坂田銀時との出会い
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「今日はありがとうございました。お陰で助かりました」
外はもう暗くなっていた。
結局最後はみんなで協力しながら部屋の片付けをし、ダンボールの山は全て無くなった。
家具の配置も掃除もお願いしたので、いよいよ新生活じみてきたかもしれない。
時間も時間だったので、片付けが終わったついでに軽い夕食を作って、みんなでテーブルを囲んだ後である。
「名無しさんごめんなさい、神楽ちゃんがあんな暴れたせいで時間が掛かっちゃって。しかも夕食までご馳走になっちゃって・・」
「なんでアルか!私は銀ちゃんに言われた通り名無しちゃんの部屋片付けただけアルよ!大した仕事してない新八よりはましネ。
それに名無しちゃんの手料理すごい美味しかったヨ!また食べに来ていいアルか?」
「あぁ大丈夫ですよ。いつでも遊びにきて下さい。むしろ皆さんこんな時間までお手伝いして頂き本当にありがとうございました」
ペコリと皆にお辞儀をする。
「飯まですまねぇな名無し。何からなにまで世話になりっぱなしだな」
「いいんですよ銀さん。私もここに来たばかりで心細かったので・・・なんだか一気にお友達が出来たみたいで嬉しいので」
「そう言ってくれるならこっちも嬉しいこった。さ、そろそろ行くぞ新八神楽定春」
銀さんはあくびをしながら玄関に向かう。
2人と1匹も、それに続くように玄関に向かい外に出る。
「では名無しさん。またなにかあったらお気軽に呼んで下さいね!」
「またご飯食べさせてくれるなら来てやってもいいアルよ!」
「コラ神楽ちゃんっ」
新八くんがぽこっと神楽ちゃんの頭を打つ。
そうして2人はぎゅーぎゅーになった玄関に留まりすぎるのは良くないと思ったのか、私にお辞儀をした後、「銀さん先に歩いてますねー」とそそくさと出ていった。
神楽は定春にまたがり、また来るネー!と手を振ってくれた。
残る銀さんも玄関で座り込み、ブーツを履き始める。
「銀さん、本当に今日はありがとうございました。久しぶりにこんな楽しくて賑やかな時間過ごせた気がします」
「なら良かった。こんな平和に終わった依頼は俺も久しぶりだぜ。よっこらせ」
銀さんは立ち上がり、玄関のドアに手を掛け私の方に振り向く。
「じゃ、またなにかあったら万事屋銀ちゃんをよろしくお願いな」
「っ!」
ーーー銀さんが行っちゃう。
そう思うと同時に、私の身体は勝手に動いていた。
出て行こうとするその銀さんの着物の袖を、思わずはしっと掴んでしまった。
「?」
銀さんはビックリしたように私の顔を見た。
私はやっちまった、と言わんばかりに一瞬凍り付いてしまったが、すぐに手放した。
「あ!ご!ごめんなさい!」
「・・・」
やばい、私絶対今顔赤くなっているだろう。
恥ずかしい。逃げたい。
そう焦っている時、彼はふと微笑んで私のその手を握りしめて来た。
彼の手も、とても熱くなっていた。
「どうした名無し?手も熱いし顔も赤いぞ?大丈夫か?熱でもあるんじゃないのか?」
銀さんはそうキョトンとしながら、自分の額と私の額をコツンと合わせてきた。
そんなベタな展開に、私は更に顔から火が出そうになった。
「っ!!??///」
「ちと熱っぽいが平熱のうちかぁ?
まぁ今日は一日バタバタさせちまったから疲れからかもな。今日はゆっくり寝て休めよな」
銀さんはおでこを離し、少し心配そうな顔で今度は頭を撫でてきた。
ーーーどうしよう。もう想いが抑えられない。
新八くんや神楽ちゃんがいなくなって、今は実質2人きりで、余計にドキドキが止まらなくなる。
「じゃーな名無し。また会えるの楽しみにしてるぜ」
「!」
彼はそんな私を尻目に、手をヒラヒラとしながら家を出ていった。
ガチャリと静かにしまったドアを見て、少しの寂しさと、動悸を抑えこむように地べたにヘタリと座り込んだ。
「もう・・・ずるいよ、銀さん・・・」
はあ〜あ、と銀さんの額と触れ合った自分の額をさする。
ーーーこれは、本気の恋だ。
本気の一目惚れだ。
私は決めた、銀さんに今度会ったら想いを伝えてみよう。
まだ会ったばかりで引かれるかもしれない。
もう依頼でも会ってくれなくなるかもしれない。
でも、一目惚れってそういう物でしょ?
「・・・でも・・・部屋の片づけも終わっちゃったし、またすぐ別の依頼なんてしたら怪しまれるだろうし・・・そもそももう依頼なんか思いつかないよ・・・」
モヤモヤしてると、ふと思い出した。
「あっ!そういえば報酬!!渡してない!!」
すぐ立ち上がり、渡すつもりで机に置きっ放しになっていた報酬金に駆け寄った。
相場がわからなかったので、目安として5万ほど入った封筒。
「どうしよ・・・今から走っていったら追いつくかな・・・でももう真っ暗だし・・・」
ーーーまた会えるの楽しみにしてるぜ。
「っ!」
銀さんの去り際の言葉を思い出した。
彼は最初から金にがめつい発言をしていた。その彼が報酬金のことを忘れるはずがない。
もしかして・・・
「もしかして、わざと忘れて・・・
って、そんなこと・・・ないよね・・・」
冷静になり、ソファに座る。
また明日、万事屋に電話してみよう。
報酬は絶対に渡さねばならない。
報酬を渡し忘れたからまた会う機会を作るなんて、まるでシナリオ通りに動かされているなぁと苦笑いをする。
私は抑えきれないこの気持ちを彼にぶつけようと決めると、綺麗になった広い部屋で1人、瞳に熱い涙を浮かべるのであった。