さようなら
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―やはり、強い。
それは全員がそう思ったし、そしてどんどん減っていく薬も、それを如実に表していた。
ただ一人、ウサギだけが、ニュクスの攻撃に擦り傷さえ付けることなく攻撃を繰り返している。
―彼は、どれくらい戦っていたのだろう。
何度も何度も繰り返した、問い。
”約束のため”と強くなった身体は敵の急所を的確に抉り、そしてアルカナが変わっても躊躇うことなく攻撃していく。
―終わって欲しい。でも、終わらないで欲しい。
これがおわったら、あの青年は自分たちの前から姿を消してしまう。
でも、青年の約束は、叶えられなければならない。
いつしか、ニュクスと戦う一人の青年を、ただ武器を下ろして茫然とみている自分たちがいた事に気がついた。
白い髪が跳ね、赤い瞳がおびただしい月の光で輝き、振り下ろされるナイフや呼応するように鳴く時計兎が、とても異様な程に映えていた。
「これで……、終わりだ」
一突き。たったそれだけの攻撃で、ニュクスがピタリと止まった。
「……お、わった……の……?」
「いや……まだ」
ウサギが手応えを確かめながらそういうと、「その通り」とニュクスが口を開く。
「もう、遅い……否、”約束”の時はこれからだ……」
空へ上がっていくニュクスを目で追いかけると、先程まで月があったその場所に、禍々しい”何か”があった。
大きな目玉のような、如何とも形容し難い”それ”の力は強く、それは影時間に影響を与える。
「……、皆、象徴化が解けてる……!?」
風花がありえないと声を上げた。象徴化の解けた、棺桶から出てきた人々は空を見て、「終末だ!」と一様に叫びだす。
そしてある一人がウサギの姿に気づいたのか、あ、と一際大声を出して言った。
「し、白い髪の少年だ!皆、皆殺されるぞ!」
「なっ……違う!彼は殺したりなんかしない!」
「アンタ等に、コイツの何が分かるっつーんだよ!!」
順平達が否定するも、群衆の声は止まない。
「お前が全ての元凶なんだろ!」「疫病神!」「人殺し!」という声が、四方八方から聞こえてくる。
「、だから、違うって……!!!」
「いいよ、別に」
ウサギは分かりきっていたのか、それだけ言った。
「そう思いたければ、思えばいい。……どうせ死ぬんだ、どんな事を言われたって気にしない」
そう肩を竦めると、ニュクスの入っていった何かの力が一層強まり、湊達は立っていられなくなる。
「ぐっ……」
「……大丈夫か?」
ウサギはただ一人平然とした顔で、”何か”に対し整然と立っていた。
湊も起き上がれるほどの力はあったのか、何とか起き上がると、その”何か”を睨む。
「……湊、行くか?」
「……ああ」
二人は”何か”に対し、小さく言葉を吐いた。
すると彼等の身体がフワリと浮き、”何か”に飲み込まれていく。
美鶴達が止めようとした声は、その力によってかき消された。
それは全員がそう思ったし、そしてどんどん減っていく薬も、それを如実に表していた。
ただ一人、ウサギだけが、ニュクスの攻撃に擦り傷さえ付けることなく攻撃を繰り返している。
―彼は、どれくらい戦っていたのだろう。
何度も何度も繰り返した、問い。
”約束のため”と強くなった身体は敵の急所を的確に抉り、そしてアルカナが変わっても躊躇うことなく攻撃していく。
―終わって欲しい。でも、終わらないで欲しい。
これがおわったら、あの青年は自分たちの前から姿を消してしまう。
でも、青年の約束は、叶えられなければならない。
いつしか、ニュクスと戦う一人の青年を、ただ武器を下ろして茫然とみている自分たちがいた事に気がついた。
白い髪が跳ね、赤い瞳がおびただしい月の光で輝き、振り下ろされるナイフや呼応するように鳴く時計兎が、とても異様な程に映えていた。
「これで……、終わりだ」
一突き。たったそれだけの攻撃で、ニュクスがピタリと止まった。
「……お、わった……の……?」
「いや……まだ」
ウサギが手応えを確かめながらそういうと、「その通り」とニュクスが口を開く。
「もう、遅い……否、”約束”の時はこれからだ……」
空へ上がっていくニュクスを目で追いかけると、先程まで月があったその場所に、禍々しい”何か”があった。
大きな目玉のような、如何とも形容し難い”それ”の力は強く、それは影時間に影響を与える。
「……、皆、象徴化が解けてる……!?」
風花がありえないと声を上げた。象徴化の解けた、棺桶から出てきた人々は空を見て、「終末だ!」と一様に叫びだす。
そしてある一人がウサギの姿に気づいたのか、あ、と一際大声を出して言った。
「し、白い髪の少年だ!皆、皆殺されるぞ!」
「なっ……違う!彼は殺したりなんかしない!」
「アンタ等に、コイツの何が分かるっつーんだよ!!」
順平達が否定するも、群衆の声は止まない。
「お前が全ての元凶なんだろ!」「疫病神!」「人殺し!」という声が、四方八方から聞こえてくる。
「、だから、違うって……!!!」
「いいよ、別に」
ウサギは分かりきっていたのか、それだけ言った。
「そう思いたければ、思えばいい。……どうせ死ぬんだ、どんな事を言われたって気にしない」
そう肩を竦めると、ニュクスの入っていった何かの力が一層強まり、湊達は立っていられなくなる。
「ぐっ……」
「……大丈夫か?」
ウサギはただ一人平然とした顔で、”何か”に対し整然と立っていた。
湊も起き上がれるほどの力はあったのか、何とか起き上がると、その”何か”を睨む。
「……湊、行くか?」
「……ああ」
二人は”何か”に対し、小さく言葉を吐いた。
すると彼等の身体がフワリと浮き、”何か”に飲み込まれていく。
美鶴達が止めようとした声は、その力によってかき消された。