返す。
そしてまた何か話題を出そうとしたその時、クイ、とジャケットの後ろを引っ張られた。
「?」
振り返って確認すると、丁度腰のあたりに白い髪が見える。
そして、それがジッと、見たことのある紅い瞳で僕を見つめていた。
「……」
「ええと……お名前は?」
「…………」
「迷子かな?」
「交番に連れてくか?」
黙りこくるが、ゆかりや順平の言葉を聞いて、バッとまた顔を上げる。
「……いや」
「……?」
「人が多いばしょ、いっちゃだめなの……」
少年はそう言って、サイズが一回り大きそうなパーカーのフードを被った。
顔を見られたくない、ということだろうか。背中に背負った大きなリュックがゆらりとゆれて、顔が俯く。
「じゃあ、どうしたの?」
「……おかあさ、と、おとうさ、さがしてるの」
「お父さんと、お母さん?はぐれちゃったの?」
「っ……ふ、ぅ、……うわぁあぁぁぁぁぁん…!」
「!?」
肩が震えたかと思えば、突如としてボロボロと泣き出した。
順平達も慌ててなんとか宥めようとするが、大粒の涙は止まることなく頬を伝い落ちる。
「犬のおまわりさんの気分であります」
「懐かしいなそれ!ああほら、怖くないぞー!」
「ここじゃあれだし、一旦寮に戻る?落ち着いてから、もう一度話聞いた方が……」
「それがいいかも」
少年の頭を撫でて、「おぶってもいい?」と尋ねると、彼は泣きじゃくりながらもコクリと頷いた。
「よいしょっと……」
「ぐすっ……」
「早く行くであります!」
「わーってるよ!おら、寮まで競争な!」
「ちょっ……」
いきなり駆け出したアイギスと順平に驚き呆れながら、湊は少年をおぶって走り出す。
少年は深くフードを被って、顔を見られないように彼の背中に踞った。