坂田銀時との出会い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝一で万事屋に電話をした。
しばらくコールが鳴るが、出る気配がない。
まだ寝ているのだろうか?
昨日夕食を共にしている時に、万事屋のことを少し聞かせてもらった。
新八くんは万事屋に住み込みなわけでなく、朝に万事屋に来て、夜は自宅に帰っているらしい。
比べて神楽ちゃんと定春は、銀さんと同じく万事屋を家として使っているため、常に万事屋にいるらしい。
なので万事屋に誰もいないはずがないのだが・・・
私は一度電話を切ると、はぁと溜め息をついた。
「直接渡しに行っちゃおうかな・・・でも正式な金額も教えてもらってないしなぁ・・・」
渡し忘れた報酬金の封筒を片手に持つ。
「まぁいいや、とりあえずもう少ししたら行ってみよう」
ーーー
昼頃、いつもより洒落込んだ服を着て、トボトボと万事屋に向かっていた。
一度しか行ったことがないので、銀さんからもらった名刺に書いてある住所とネットの地図を照らし合わせ、記憶も頼りに進む。
「あ、あそこだ」
数日ぶりのあの看板を見た。
一階の「スナック お登勢」と、二階の「万事屋 銀ちゃん」。
緊張して生唾を飲み、私はゆっくりと万事屋銀ちゃんへ登る階段を進む。
やけに静かだ。
「いなかったらどうしよう・・・」
そんなことを考えながら、恐る恐るインターホンを鳴らした。
ピンポーン
「・・・」
数秒後、中からドタドタと足音が聞こえてきたので、どうやら人はいるようだ。
「はいはーい、どちらさまですかー」
ガラッと横開きのドアが開くと、そこにはあの好青年、新八が立っていた。
「あっ・・・新八くん・・・」
「名無しさん!?どどど、どうしてここに!?」
「え、あ・・・あの・・・昨日報酬を渡し忘れちゃって・・・」
「え!?そうなんですか!?てっきりあの後銀さんが回収したとばかり思ってました!
あっ良かったら中にどうぞ!」
新八は家の中に促してくれた。
前に銀さんを送り届けるのに来た時は躊躇ったが、もうお互い初対面というわけでもないので、遠慮なく上がらせてもらうことにした。
ーーー銀さんは・・・いないのだろうか?
「さささっ!今お茶でも出しますから、ゆっくりくつろいでて下さい!」
中に入ると、リビングのような大広間にソファとテーブル、テレビ、そして何故か糖分という文字が書かれている額縁。その下にはもう一つ大きい長机があった。
「名無しちゃん!?どうしたアルか!」
「あ、神楽ちゃんおはよう。昨日ぶりだね」
神楽はソファに寝転がりながらテレビを見ていたようで、私を見るとすぐ駆け寄って来て抱きついて来た。
「昨日はありがとうね。
お礼のお金を渡し忘れちゃったから来たんだけど・・・あの・・・」
私がキョロキョロと周りを見渡すと同時に、新八がリビングに戻ってきて、机にお茶を置いてくれた。
「あぁ、今銀さん外出ちゃってて・・・
夕方には帰ってくると思うんだけど・・・」
「銀ちゃんまたパチンコ行くとか言ってさっき行っちゃったアル」
「あ・・・そうなんですね・・・」
少し期待外れで肩を落としてしまった。
新八はどうぞ座って下さいとニコニコしながら私に言い、私はソファに腰掛けた。
「銀さん、パチンコやるんですね」
「大したお金持ってないんですけどね。僕達の生活の事もいい加減考えろって言ってはいるんですけど辞めてくれないんです」
「あの腐れ天パにもう何言っても無駄ネ。この前もパチンコ帰りにお酒飲みすぎて、街中でゲロりそうだったとか言ってたアル」
ーーーもしかして、私が話しかけたあの日のことだろうか?あれのパチンコ帰りだったのか・・・
「確か、その時助けてくれたのが名無しさんだったんですよね?何だか浮ついた様子で話してましたよ」
「っ!」
「可愛い子ちゃんに水貰って生き返ったのなんだのって、銀さんが」
思わず顔が赤くなる。
銀さんがそんな風に2人に話していたなんて、想像するだけで爆発しそうだ。
顔が赤くなっているのを隠すように、すぐに話題を変える。
「あっあの!報酬なんですが・・・いくら払えばいいか聞いてなかったんで・・・とりあえず10万ほど持ってきました」
私は10万入った封筒を向かいに座っている新八に渡すと、
「えっ!!10万!?」
新八はビックリした顔で受け取る。
「ここここんな大金じゃなくていいんですよ名無しさん!!相場は大体1日辺り2.3万なんで!」
「あ、そうなんですか・・・でもそれ以上に楽しい時間も過ごせたのでぜひ受け取って下さい。お金には今余裕があるので」
「キャッホーイ!!これで酢こんぶ大量に買い占められるネ!!」
「かっ神楽ちゃん!!」
そんな昨日ぶりの2人のやり取りを見て、思わずクスリと笑ってしまう。
ーーー万事屋さんって、なんでこんなに賑やかで楽しいんだろう。
「すいません名無しさん・・・昨日はご飯も頂いちゃったのに、こんなお金まで・・・」
「気にしないで下さい。ぜひ万事屋さんの生活の足しにしてくださいな」
「名無しちゃんのが銀ちゃんよりよっぽど羽振りがいいアル。あの天パ解雇して名無しちゃんが万事屋のリーダーになってくれた方がいいネ」
神楽が私の隣に座ってスリスリと抱きついてきた。
「まったく、ほんと銀さんたらこんな大事な時になんでパチンコなんて行ってるのやら・・・帰ってきたらキッチリお礼言わせますね」
「・・・・・・」
ーーー銀さん。
早く会いたい。
またあの気怠げな声、聞きたい。
銀さんに会いにきた目的ではないとしても、やはり思い人がいないとなると少し寂しい。
会って話したい。早く帰ってこないかな。
・・・あ、そうだ、この2人になら話しても大丈夫かな。
それこそまだ2人とは昨日会ったばかりの仲だけども、相談するくらいなら、いいよね?
「あの・・・新八くん、神楽ちゃん・・・」
私は俯きながら膝をギュッと握ると、震えた声を絞り出した。
2人はキョトンとした顔でこちらを向く。
「えと・・・その・・・実は私、相談したいことがあって・・・」
「何でも言ってください!協力できることなら全力で協力しますよ!」
「そうヨ!悩み事があるなら話すネ!」
「あ・・・あの・・・実は・・・・・・
銀さんのこと、好きになっちゃったかもしれないんです」
「「!!??」」
ーーー言ってしまった。
私は2人の顔を見れずにいた。