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真っ白な病室。
オレは気づいたらそこにいて、チドリがベッドから身体を起こし微笑んでいた。
―「順平は……こんな所で死んじゃダメ」
―「オレが……死ぬ?」
彼女はコクリと頷き、そして小さく口を開く。
―「……――――」
―「えっ!?」
そこで視界が突如暗転した。
「……あっ!」
「順平くん!」
「順平!」
順平はハッと目を覚まし、そしてその隣で倒れたチドリの体を抱き起こす。
「これからはね……私が……順平を、守るよ……ずっと……」
彼女はとても幸せそうな表情で、順平の頬に触れた。
「あ…ああ、オレもだ!オレだって君を守るよ!、だから……!」
「ふふ……」
必死で笑顔を作る順平とは裏腹にチドリはとても落ち着いていて、彼の言葉にクスリと微笑む。
「やっぱり……いい気持ちだね……順平と居ると……いい気持ち……」
「チドリっ!」
「大好き……順……平……あり……が、とう……」
「……!?」
チドリの体は力を失い、順平の腕の中でずしりと重くなった。
「チ……ドリ?……うそだろ?」
彼は目を見開き、彼女の身体を揺さぶる。
だが、堅く瞳は閉じられ、肌の色素もだんだんと白くなるだけ。
―俺は、……この状態を何と呼ぶか、知っている。
「チドリ……返事、してくれよ……チドリィィ!!あああぁぁぁぁぁ!!」
順平はボロボロと涙を零し、彼女の冷たくなっていく身体を抱きしめ慟哭した。
しかしタカヤは冷めた表情で、ため息をつく。
「愚かな……こんなにも下らない最期を選ぶとは……」
「「下らない……?」」
ピクリと、俺と順平が反応する。
「……ん?」
タカヤは首を傾げ、俺はゆらりと立ち上がり、掌にカードを形成した。
「大切な人を守って、何が悪い。何かを守りたいなんて、当たり前だろ。
……それを見失って迷ってばかりいる奴が、出来た奴の死を軽く見るんじゃねえ!」
俺が吠えたと同時にそのカードは真っ黒に染まり、俺はそれをナイフで切り裂く。
「うおぉぉぉぉー!!ペルソナァァァッ!!」
合わせるように順平が召喚器の引鉄を引くと、その想いに応えるように、新たな力が溢れ出した。
「……メーディア!?」
―彼のペルソナがチドリのペルソナと一つになり、新たな力、”トリスメギストス”へと覚醒した。
「イーター、”晩餐”!!」
「トリスメギストス!行っけぇぇぇぇ!!」
「なっ!?」
「ぐあっ!!」
タカヤにトリスメギストスの炎が、ジンにはイーターの鎌が襲いかかり、二人は膝を折って倒れる。
「……これ以上邪魔すんなら、そのペルソナごと、アンタ等を喰ってやる」
そう低く告げると、それに呼応するようにイーターが鳴いた。
”食べていい”と言われるのを待っているように、嬉々とした表情で。
タカヤは舌打ちし、ジンと共に消えた。
順平は、チドリの頬にそっと触れ、優しく笑ってみせる。
「チドリ……オレ、オレ……こんなの、キツ過ぎっけど……
でもさ……オレ一人の命じゃないんだよな……」
「順平……」
語りかけるような声に、ゆかりたちは見ていられなくなったのか顔を下げる。
(……そりゃあ、そうか、コイツらも大体、人を亡くしてる)
俺は小さく息を吐いて、はてと考える。
(……俺は親が死んだ時、何を感じたのだろう?)
もし、感情がその時あったのなら、自分はどんな反応をしていた?
泣いた?困惑した?怒った?
(……ダメだ。もうこの記憶も、薄くなりかけてる)
―最近、昔の記憶の消える速度が早まっている、気がする。
母の歌どころか、事故直後の事も思い出せない。覚えているのは、ただただ真っ白い部屋にいた数週間の出来事からだ。
「……いっそ、全て忘れてしまえたらいいのに」
ポツリ嘯いて、彼らに背を向け歩き出す。
この後は何のバイトだったか、それだけを考え、月明かりの照らす夜道をひたすらに進んだ。
オレは気づいたらそこにいて、チドリがベッドから身体を起こし微笑んでいた。
―「順平は……こんな所で死んじゃダメ」
―「オレが……死ぬ?」
彼女はコクリと頷き、そして小さく口を開く。
―「……――――」
―「えっ!?」
そこで視界が突如暗転した。
「……あっ!」
「順平くん!」
「順平!」
順平はハッと目を覚まし、そしてその隣で倒れたチドリの体を抱き起こす。
「これからはね……私が……順平を、守るよ……ずっと……」
彼女はとても幸せそうな表情で、順平の頬に触れた。
「あ…ああ、オレもだ!オレだって君を守るよ!、だから……!」
「ふふ……」
必死で笑顔を作る順平とは裏腹にチドリはとても落ち着いていて、彼の言葉にクスリと微笑む。
「やっぱり……いい気持ちだね……順平と居ると……いい気持ち……」
「チドリっ!」
「大好き……順……平……あり……が、とう……」
「……!?」
チドリの体は力を失い、順平の腕の中でずしりと重くなった。
「チ……ドリ?……うそだろ?」
彼は目を見開き、彼女の身体を揺さぶる。
だが、堅く瞳は閉じられ、肌の色素もだんだんと白くなるだけ。
―俺は、……この状態を何と呼ぶか、知っている。
「チドリ……返事、してくれよ……チドリィィ!!あああぁぁぁぁぁ!!」
順平はボロボロと涙を零し、彼女の冷たくなっていく身体を抱きしめ慟哭した。
しかしタカヤは冷めた表情で、ため息をつく。
「愚かな……こんなにも下らない最期を選ぶとは……」
「「下らない……?」」
ピクリと、俺と順平が反応する。
「……ん?」
タカヤは首を傾げ、俺はゆらりと立ち上がり、掌にカードを形成した。
「大切な人を守って、何が悪い。何かを守りたいなんて、当たり前だろ。
……それを見失って迷ってばかりいる奴が、出来た奴の死を軽く見るんじゃねえ!」
俺が吠えたと同時にそのカードは真っ黒に染まり、俺はそれをナイフで切り裂く。
「うおぉぉぉぉー!!ペルソナァァァッ!!」
合わせるように順平が召喚器の引鉄を引くと、その想いに応えるように、新たな力が溢れ出した。
「……メーディア!?」
―彼のペルソナがチドリのペルソナと一つになり、新たな力、”トリスメギストス”へと覚醒した。
「イーター、”晩餐”!!」
「トリスメギストス!行っけぇぇぇぇ!!」
「なっ!?」
「ぐあっ!!」
タカヤにトリスメギストスの炎が、ジンにはイーターの鎌が襲いかかり、二人は膝を折って倒れる。
「……これ以上邪魔すんなら、そのペルソナごと、アンタ等を喰ってやる」
そう低く告げると、それに呼応するようにイーターが鳴いた。
”食べていい”と言われるのを待っているように、嬉々とした表情で。
タカヤは舌打ちし、ジンと共に消えた。
順平は、チドリの頬にそっと触れ、優しく笑ってみせる。
「チドリ……オレ、オレ……こんなの、キツ過ぎっけど……
でもさ……オレ一人の命じゃないんだよな……」
「順平……」
語りかけるような声に、ゆかりたちは見ていられなくなったのか顔を下げる。
(……そりゃあ、そうか、コイツらも大体、人を亡くしてる)
俺は小さく息を吐いて、はてと考える。
(……俺は親が死んだ時、何を感じたのだろう?)
もし、感情がその時あったのなら、自分はどんな反応をしていた?
泣いた?困惑した?怒った?
(……ダメだ。もうこの記憶も、薄くなりかけてる)
―最近、昔の記憶の消える速度が早まっている、気がする。
母の歌どころか、事故直後の事も思い出せない。覚えているのは、ただただ真っ白い部屋にいた数週間の出来事からだ。
「……いっそ、全て忘れてしまえたらいいのに」
ポツリ嘯いて、彼らに背を向け歩き出す。
この後は何のバイトだったか、それだけを考え、月明かりの照らす夜道をひたすらに進んだ。