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「……湊くん、少し、いいかな?」
ユキが何処かへと消え、順平を落ち着かせて何とか寮に戻った後、山岸がそう声をかけてきた。
「いいよ、何?」
「ウサギさんなんだけど……私が最初に会った時より、負のエネルギーが溜まってるみたいなの」
負のエネルギー。
その言葉に、軽く目を瞠る。
「シャドウみたいなものって、言ったらいいのかな……多分、イーターを使う度に増えてるみたいで……」
彼女はそう付け加えて、おずおずとこちらを見た。
「あんまり使わない方がいいかもしれないって、言っておいてくれないかな?私からだと、どうも……」
「わかった」
できるだけ安心させるような声で肯けば、山岸はホッとしたように笑顔を見せて、「じゃあ、おやすみなさい」と階段を上っていった。
僕は無言で携帯を取り出し、慣れたようにメール画面を表示させる。
『イーター、どのくらい使ってる?』
そしてそのままソファーに腰掛け、大人しいコロ丸の頭を撫でれば、すぐランプが点滅した。
『湊達の前で暴走させてから、結構』
『風花が、シャドウみたいなのが身体に溜まってるみたいだからあまり使わない方がいいって』
『善処はする』
(……絶対これは考えてない)
すぐに帰ってきた返事に顔を顰め、『そういえば、今日珍しく怒鳴ってたね』と話題を変える。
『怒鳴ってた?』
『自覚なかったの?』
『ああ。イーター召喚させるために、無意識に叫んでたかもな』
淡々とした返事に、開いた口が塞がらない。
―あれは感情を爆発させたとか、そういうものじゃないのか。
『てっきり、珍しく感情が顕になったと思ったんだけど』
『俺よりチドリの方が、感情について豊かだっただろ』
その文面に、僕はピタリと、返信を打とうとしていた指を止めた。
(……チドリのほうが、ね……)
彼女でも、結局一番最期に分かったようなものだ。
それよりもないということは、まだ彼は、様々な感情を失ったままなのだろうか。
どう返そうか、どう尋ねようか迷っていると、ピコンとまたランプが点滅する。
それは彼にしては長く、僅かにスクロールをしていけば、やはり心を読んだような文章が綴られていた。
『イーターについての回答だが、このまま使っても”約束”まで生きる事くらい可能だ。その後はどうせ死ぬだけだし、それ以上延命しようとしても無駄だと言う事はイゴールの話で既に理解している。
それよりも、チドリを注意深く見ておけ。
アイツから、死んだあとすぐの人間からする匂いが感じられなかった。もしかしたら、まだ彼女のペルソナの加護があるのかもしれない。
追記・明日バイトに新入りが来るらしいから、把握しておいて』
「……ほんっとうに、何でもかんでもお見通しなんだな……」
それに、完全にこちらに頼る気なんてない。
重要な事をサラリと言われたまま終わってしまった会話に苦笑すれば、コロ丸が同意するように一度吠えた。
ユキが何処かへと消え、順平を落ち着かせて何とか寮に戻った後、山岸がそう声をかけてきた。
「いいよ、何?」
「ウサギさんなんだけど……私が最初に会った時より、負のエネルギーが溜まってるみたいなの」
負のエネルギー。
その言葉に、軽く目を瞠る。
「シャドウみたいなものって、言ったらいいのかな……多分、イーターを使う度に増えてるみたいで……」
彼女はそう付け加えて、おずおずとこちらを見た。
「あんまり使わない方がいいかもしれないって、言っておいてくれないかな?私からだと、どうも……」
「わかった」
できるだけ安心させるような声で肯けば、山岸はホッとしたように笑顔を見せて、「じゃあ、おやすみなさい」と階段を上っていった。
僕は無言で携帯を取り出し、慣れたようにメール画面を表示させる。
『イーター、どのくらい使ってる?』
そしてそのままソファーに腰掛け、大人しいコロ丸の頭を撫でれば、すぐランプが点滅した。
『湊達の前で暴走させてから、結構』
『風花が、シャドウみたいなのが身体に溜まってるみたいだからあまり使わない方がいいって』
『善処はする』
(……絶対これは考えてない)
すぐに帰ってきた返事に顔を顰め、『そういえば、今日珍しく怒鳴ってたね』と話題を変える。
『怒鳴ってた?』
『自覚なかったの?』
『ああ。イーター召喚させるために、無意識に叫んでたかもな』
淡々とした返事に、開いた口が塞がらない。
―あれは感情を爆発させたとか、そういうものじゃないのか。
『てっきり、珍しく感情が顕になったと思ったんだけど』
『俺よりチドリの方が、感情について豊かだっただろ』
その文面に、僕はピタリと、返信を打とうとしていた指を止めた。
(……チドリのほうが、ね……)
彼女でも、結局一番最期に分かったようなものだ。
それよりもないということは、まだ彼は、様々な感情を失ったままなのだろうか。
どう返そうか、どう尋ねようか迷っていると、ピコンとまたランプが点滅する。
それは彼にしては長く、僅かにスクロールをしていけば、やはり心を読んだような文章が綴られていた。
『イーターについての回答だが、このまま使っても”約束”まで生きる事くらい可能だ。その後はどうせ死ぬだけだし、それ以上延命しようとしても無駄だと言う事はイゴールの話で既に理解している。
それよりも、チドリを注意深く見ておけ。
アイツから、死んだあとすぐの人間からする匂いが感じられなかった。もしかしたら、まだ彼女のペルソナの加護があるのかもしれない。
追記・明日バイトに新入りが来るらしいから、把握しておいて』
「……ほんっとうに、何でもかんでもお見通しなんだな……」
それに、完全にこちらに頼る気なんてない。
重要な事をサラリと言われたまま終わってしまった会話に苦笑すれば、コロ丸が同意するように一度吠えた。