夜のイカロス
До свидания
Tchau
Au revoir
مَعَ ٱلسَّلَامَةِ
Adiós
再见
Good Bye
さようなら
さようなら 美しき愛しい世界
さようなら
さようなら
さようなら
さようなら
さようなら
こんにちは 新しい大地よ
※※※
「なんかさぁ、最近雨降らないよな」
3月31日。廊下から見える空を仰いでエースはぽつりとそんなことを呟いた。その言葉に従うように監督生とグリム、デュースも同じように空を見上げる。確かにこのところ、ずっと快晴が続いている。今は休み時間で、廊下には他にも生徒達の姿もある中、空を見上げているのはエース達だけだ。
「そうだな。確かにここ最近、ずっと晴れてる気がする」
「こういう時、母さんがやたら水不足気にするんだよね。気にしたってしょうがないと思うんだけど」
困惑した声を出すエースに監督生は苦笑する。
「魔法で水を出せば良かろう?」
「それができたら、苦労しないっつーのっ。あれ、カリム先輩はできるけど、あくまでもユニーク魔法だからできることなんだからなっ!」
「そうなのか。我にはよう分からぬ」
「ああ、そうか。監督生は魔法が使えないから、そういうのも分からないのか」
「うむ」
「そう言われてみれば、オレ様、ただでさえ水系の魔法は得意じゃねぇのに、水を大量に出す魔法ってできる気がしねぇんだゾ……」
「雨、降るといいなー」なんて希望的観測を言い合いつつ、そろそろ戻ろうと教室へ踵を返そうとした時、エースは見知った顔が教室を後にし、そのままどこかへ向かう姿を見付けた。
「あれ、オルトじゃん」
「ほんとだ。もうすぐ授業が始まるのに、どこへ行くんだろう?」
「おーい、オルトぉ!」
グリムの呼び声にオルトは直ぐ様反応し、わざわざ踵を返して来てくれる。
「あ、グリムさん、監督生さん、エース・トラッポラさん、デュース・スペードさん。こんにちは」
「もうすぐ次の授業が始まるけど、どこ行こうとしてたんだ?」
デュースの疑問にオルトは少し困ったように眉を下げた。
「実はさっき兄さんに呼び出されたから、これから寮に戻るところだよ」
「あの人、またタブレット出席なんだ」
「何故、わざわざ寮に帰るのだ? たいした用事なのか?」
「うん。……ちょっと緊急の用事でね。でも、すぐ戻るから大丈夫だよ」
「じゃあ、僕、急ぐからまたね!」と手を振りつつ、廊下を飛んで行くオルト。それに三人と一匹もそれぞれ返していると、やがてチャイムの音が聞こえてきた。辺りを見ると、生徒達の姿はもう自分達だけとなっている。
「あっ、やべ。戻らないと!」
「チャイム鳴ったし、もう先生来るな。戻ろう、監督生!」
「もうそんな時間か。こんな近くにいるのに遅刻扱いされたら、割に合わぬ!」
やばいやばいと言いつつ、大急ぎで監督生達は自分達の教室へ戻って行った。席に就くとほぼ同時に次の教科担当の教師が入って来る。ぎりぎり間に合ったと彼らは内心でほっと息を吐くのであった。
放課後。今日の授業が全て終わり、寮へ帰ったり、部活へ向かう生徒達の中、オルトの姿が無いことに気付き、監督生が少し残念そうに呟く。
「おるとは結局、戻って来なかったようだな」
「だね。まぁ、そのうち戻って来るでしょ。んじゃ、オレ部活行って来るわ」
「僕も。じゃあ、また明日な、監督生」
「またな」
「おう!」
部活へ向かうエーデュースの背を見送って、監督生とグリムは寮への帰路に就く。今日はグリムが眠そうなので、美食研究会の活動は休むと言って、彼は真っ直ぐ寮へ帰ろうと言った。監督生もそれに同意して校舎を出、オンボロ寮へ向かう。眠そうに目を擦りながら前を行くグリム。その小さな後ろ姿を微笑ましく見ていた監督生は、ふと、足を止めた。
「……?」
空を見上げる。そこには依然として晴れ渡った青空が広がっており、雲一つ無い。気持ちの良い風が吹く、いつもの光景だ。それを認めると、監督生は不思議そうな顔をして、またすぐに帰路へ就いた。
Tchau
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さようなら 美しき愛しい世界
さようなら
さようなら
さようなら
さようなら
さようなら
こんにちは 新しい大地よ
※※※
「なんかさぁ、最近雨降らないよな」
3月31日。廊下から見える空を仰いでエースはぽつりとそんなことを呟いた。その言葉に従うように監督生とグリム、デュースも同じように空を見上げる。確かにこのところ、ずっと快晴が続いている。今は休み時間で、廊下には他にも生徒達の姿もある中、空を見上げているのはエース達だけだ。
「そうだな。確かにここ最近、ずっと晴れてる気がする」
「こういう時、母さんがやたら水不足気にするんだよね。気にしたってしょうがないと思うんだけど」
困惑した声を出すエースに監督生は苦笑する。
「魔法で水を出せば良かろう?」
「それができたら、苦労しないっつーのっ。あれ、カリム先輩はできるけど、あくまでもユニーク魔法だからできることなんだからなっ!」
「そうなのか。我にはよう分からぬ」
「ああ、そうか。監督生は魔法が使えないから、そういうのも分からないのか」
「うむ」
「そう言われてみれば、オレ様、ただでさえ水系の魔法は得意じゃねぇのに、水を大量に出す魔法ってできる気がしねぇんだゾ……」
「雨、降るといいなー」なんて希望的観測を言い合いつつ、そろそろ戻ろうと教室へ踵を返そうとした時、エースは見知った顔が教室を後にし、そのままどこかへ向かう姿を見付けた。
「あれ、オルトじゃん」
「ほんとだ。もうすぐ授業が始まるのに、どこへ行くんだろう?」
「おーい、オルトぉ!」
グリムの呼び声にオルトは直ぐ様反応し、わざわざ踵を返して来てくれる。
「あ、グリムさん、監督生さん、エース・トラッポラさん、デュース・スペードさん。こんにちは」
「もうすぐ次の授業が始まるけど、どこ行こうとしてたんだ?」
デュースの疑問にオルトは少し困ったように眉を下げた。
「実はさっき兄さんに呼び出されたから、これから寮に戻るところだよ」
「あの人、またタブレット出席なんだ」
「何故、わざわざ寮に帰るのだ? たいした用事なのか?」
「うん。……ちょっと緊急の用事でね。でも、すぐ戻るから大丈夫だよ」
「じゃあ、僕、急ぐからまたね!」と手を振りつつ、廊下を飛んで行くオルト。それに三人と一匹もそれぞれ返していると、やがてチャイムの音が聞こえてきた。辺りを見ると、生徒達の姿はもう自分達だけとなっている。
「あっ、やべ。戻らないと!」
「チャイム鳴ったし、もう先生来るな。戻ろう、監督生!」
「もうそんな時間か。こんな近くにいるのに遅刻扱いされたら、割に合わぬ!」
やばいやばいと言いつつ、大急ぎで監督生達は自分達の教室へ戻って行った。席に就くとほぼ同時に次の教科担当の教師が入って来る。ぎりぎり間に合ったと彼らは内心でほっと息を吐くのであった。
放課後。今日の授業が全て終わり、寮へ帰ったり、部活へ向かう生徒達の中、オルトの姿が無いことに気付き、監督生が少し残念そうに呟く。
「おるとは結局、戻って来なかったようだな」
「だね。まぁ、そのうち戻って来るでしょ。んじゃ、オレ部活行って来るわ」
「僕も。じゃあ、また明日な、監督生」
「またな」
「おう!」
部活へ向かうエーデュースの背を見送って、監督生とグリムは寮への帰路に就く。今日はグリムが眠そうなので、美食研究会の活動は休むと言って、彼は真っ直ぐ寮へ帰ろうと言った。監督生もそれに同意して校舎を出、オンボロ寮へ向かう。眠そうに目を擦りながら前を行くグリム。その小さな後ろ姿を微笑ましく見ていた監督生は、ふと、足を止めた。
「……?」
空を見上げる。そこには依然として晴れ渡った青空が広がっており、雲一つ無い。気持ちの良い風が吹く、いつもの光景だ。それを認めると、監督生は不思議そうな顔をして、またすぐに帰路へ就いた。
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