さようなら
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「此処から先は俺の仕事だ。……というか、俺の約束なんだ。湊はただ見ててくれ」
ニュクスの核を見てそういったユキは、やっぱりいつもと変わらない声でいう。
勝てる訳のない、強大な敵。それに対してさえ、いつもどおりで。
一度ここへ来て疲れてしまった僕は、壁に背を預け、言われたとおりその様子を見ていた。
―車が、全速力でこちらへ向かってきた。
―母親が、「窓の外から出なさい!早く!」と切羽つまった声で叫ぶ。
―言葉の通り外に身を出すと、ドテッと地面に転がった。
「いたっ……おかあさ、」
顔を上げた時、そこに両親の車は無かった。
代わりに視界に入ったのは、巨大な影。
「……あなたは、だれ?」
「………我の名は『ニュクス』。世界に死を告げる者なり」
死。それに反応した俺は、ピクンと肩を震わせた。
「……みんな、死んじゃうの?」
「左様。生を奪い、命を奪う。そうして人の絶望を取り込み、糧にする。
最近は人が自らそれを望んで来るのでな、こうして目を覚ましたわけだ」
「っ……」
「ねえ、ニュクス。どうしても、今じゃなきゃダメなの?」
「……どういうことだ」
「えっと…そうだ。おれがもっとつよくなって、エレボス?から守ってみせるから。
そうしたら、ニュクスもねむれるでしょ?」
「……ほほう。面白い」
「だから、……その、それまで人は殺さないで」
「……いいだろう。その旅路、見させてもらう」
「ありがとう」
パリンと、何かが心臓の奥で割れた気がした。
キョロキョロと辺りを見回すと、前がひしゃげた、お母さん達の車を見つけ駆け寄る。
「おかあさ―」
車の中から、ドロドロと黒い何か―シャドウ―が這いずってくる。
「……ぇ……」
『ウ、グォ、がァ……』
「お、かあ、さ……おとう、さ……?
……っいやあああああああああああああああああああ!!」
後ずさり、心臓の奥で割れた何かが、黒く染まる。
「………『イーター』」
―『殺して』。
『グオオオオオオオオ!』
ウサギは真っ直ぐに両親『だったもの』に向かい、その口を開ける。
―黒、黒、黒。
少年はハッと我に返り、どうにかしてそのペルソナを止めようと手を伸ばした。
「あ、ちが……やめて、食べちゃダメ!」
バキバキ、グチャグチャ。
「っ……言うこと聞いて!止まって!『イーター』!」
黒ウサギは止まることなく完食すると、くるりとこちらを向いた。
その悦楽と狂気を孕んだ目に「ヒッ」と喉を鳴らして、一歩ずつよたよたと後ろに下がる。
「やだ……も、やだよ……」
ポタリ、ポタリ。
少年の真っ赤な瞳から涙が零れ落ち、座り込む。
すると、スッとウサギの腕が伸び、彼の胴体の中に手をするりと入れた。
「っ!?……ぅ、があぁぁ……っ」
黒ウサギは胴の中から『何か』を取り出し食べるような仕草をしてから、スウと消えていく。
しばらく経って仰々しい満月は元に戻り、遠くから救急車のサイレンが聞こえてくる。
沢山の怪我人と死体が行き交う中、救助隊の人に手を差し伸べられた少年は表情の抜けた顔で呟いた。
「……あ、れ……俺、どうして泣いてたんだっけ…」
―多分、その後に湊はデスを封印したのだと思う。
―その時見た夢に、幾らか力が弱まったニュクスが出てきたから。
―私は人の子に封印され、一時の眠りにつくこととなった。
―健気で哀れな少年よ。10年後、また相間見えることとしよう。
―夜の帳が降りる12時。世界は『影時間』となり、『ペルソナ』を持たぬ者は棺で寝るか『シャドウ』となるかを迫られる。
―10年後、私が復活するまでの間、『シャドウ』と戦うことで力をつけるがいい。丁度其処には、『タルタロス』も存在する。
―12のアルカナを持つシャドウがおぬしを阻み、そして成長させるだろう。
―忘れるな。私を封印する術が、”いのちの答え”にあることを……
ユキが、静かにクロッカーを召喚する。
そして、別れを告げるように、こちらを見て口を開いた。
「…………湊、バイバイ。それと、」
―――――。
その瞬間、全てが”終わった”。
ニュクスの核を見てそういったユキは、やっぱりいつもと変わらない声でいう。
勝てる訳のない、強大な敵。それに対してさえ、いつもどおりで。
一度ここへ来て疲れてしまった僕は、壁に背を預け、言われたとおりその様子を見ていた。
―車が、全速力でこちらへ向かってきた。
―母親が、「窓の外から出なさい!早く!」と切羽つまった声で叫ぶ。
―言葉の通り外に身を出すと、ドテッと地面に転がった。
「いたっ……おかあさ、」
顔を上げた時、そこに両親の車は無かった。
代わりに視界に入ったのは、巨大な影。
「……あなたは、だれ?」
「………我の名は『ニュクス』。世界に死を告げる者なり」
死。それに反応した俺は、ピクンと肩を震わせた。
「……みんな、死んじゃうの?」
「左様。生を奪い、命を奪う。そうして人の絶望を取り込み、糧にする。
最近は人が自らそれを望んで来るのでな、こうして目を覚ましたわけだ」
「っ……」
「ねえ、ニュクス。どうしても、今じゃなきゃダメなの?」
「……どういうことだ」
「えっと…そうだ。おれがもっとつよくなって、エレボス?から守ってみせるから。
そうしたら、ニュクスもねむれるでしょ?」
「……ほほう。面白い」
「だから、……その、それまで人は殺さないで」
「……いいだろう。その旅路、見させてもらう」
「ありがとう」
パリンと、何かが心臓の奥で割れた気がした。
キョロキョロと辺りを見回すと、前がひしゃげた、お母さん達の車を見つけ駆け寄る。
「おかあさ―」
車の中から、ドロドロと黒い何か―シャドウ―が這いずってくる。
「……ぇ……」
『ウ、グォ、がァ……』
「お、かあ、さ……おとう、さ……?
……っいやあああああああああああああああああああ!!」
後ずさり、心臓の奥で割れた何かが、黒く染まる。
「………『イーター』」
―『殺して』。
『グオオオオオオオオ!』
ウサギは真っ直ぐに両親『だったもの』に向かい、その口を開ける。
―黒、黒、黒。
少年はハッと我に返り、どうにかしてそのペルソナを止めようと手を伸ばした。
「あ、ちが……やめて、食べちゃダメ!」
バキバキ、グチャグチャ。
「っ……言うこと聞いて!止まって!『イーター』!」
黒ウサギは止まることなく完食すると、くるりとこちらを向いた。
その悦楽と狂気を孕んだ目に「ヒッ」と喉を鳴らして、一歩ずつよたよたと後ろに下がる。
「やだ……も、やだよ……」
ポタリ、ポタリ。
少年の真っ赤な瞳から涙が零れ落ち、座り込む。
すると、スッとウサギの腕が伸び、彼の胴体の中に手をするりと入れた。
「っ!?……ぅ、があぁぁ……っ」
黒ウサギは胴の中から『何か』を取り出し食べるような仕草をしてから、スウと消えていく。
しばらく経って仰々しい満月は元に戻り、遠くから救急車のサイレンが聞こえてくる。
沢山の怪我人と死体が行き交う中、救助隊の人に手を差し伸べられた少年は表情の抜けた顔で呟いた。
「……あ、れ……俺、どうして泣いてたんだっけ…」
―多分、その後に湊はデスを封印したのだと思う。
―その時見た夢に、幾らか力が弱まったニュクスが出てきたから。
―私は人の子に封印され、一時の眠りにつくこととなった。
―健気で哀れな少年よ。10年後、また相間見えることとしよう。
―夜の帳が降りる12時。世界は『影時間』となり、『ペルソナ』を持たぬ者は棺で寝るか『シャドウ』となるかを迫られる。
―10年後、私が復活するまでの間、『シャドウ』と戦うことで力をつけるがいい。丁度其処には、『タルタロス』も存在する。
―12のアルカナを持つシャドウがおぬしを阻み、そして成長させるだろう。
―忘れるな。私を封印する術が、”いのちの答え”にあることを……
ユキが、静かにクロッカーを召喚する。
そして、別れを告げるように、こちらを見て口を開いた。
「…………湊、バイバイ。それと、」
―――――。
その瞬間、全てが”終わった”。