【銀時】夏の花火
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夏といえば、海やプール、バーベキューやお祭りなど、思い浮かぶイベントごとはたくさんある。
灼熱の太陽に照らされたかぶき町の道を歩く坂田銀時は、はぁと深くため息をついた。
「この暑さ尋常じゃないだろ・・・なんだよ35度超えって・・・なんだよ40度超えって・・・普通に体温も風呂の温度も超えてるじゃねーか、ふざけんじゃねーよコノヤロー」
パチンコ帰りなのか、片手には景品が入った小さな袋を携えていた。
よく周りを観ると、男女共に浴衣を着て歩く人が多く見受けられた。
「・・・なんだぁ?祭りでもあんのか?」
銀時は頭を掻きながらぼそりと呟く。
気だるそうに帰路につき、スナックお登勢の横の階段を上がっていく。
「銀時様」
背後から聞き慣れた声がした。
銀時はすぐに振り向くと、そこにはからくり家政婦の「たま」が立っていた。
「おー、たま。お勤めご苦労さん。
なんだ?休憩か?」
「いいえ、からくりは休息は必要としません。ゴミ出しをしに行くところでちょうど銀時様の姿が見えたのでお声がけしてみただけです」
「おーおーそうか。
そういやたまよ、今日なんかかぶき町で祭りでもあんのか?」
「銀時様、ご存知ないのですか?
今日は江戸一番の花火大会がある日ですよ」
「・・・は?」
銀時は思わず片手に持つ袋を落としそうになった。
ここ最近銀時はパチンコ店に入り浸っていたせいか、世間のイベント情報も耳に入ってきていなかった。
「花火・・・大会?」
「・・・えぇ。銀時様は、名無し様とは行かれないのですか?」
「・・・」
ーーー
「・・・花火大会ねぇ・・・たまには情緒感じていいかもしんねーけどよ・・・」
たまと分かれた後万事屋に帰宅し、すぐに居間のソファーに寝転がる銀時。
万事屋にはいつも通り神楽と新八がいる。
神楽は定春を撫でながら餌を与え、新八は部屋の掃除をしていた。
「どうしたアルか銀ちゃん」
「銀さん、またパチンコ行ってきたんですか?少しは仕事して下さいよ」
「うるせーなぁ。仕事つったって依頼がねーんじゃどうしよーもねーだろうが」
銀時は新八にそう言い返すと、テーブルの上に置いてあったジャンプに手を伸ばし、寝転がったまま読み始める。
「そういえば銀さん、今日江戸で花火大会があるらしいですけど、名無しさんとは行かないんですか?」
「・・・」
ーーーどいつもこいつも同じこと言いやがって・・・そりゃ確かに?俺だって名無しと花火見に行きてーよ?祭りでランデブーしてーよ?
けど名無しだって仕事してる身だしそんな毎日毎日俺みてーに暇人じゃねーだろ・・・
「せっかくなら声掛けてみたらどうです?
名無しさん仕事だったとしてもいつも終わるの夕方でしょう?もう家に帰ってるかもしれないですよ」
「そうネ銀ちゃん。女の子はみんな花火とか祭りとか好きな人と一緒に行きたい生き物だってマミーが言ってたヨ。
名無しちゃんと行ってきて、そんで屋台で食べ物の土産大量に買ってくるヨロシ」
「おめーは屋台のモン食べてーだけだろ」
気を使ったつもりなのか、そう嫌味ったらしく新八と神楽は言ってきた。
「・・・そうだなぁ、まぁお前らが?そこまで言うなら?依頼もねーし連絡だけしてみっか・・・」
よっこいせと起き上がり、万事屋の電話に手を伸ばそうとした瞬間、
Prrrrr Prrrrr
「っ!?」
受話器を取り上げようとしたナイスタイミングで、電話のコール音が鳴り響いた。
銀時は驚いて身体を震わせたが、まさかな・・・と恐る恐る受話器を手に取り耳にあてがった。
「・・・も、もしもし万事屋ですけど〜」
「あ!銀さん?お疲れ様!」
「名無し!?」
電話を掛けてきた相手は、たった今電話を掛けようとしていた恋人の名無しだった。
「どどど、どうしたんだ?仕事終わったのか?」
「うん!今帰ってる途中なんだけど、今日花火大会があるって聞いたから、銀さんが予定空いてたら一緒に見にいきたいなって思って」
「え」
ーーーまさかの先手を打たれた。
「あ、もしかして依頼入ってる?
一緒に行きたかったけど忙しいならしょうがないか・・・」
「い!いやいやいやいや!依頼なんか入ってねーし銀さん暇してるよウン」
先手を打たれたカッコ悪さに、銀時は動揺してあたふたしてしまった。
ーーーまじかよ、俺めちゃくちゃカッコ悪いじゃん・・・こんなんならさっさと誘っとくんだった・・・
「ほんとに?じゃあこのまま万事屋向かうからちょっと待っててね!」
「お、おう分かった・・・待ってるぜ・・」
「うん!じゃあまた後でね!」
プツッと電話が切れた。
あまりにもスピーディーなお誘いに思わず棒立ちで立ち尽くしてしまった。
そんな銀時を見て察したのか、新八と神楽はじーっとその背を凝視していた。
視線に気付いたのか、銀時は恐る恐るゆっくり振り向いた。
「・・・」
「「・・・・・・」」
「・・・っ」
「「・・・かっこ悪」」
そう冷めた目で2人は吐き捨てたのであった。
→続く
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