お相手ごちゃ混ぜ
それはある日突然やって来た。何の前触れも前兆も無く、音も無く突然に。
正月も過ぎ、いつもの学園の雰囲気が戻って来た。窓枠には未だ雪が積もり、まだまだこれから降るかもしれないと皆口々にする中、今日もオンボロ寮の監督生はベッドから試しに足を出してみて、その刺すような寒さにぶるっと身を震わせた。一瞬、ベッドの中に足を戻そうかと思いかけたが、今起きないと洗濯が間に合わないと思い、渋々と起きる。きっとロロはもう起きているだろうと思いつつ、どうにかこうにか監督生は起きることに成功した。隣にいるはずのグリムは未だぽんぽんのお腹を出して夢の中だ。今日は休日。起こしてもどうせ起きないし、と諦めて監督生は顔を洗おうともこもこのカーディガンを着た。まだ寒いせいで着替える気にはなれない。
もこもこの靴下も履いて部屋を出ると、彼女は真っ直ぐ階下に降りて洗面所へ向かう。途中、談話室を通るので、朝のコーヒーを飲んでいたロロとフェローに挨拶をしつつ、まだ寝ぼけ眼の監督生は談話室を通り抜けた。
「ああ、起きたのだね。[#dn=1#]くん。おはよう」
「おお。おはようさん、[#dn=1#]ちゃん」
「おはようごじゃいます……ロロ先輩、フェローさん……」
「まだ寝ぼけているようだな?」
「[#dn=1#]ちゃん、ココア飲むかい?」
「ん~……先に顔、洗います……」
「うん、行っておいで」
「じゃあ、その間にお湯沸かしとくか」
薄曇りの朝は窓から入ってくる光も弱々しく、その雲の厚さから午後からまた雪が降りそうだなとロロとフェローは思った。そろそろ今年一回目の雪下ろしをしなければとロロが固く決意したところで、洗面所から監督生の悲鳴が上がった。すぐさまロロは魔法で自分の手元に愛用の杖を呼び出し、走って洗面所に飛び込んだ。
「どうしたんだねっ!? [#dn=1#]くん! ……また卿かね。いい加減にしないか」
ロロは洗面所に突撃して一目で状況を把握した。洗面所の前で壁に凭れ掛かるようにしてへたり込んでいる監督生と鏡から上半身を出して、キラキラした目をしているスカリー。この状況から監督生がゴーストのスカリーに驚かされただけだったのだろう。一拍遅れて立ち上がり、「もぉ~! スカリー! びっくりするからそれ止めてって言ってるでしょっ!?」と怒ると、彼は恥じ入るように頬を染めて弁解した。
「だ、だって、我輩の愛しい人の驚く顔が見たくてしてしまったというか……これは不可抗力なのです! あなたが可愛らしい反応をするのが悪いと言いますか……」
「だからって毎回帰って来た時にしないでっ! もういい加減、嫌いになるよっ!?」
そう言うと、スカリーは明らかにショックを受けた顔をし、「そんなぁ!? [#dn=1#]さん! 許してください……!」と涙目になってどうにか機嫌を取ろうとする。ロロは自分は何を見せられているのかと至極冷静になってしまい、冷静を通り越して怒りに到達しそうにもなる。
スカリーとロロは以前、監督生を巡って火花を散らしたこともあり、結果として彼女はスカリーを取り、自分はスカリーに恋敵として負けた。その時の経験は彼を一回り成長させ、心の余裕を――もたらした訳ではないし、今でも彼にとって腹の立つ存在だが、監督生を悲しませたくないという気持ちだけで何とか表面上は仲良くしていこうと決めただけに過ぎない。スカリーは常に新しいハロウィーンを世に伝えるため、あまりオンボロ寮に帰って来ることは無い……筈なのだが、監督生会いたさに頻繁にオンボロ寮に帰って来ているせいで、彼女の心にロロが入り込む隙が全くと言っていい程、無いのだ。最早ロロにとって、オンボロ寮は色々な意味で燃やした方が良い寮ナンバーワンとなってしまっている。
惚気に走った二人を置いて、ロロが談話室に戻ろうと踵を返した時、彼と入れ替わるようにして入って来たグリムがまだ言い争っている二人を見て、げんなりするのだった。
そんな騒がしい朝を過ごし、無事洗濯物を干して皆暖かい談話室でのんびりしていると、不意に玄関のドアがノックされた。その小さなはずの音は何故か全員が聞き取ることができた。不思議そうな顔をして玄関の方を見るギデルとフェロー、読んでいた本から顔を上げるロロ、暖炉の前に陣取ってごろごろしていたグリム、そしてフェローが淹れてくれたココアを飲みつつ、スカリーと次のクリスマスについて仲睦まじく話をしていた監督生。彼ら全員が玄関の方を注目し、不自然な沈黙が流れる。いつもならエース達が遊びに来たのかと思うのだが、この時は何故か、皆動こうとしなかった。否、監督生は無自覚だったが、彼女はちゃんと自身に迫る危機を敏感に感じ取っていた。エース達なら、玄関ベルを鳴らすはずだからだ。
コンコン、とまた控えめなノックが響く。指だけで軽く叩いているようなどこか気安さすら感じるその微かな音に監督生達は互いに顔を見合わせた後、不安げに監督生が立ち上がった。その後にスカリーがついて来て、その後ろにロロ、グリム、フェローとギデルが続く。
廊下に出て玄関ドアに近付く。玄関ドアのガラスから見えるシルエットは大きく、監督生は「あれ?」と足を止めて安心した顔をした。狼のジャックだと思ったのだ。すっかり安心した彼女は小走りに玄関へ向かい、ドアを開ける。
「どうしたの? ジャック。一人で来るなんて、珍しい……ね……?」
言葉は途中で力尽き、尻すぼみになって消えた。ドアの向こうには深緑色のコートを着込んだ人物が立っていた。顔は見えない。何故なら、その人物は顔全体をフードで覆っていたからだ。大胆に開けられた二つの穴は不気味な目のようにも見え、その奥からは暗い緑色の光が監督生を見つめていた。位置を考えると、おそらく覗いているのは眼光だろう。その人物の背が異様に高いせいで、監督生からは空が全く見えない。そのせいで、彼女は突然人の形をした闇が来たように見えた。見覚えが無い人物に、監督生が何も言えないでいると、その人物は目深に被ったフードを少し持ち上げ、その顔を覗かせて口を開いた。
「やぁ、お嬢さん。久しぶりだねぇ」
「お引き取りを」
監督生よりも先にスカリーがドアを閉め、監督生を庇うように彼女の前に出て自分の胸に抱き寄せる。訳が分からない彼女は、処理しきれない情報と感情にがたがたと震え始めてしまう。そんな二人の足元をすり抜けて――スカリーに足は無いのだが――よく見えていなかったグリムがまたドアを開けた。開けてしまった。
「何やってんだ? 子分、スカリー。客なんだろぉ?」
「ああっ、いけません! グリムさん……!」
グリムが開けた隙を見逃さずにあの男は片足を滑り込ませ、もう閉じられないようにドアを押さえ付け、こじ開けるようにして入って来た。
「ヒィッ……!? な、何なんだゾ!? お前!?」
「おお兄弟、忘れちまうとは哀しいねぇ。頭が痛いぜ」
皮肉めいた言葉と共に男は入ってくると、改めてフードを取って顔を見せた。灰色の肌に長い黒髪を雑に縛り、淀んだ緑の目に口元にはわざとらしい笑みが浮かんでいる。やはり、見覚えは無い。どうして知らない人、否、耳が尖っているから妖精族なのだろう。知らない妖精が訪ねて来るのか分からない監督生はただスカリーの腕の中で静かに泣くしかなかった。
入られてしまったものはしょうがないということで、取り敢えず、訳が分からないなりに監督生は男を談話室に通してお茶を出した。本当は彼の纏う雰囲気がなんだか怖くてお茶を出したくはなかったが、彼の雰囲気がそれを許さなかったとも言える。出された紅茶に口を付ける男を見て、スカリーは内心「こいつが出て行ったら、あのカップ捨てよう」と思いつつ、心配そうに監督生の様子を見る。男をソファに座らせ、自身はその真向かいに座った監督生は困ったような笑顔を浮かべて対応していた。
「あの……あなたは――」
「ああ、そうか。こっちでは忘れてるんだった。どうも初めまして。俺はスウィングさんだ」
「スウィング・サンダー?」
「違う」
「ごめんなさい……!」
勘違いを引き起こした監督生の頭を片手で掴むスウィング。その手をロロが思い切り叩いた。
「初対面で女性の頭を掴むなんて言語道断だ。放したまえ」
ロロに叩かれてもびくともしないが、ようやく彼の存在に気が付いたように監督生からロロへ視線を移したスウィングは、暫し感情の読めない目を向けていたかと思うと、不意ににやりと笑い、何事も無かったかのようにぱっと手を放した。大の男にいきなり顔を掴まれたことですっかり怯え切ってしまった監督生は、傍らに浮いているスカリーへ涙ながらに訴える。
「おっと、スウィングさんとしたことがつい……お行儀が悪かったなぁ?」
「うぅ……すかりぃ~……!」
「大丈夫。大丈夫ですよ、[#dn=1#]さん。ああ、かわいそうに。こんなに怯えてしまって……」
「用が無いなら、即刻立ち去り給え。卿のような者は迷惑だ」
にべもないロロの物言いにスウィングは一瞬ちら、と監督生とスカリーの方を一瞥し、真顔になったかと思うと、制止するように片手をひらひらと振った。
「待った待った。悪かったって。スウィングさん反省したよ。――じゃあ、こうしよう。君達はスウィングさんに出て行って欲しい。スウィングさんはここに住みたい。今後をどう決めるかはこのダイスに賭けてみるってのはどうだ?」
そう言って彼が上着のポケットから取り出したのは二つの赤い六面ダイス。皆その手元のダイスに意識が逸れて聞き逃しそうになったが、はっと気が付いたロロが言及する。
「いや、何だねその条件は!? 誰も卿を住まわせる許可などする訳が――」
「素晴らしい提案じゃないですか!」
場違いに明るいその声に監督生達は自分の耳を疑った。見ると、営業モードに入ったフェローがギデルと一緒に揉み手しつつ、スウィングに近付き、「いやぁ、さすが一流のお人は考え方からして凡人とは違う!」だの、「やっぱり人生成功するにゃあ、肝心な時に天に任せられる度胸が無くちゃあいけません!」だの、とにかくスウィングを褒め始める。一体、何のつもりなのかとフェローを睨みつけるロロとスカリー。そんな彼を心配そうに見つめる監督生とグリム。
そのうちスウィングも興が乗ってきたのか、「そうかい? なンだ、兄さんとは話が合いそうだな」と本心から言っているのか、悪ふざけで言っているのかよく分からない笑顔を浮かべている。そんな空気に耐え切れず、ロロは強制的にスウィングからフェローを引き剥がし、部屋の隅に連れて行った。
「どういうつもりなのかねっ!?」
「作戦だよっ! お前、あいつの魔力量見えねぇのかっ!? ありゃ、オレらが束になっても敵わねぇだろうがっ!」
フェローの隣でしゃがんでいるギデルもうんうんと頷く。もちろん、今は作戦会議中なのでロロもフェローも小声だ。フェロー曰く、ここはとにかくスウィングを良い気持ちにさせてそれとなく帰ってもらう作戦、らしい。自分なりの正義を貫くことを信条としているロロとは違い、相手との力量差をよく理解していたフェローは正攻法では決して勝てないと踏み、得意の話術とユニーク魔法で追い出そうという魂胆である。しかし、彼の魔力量に関してはロロも理解はしていた。
「それは分かっている。しかし、一度[#dn=1#]くんに危害を加えたあの男は許せぬものではない。不本意だが、私の魔法で目を眩ませ、その隙に縛り上げて窓から……」
「お前、最近魔法使うのに躊躇ねぇよな」
「何か問題でもあるのかね?」
「いや、ねぇけど」
「縛り上げるなら任せろ」と言いたげにどこからかギデルが縄を取り出してくる。しかし、こそこそと作戦会議をしていた三人は不意に話が進んで、びくっと身を震わせることになった。
「で? どうすンだ? やるのか? やらないのか?」
「や、やります……」
スウィングの威圧感に負けた監督生がそう呟くと、ロロ達は皆一様に「[#dn=1#]くん!?」「[#dn=1#]ちゃん!?」「[#dn=1#]さん!?」「子分!?」と声を上げた。その返事にただスウィングだけは「良いお返事だな」と勝ち気に微笑む。
「ルールは簡単。スウィングさんとお嬢さんが一回ずつダイスを転がして、出た目の合計が多い方が勝ち。……ああ、いや、やっぱりそれだとつまらないな。出た数字の合計が多く且つ、奇数だったらスウィングさんの勝ち、偶数だったらお嬢さんの勝ちにしよう。それで良いかな?」
「……分かりました」
監督生には勝算があった。以前、ボードゲーム部の先輩二人とダイスを使ったゲームをした際、大きな目ばかり出すアズールに「ずるい!」と怒ったことがきっかけで、一番きつい時間帯のシフトを少し増やすという対価と引き換えに大きな目を出すコツを教えてもらっていたのだ。それに六面ダイスは文字通り、1から6までの数字が刻まれたダイスだ。二つとも『6』を出すことができれば、スウィングがどんな目を出そうと負けることはない。しかし、それはだいぶ願望の入った希望的観測だ。現実はそう上手く行く訳ではない。どちらも『6』ではないにしても、せめて片方が『6』、もう片方が『3以上の数字』であれば、充分勝機はあると言っても良い。しかも、監督生にはアズール直伝のダイス操作術がある。
「さぁて、どっちから行く? 先攻か? それとも後攻か?」
「えっと……『先攻』で!」
「良いねぇ。レディファーストって言うしな。度胸のある娘は好きだぜ」
こういった勝負の場合、先攻・後攻はあまり関係無い。とにかくスウィングより大きな数字且つ、偶数を出せばいいだけなのだから。スウィングから受け取ったダイスをアズールに習った通りにしようと手の中で転がす振りをして調整する。確か、一番上に『2』が来れば――
「うひゃあっ!?」
不意に手の中に違和感があった監督生は、不思議に思ってダイスを握っている手を開いてみる。そこにはダイスの表面に開いている穴から細長い芋虫が這い出してきたところで、驚いた彼女はそのままダイスを真上に放り投げてしまった。あ、と思った時にはもう遅く、二つのダイスはカーペットの上をころんと転がって止まった。一つはすぐ見付かったが、もう一つはどこに行ったと皆で探すと、グリムが壁際まで転がったそれを見付けた。
「あったぞ! 子分、オレ様が持って行ってや――」
「触るなっ!」
「ふなっ!?」
グリムが壁際にあったダイスに触れようとした瞬間、スウィングの鋭い声が飛び、その声に驚いたグリムはびくっと固まる。代わりにロロが覗き込むようにして確認してくれた。
「[#dn=1#]くん、そちらはどうだね? こちらは『3』だが」
ロロの意図を汲んで監督生は自身の足元に転がっているもう一つを見てみる。
「えっと……こっちは『5』です」
「ということは合計で『8』か。おっと、これは結構追い詰められたな」
合計が出たので、改めてグリムと監督生はそれぞれダイスを拾ってスウィングに渡す。一瞬、虫のことを言おうか迷った監督生だが、勝負は一回きり。出てしまったものは仕方ないと諦めようとした時、不意にロロが動いた。ダイスを転がそうとしたスウィングの手をがしっと掴み、鋭い目つきで彼を睨む。
「それと、今のは不正ではないのかね? 私には[#dn=1#]くんがその賽に驚いたように見えたのだが?」
しかし、彼に言及されてもスウィングは飄々とした態度を崩さなかった。
「おや、そうだったかな? どっちにしろ、もうお嬢さんのダイスは振られちまったンだ。勝負は一回きり。今更、不正がどうのなンて聞かないし、聞けないな」
「だとしたら、こんな勝負は無効……なっ!?」
ブンッ、とスウィングはロロの手を力任せに振り解き、その勢いのままテーブルの上にダイスを転がした。と同時に反対側の窓ガラスが割れる。
「なんだっ!?」
びくっとその場にいた全員が割れた窓の方へ意識が逸れる。しかし、窓が割れた原因が分からず、戸惑っている皆を置いて、スウィングただ一人だけが余裕綽々に呟いた。
「少し力が入り過ぎたかな? どっちにしろこの勝負、スウィングさんの勝ちだ」
はっと監督生達が気が付いた時には既に遅く、テーブルの上に転がったダイスが示していたのは『5』と『6』。合計は『11』。この場にいる誰もが絶望した。
「ってことで、これからよろしくな。お嬢さん達」
してやったり。そう言いたげにスウィングは口元を歪ませて嗤った。
ああ、まずい。『1』のゾロ目だ。
テーブル上に転がっていく二つのダイスを見て、瞬時に判断したスウィングの行動は早かった。視認すら難しい極薄い攻撃魔法で窓ガラスを割り、そちらへ監督生達の意識が逸れている間に浮遊魔法でダイス目を操った結果、彼は暫しの安住の地を手に入れた。
ぎし、とフェローから奪った寝室のベッドに寝転がりつつ、階下の話に耳を傾ける。今は床を這っているお陰でよく聞こえる。
「まぁ、いつまでもしょんぼりしてても仕方ないよ。スウィングさんともきっと、仲良く……なれたら、良いね」
「あの[#dn=1#]さんが願望としてしか口にできないなんて……!?」
「子分~! なんであんな勝負受けちまったんだゾ!」
「だ、だって、勝てると思ってたから……!」
「それを取らぬ何とかの皮算用と言うのだよ。起きてしまったものは仕方ない。今後の対策を考えるとしよう、[#dn=1#]くん」
「なぁ、学者さん達。まずはオレのベッドが取られた件について対策練ってくれよ……」
「ねぇねぇ、スカリー。次のクリスマスには町の子供達にフェルトで作ったクリスマスの絵本を配るとかどうかな?」
「[#dn=1#]さん。現実逃避は一旦、止めましょうね」
その会話を聞きながら、スウィングはせせら笑った。これからあのゴミ共がどんな手を使って自分を追い出そうとするのか見物だな、と。灰は灰に、塵は塵に。挑んでくるなら、跡形も無く消してやる。そして、ハロウィンもクリスマスも自分のものにしてみせる!
その為には、と彼は監督生の姿を思い浮かべる。小さくて魔力も無い、赤子同然の非力な存在。ハロウィンは奪えなかったが、クリスマスならまだ奪う機会はいくらでもある。しかし、一度は阻止されてしまったことを考えると、今までと同じやり方は通用しないだろう。ならば、そろそろ皮を増やすしかないか、と死体の口を借りてスウィングと名乗ったムカデは考えた。
「女の体ってのも、また楽しいかもしれないな!」
また一つ今後の楽しみが増えたと、音も立てずにスウィングはくすくすと笑っていた。
正月も過ぎ、いつもの学園の雰囲気が戻って来た。窓枠には未だ雪が積もり、まだまだこれから降るかもしれないと皆口々にする中、今日もオンボロ寮の監督生はベッドから試しに足を出してみて、その刺すような寒さにぶるっと身を震わせた。一瞬、ベッドの中に足を戻そうかと思いかけたが、今起きないと洗濯が間に合わないと思い、渋々と起きる。きっとロロはもう起きているだろうと思いつつ、どうにかこうにか監督生は起きることに成功した。隣にいるはずのグリムは未だぽんぽんのお腹を出して夢の中だ。今日は休日。起こしてもどうせ起きないし、と諦めて監督生は顔を洗おうともこもこのカーディガンを着た。まだ寒いせいで着替える気にはなれない。
もこもこの靴下も履いて部屋を出ると、彼女は真っ直ぐ階下に降りて洗面所へ向かう。途中、談話室を通るので、朝のコーヒーを飲んでいたロロとフェローに挨拶をしつつ、まだ寝ぼけ眼の監督生は談話室を通り抜けた。
「ああ、起きたのだね。[#dn=1#]くん。おはよう」
「おお。おはようさん、[#dn=1#]ちゃん」
「おはようごじゃいます……ロロ先輩、フェローさん……」
「まだ寝ぼけているようだな?」
「[#dn=1#]ちゃん、ココア飲むかい?」
「ん~……先に顔、洗います……」
「うん、行っておいで」
「じゃあ、その間にお湯沸かしとくか」
薄曇りの朝は窓から入ってくる光も弱々しく、その雲の厚さから午後からまた雪が降りそうだなとロロとフェローは思った。そろそろ今年一回目の雪下ろしをしなければとロロが固く決意したところで、洗面所から監督生の悲鳴が上がった。すぐさまロロは魔法で自分の手元に愛用の杖を呼び出し、走って洗面所に飛び込んだ。
「どうしたんだねっ!? [#dn=1#]くん! ……また卿かね。いい加減にしないか」
ロロは洗面所に突撃して一目で状況を把握した。洗面所の前で壁に凭れ掛かるようにしてへたり込んでいる監督生と鏡から上半身を出して、キラキラした目をしているスカリー。この状況から監督生がゴーストのスカリーに驚かされただけだったのだろう。一拍遅れて立ち上がり、「もぉ~! スカリー! びっくりするからそれ止めてって言ってるでしょっ!?」と怒ると、彼は恥じ入るように頬を染めて弁解した。
「だ、だって、我輩の愛しい人の驚く顔が見たくてしてしまったというか……これは不可抗力なのです! あなたが可愛らしい反応をするのが悪いと言いますか……」
「だからって毎回帰って来た時にしないでっ! もういい加減、嫌いになるよっ!?」
そう言うと、スカリーは明らかにショックを受けた顔をし、「そんなぁ!? [#dn=1#]さん! 許してください……!」と涙目になってどうにか機嫌を取ろうとする。ロロは自分は何を見せられているのかと至極冷静になってしまい、冷静を通り越して怒りに到達しそうにもなる。
スカリーとロロは以前、監督生を巡って火花を散らしたこともあり、結果として彼女はスカリーを取り、自分はスカリーに恋敵として負けた。その時の経験は彼を一回り成長させ、心の余裕を――もたらした訳ではないし、今でも彼にとって腹の立つ存在だが、監督生を悲しませたくないという気持ちだけで何とか表面上は仲良くしていこうと決めただけに過ぎない。スカリーは常に新しいハロウィーンを世に伝えるため、あまりオンボロ寮に帰って来ることは無い……筈なのだが、監督生会いたさに頻繁にオンボロ寮に帰って来ているせいで、彼女の心にロロが入り込む隙が全くと言っていい程、無いのだ。最早ロロにとって、オンボロ寮は色々な意味で燃やした方が良い寮ナンバーワンとなってしまっている。
惚気に走った二人を置いて、ロロが談話室に戻ろうと踵を返した時、彼と入れ替わるようにして入って来たグリムがまだ言い争っている二人を見て、げんなりするのだった。
そんな騒がしい朝を過ごし、無事洗濯物を干して皆暖かい談話室でのんびりしていると、不意に玄関のドアがノックされた。その小さなはずの音は何故か全員が聞き取ることができた。不思議そうな顔をして玄関の方を見るギデルとフェロー、読んでいた本から顔を上げるロロ、暖炉の前に陣取ってごろごろしていたグリム、そしてフェローが淹れてくれたココアを飲みつつ、スカリーと次のクリスマスについて仲睦まじく話をしていた監督生。彼ら全員が玄関の方を注目し、不自然な沈黙が流れる。いつもならエース達が遊びに来たのかと思うのだが、この時は何故か、皆動こうとしなかった。否、監督生は無自覚だったが、彼女はちゃんと自身に迫る危機を敏感に感じ取っていた。エース達なら、玄関ベルを鳴らすはずだからだ。
コンコン、とまた控えめなノックが響く。指だけで軽く叩いているようなどこか気安さすら感じるその微かな音に監督生達は互いに顔を見合わせた後、不安げに監督生が立ち上がった。その後にスカリーがついて来て、その後ろにロロ、グリム、フェローとギデルが続く。
廊下に出て玄関ドアに近付く。玄関ドアのガラスから見えるシルエットは大きく、監督生は「あれ?」と足を止めて安心した顔をした。狼のジャックだと思ったのだ。すっかり安心した彼女は小走りに玄関へ向かい、ドアを開ける。
「どうしたの? ジャック。一人で来るなんて、珍しい……ね……?」
言葉は途中で力尽き、尻すぼみになって消えた。ドアの向こうには深緑色のコートを着込んだ人物が立っていた。顔は見えない。何故なら、その人物は顔全体をフードで覆っていたからだ。大胆に開けられた二つの穴は不気味な目のようにも見え、その奥からは暗い緑色の光が監督生を見つめていた。位置を考えると、おそらく覗いているのは眼光だろう。その人物の背が異様に高いせいで、監督生からは空が全く見えない。そのせいで、彼女は突然人の形をした闇が来たように見えた。見覚えが無い人物に、監督生が何も言えないでいると、その人物は目深に被ったフードを少し持ち上げ、その顔を覗かせて口を開いた。
「やぁ、お嬢さん。久しぶりだねぇ」
「お引き取りを」
監督生よりも先にスカリーがドアを閉め、監督生を庇うように彼女の前に出て自分の胸に抱き寄せる。訳が分からない彼女は、処理しきれない情報と感情にがたがたと震え始めてしまう。そんな二人の足元をすり抜けて――スカリーに足は無いのだが――よく見えていなかったグリムがまたドアを開けた。開けてしまった。
「何やってんだ? 子分、スカリー。客なんだろぉ?」
「ああっ、いけません! グリムさん……!」
グリムが開けた隙を見逃さずにあの男は片足を滑り込ませ、もう閉じられないようにドアを押さえ付け、こじ開けるようにして入って来た。
「ヒィッ……!? な、何なんだゾ!? お前!?」
「おお兄弟、忘れちまうとは哀しいねぇ。頭が痛いぜ」
皮肉めいた言葉と共に男は入ってくると、改めてフードを取って顔を見せた。灰色の肌に長い黒髪を雑に縛り、淀んだ緑の目に口元にはわざとらしい笑みが浮かんでいる。やはり、見覚えは無い。どうして知らない人、否、耳が尖っているから妖精族なのだろう。知らない妖精が訪ねて来るのか分からない監督生はただスカリーの腕の中で静かに泣くしかなかった。
入られてしまったものはしょうがないということで、取り敢えず、訳が分からないなりに監督生は男を談話室に通してお茶を出した。本当は彼の纏う雰囲気がなんだか怖くてお茶を出したくはなかったが、彼の雰囲気がそれを許さなかったとも言える。出された紅茶に口を付ける男を見て、スカリーは内心「こいつが出て行ったら、あのカップ捨てよう」と思いつつ、心配そうに監督生の様子を見る。男をソファに座らせ、自身はその真向かいに座った監督生は困ったような笑顔を浮かべて対応していた。
「あの……あなたは――」
「ああ、そうか。こっちでは忘れてるんだった。どうも初めまして。俺はスウィングさんだ」
「スウィング・サンダー?」
「違う」
「ごめんなさい……!」
勘違いを引き起こした監督生の頭を片手で掴むスウィング。その手をロロが思い切り叩いた。
「初対面で女性の頭を掴むなんて言語道断だ。放したまえ」
ロロに叩かれてもびくともしないが、ようやく彼の存在に気が付いたように監督生からロロへ視線を移したスウィングは、暫し感情の読めない目を向けていたかと思うと、不意ににやりと笑い、何事も無かったかのようにぱっと手を放した。大の男にいきなり顔を掴まれたことですっかり怯え切ってしまった監督生は、傍らに浮いているスカリーへ涙ながらに訴える。
「おっと、スウィングさんとしたことがつい……お行儀が悪かったなぁ?」
「うぅ……すかりぃ~……!」
「大丈夫。大丈夫ですよ、[#dn=1#]さん。ああ、かわいそうに。こんなに怯えてしまって……」
「用が無いなら、即刻立ち去り給え。卿のような者は迷惑だ」
にべもないロロの物言いにスウィングは一瞬ちら、と監督生とスカリーの方を一瞥し、真顔になったかと思うと、制止するように片手をひらひらと振った。
「待った待った。悪かったって。スウィングさん反省したよ。――じゃあ、こうしよう。君達はスウィングさんに出て行って欲しい。スウィングさんはここに住みたい。今後をどう決めるかはこのダイスに賭けてみるってのはどうだ?」
そう言って彼が上着のポケットから取り出したのは二つの赤い六面ダイス。皆その手元のダイスに意識が逸れて聞き逃しそうになったが、はっと気が付いたロロが言及する。
「いや、何だねその条件は!? 誰も卿を住まわせる許可などする訳が――」
「素晴らしい提案じゃないですか!」
場違いに明るいその声に監督生達は自分の耳を疑った。見ると、営業モードに入ったフェローがギデルと一緒に揉み手しつつ、スウィングに近付き、「いやぁ、さすが一流のお人は考え方からして凡人とは違う!」だの、「やっぱり人生成功するにゃあ、肝心な時に天に任せられる度胸が無くちゃあいけません!」だの、とにかくスウィングを褒め始める。一体、何のつもりなのかとフェローを睨みつけるロロとスカリー。そんな彼を心配そうに見つめる監督生とグリム。
そのうちスウィングも興が乗ってきたのか、「そうかい? なンだ、兄さんとは話が合いそうだな」と本心から言っているのか、悪ふざけで言っているのかよく分からない笑顔を浮かべている。そんな空気に耐え切れず、ロロは強制的にスウィングからフェローを引き剥がし、部屋の隅に連れて行った。
「どういうつもりなのかねっ!?」
「作戦だよっ! お前、あいつの魔力量見えねぇのかっ!? ありゃ、オレらが束になっても敵わねぇだろうがっ!」
フェローの隣でしゃがんでいるギデルもうんうんと頷く。もちろん、今は作戦会議中なのでロロもフェローも小声だ。フェロー曰く、ここはとにかくスウィングを良い気持ちにさせてそれとなく帰ってもらう作戦、らしい。自分なりの正義を貫くことを信条としているロロとは違い、相手との力量差をよく理解していたフェローは正攻法では決して勝てないと踏み、得意の話術とユニーク魔法で追い出そうという魂胆である。しかし、彼の魔力量に関してはロロも理解はしていた。
「それは分かっている。しかし、一度[#dn=1#]くんに危害を加えたあの男は許せぬものではない。不本意だが、私の魔法で目を眩ませ、その隙に縛り上げて窓から……」
「お前、最近魔法使うのに躊躇ねぇよな」
「何か問題でもあるのかね?」
「いや、ねぇけど」
「縛り上げるなら任せろ」と言いたげにどこからかギデルが縄を取り出してくる。しかし、こそこそと作戦会議をしていた三人は不意に話が進んで、びくっと身を震わせることになった。
「で? どうすンだ? やるのか? やらないのか?」
「や、やります……」
スウィングの威圧感に負けた監督生がそう呟くと、ロロ達は皆一様に「[#dn=1#]くん!?」「[#dn=1#]ちゃん!?」「[#dn=1#]さん!?」「子分!?」と声を上げた。その返事にただスウィングだけは「良いお返事だな」と勝ち気に微笑む。
「ルールは簡単。スウィングさんとお嬢さんが一回ずつダイスを転がして、出た目の合計が多い方が勝ち。……ああ、いや、やっぱりそれだとつまらないな。出た数字の合計が多く且つ、奇数だったらスウィングさんの勝ち、偶数だったらお嬢さんの勝ちにしよう。それで良いかな?」
「……分かりました」
監督生には勝算があった。以前、ボードゲーム部の先輩二人とダイスを使ったゲームをした際、大きな目ばかり出すアズールに「ずるい!」と怒ったことがきっかけで、一番きつい時間帯のシフトを少し増やすという対価と引き換えに大きな目を出すコツを教えてもらっていたのだ。それに六面ダイスは文字通り、1から6までの数字が刻まれたダイスだ。二つとも『6』を出すことができれば、スウィングがどんな目を出そうと負けることはない。しかし、それはだいぶ願望の入った希望的観測だ。現実はそう上手く行く訳ではない。どちらも『6』ではないにしても、せめて片方が『6』、もう片方が『3以上の数字』であれば、充分勝機はあると言っても良い。しかも、監督生にはアズール直伝のダイス操作術がある。
「さぁて、どっちから行く? 先攻か? それとも後攻か?」
「えっと……『先攻』で!」
「良いねぇ。レディファーストって言うしな。度胸のある娘は好きだぜ」
こういった勝負の場合、先攻・後攻はあまり関係無い。とにかくスウィングより大きな数字且つ、偶数を出せばいいだけなのだから。スウィングから受け取ったダイスをアズールに習った通りにしようと手の中で転がす振りをして調整する。確か、一番上に『2』が来れば――
「うひゃあっ!?」
不意に手の中に違和感があった監督生は、不思議に思ってダイスを握っている手を開いてみる。そこにはダイスの表面に開いている穴から細長い芋虫が這い出してきたところで、驚いた彼女はそのままダイスを真上に放り投げてしまった。あ、と思った時にはもう遅く、二つのダイスはカーペットの上をころんと転がって止まった。一つはすぐ見付かったが、もう一つはどこに行ったと皆で探すと、グリムが壁際まで転がったそれを見付けた。
「あったぞ! 子分、オレ様が持って行ってや――」
「触るなっ!」
「ふなっ!?」
グリムが壁際にあったダイスに触れようとした瞬間、スウィングの鋭い声が飛び、その声に驚いたグリムはびくっと固まる。代わりにロロが覗き込むようにして確認してくれた。
「[#dn=1#]くん、そちらはどうだね? こちらは『3』だが」
ロロの意図を汲んで監督生は自身の足元に転がっているもう一つを見てみる。
「えっと……こっちは『5』です」
「ということは合計で『8』か。おっと、これは結構追い詰められたな」
合計が出たので、改めてグリムと監督生はそれぞれダイスを拾ってスウィングに渡す。一瞬、虫のことを言おうか迷った監督生だが、勝負は一回きり。出てしまったものは仕方ないと諦めようとした時、不意にロロが動いた。ダイスを転がそうとしたスウィングの手をがしっと掴み、鋭い目つきで彼を睨む。
「それと、今のは不正ではないのかね? 私には[#dn=1#]くんがその賽に驚いたように見えたのだが?」
しかし、彼に言及されてもスウィングは飄々とした態度を崩さなかった。
「おや、そうだったかな? どっちにしろ、もうお嬢さんのダイスは振られちまったンだ。勝負は一回きり。今更、不正がどうのなンて聞かないし、聞けないな」
「だとしたら、こんな勝負は無効……なっ!?」
ブンッ、とスウィングはロロの手を力任せに振り解き、その勢いのままテーブルの上にダイスを転がした。と同時に反対側の窓ガラスが割れる。
「なんだっ!?」
びくっとその場にいた全員が割れた窓の方へ意識が逸れる。しかし、窓が割れた原因が分からず、戸惑っている皆を置いて、スウィングただ一人だけが余裕綽々に呟いた。
「少し力が入り過ぎたかな? どっちにしろこの勝負、スウィングさんの勝ちだ」
はっと監督生達が気が付いた時には既に遅く、テーブルの上に転がったダイスが示していたのは『5』と『6』。合計は『11』。この場にいる誰もが絶望した。
「ってことで、これからよろしくな。お嬢さん達」
してやったり。そう言いたげにスウィングは口元を歪ませて嗤った。
ああ、まずい。『1』のゾロ目だ。
テーブル上に転がっていく二つのダイスを見て、瞬時に判断したスウィングの行動は早かった。視認すら難しい極薄い攻撃魔法で窓ガラスを割り、そちらへ監督生達の意識が逸れている間に浮遊魔法でダイス目を操った結果、彼は暫しの安住の地を手に入れた。
ぎし、とフェローから奪った寝室のベッドに寝転がりつつ、階下の話に耳を傾ける。今は床を這っているお陰でよく聞こえる。
「まぁ、いつまでもしょんぼりしてても仕方ないよ。スウィングさんともきっと、仲良く……なれたら、良いね」
「あの[#dn=1#]さんが願望としてしか口にできないなんて……!?」
「子分~! なんであんな勝負受けちまったんだゾ!」
「だ、だって、勝てると思ってたから……!」
「それを取らぬ何とかの皮算用と言うのだよ。起きてしまったものは仕方ない。今後の対策を考えるとしよう、[#dn=1#]くん」
「なぁ、学者さん達。まずはオレのベッドが取られた件について対策練ってくれよ……」
「ねぇねぇ、スカリー。次のクリスマスには町の子供達にフェルトで作ったクリスマスの絵本を配るとかどうかな?」
「[#dn=1#]さん。現実逃避は一旦、止めましょうね」
その会話を聞きながら、スウィングはせせら笑った。これからあのゴミ共がどんな手を使って自分を追い出そうとするのか見物だな、と。灰は灰に、塵は塵に。挑んでくるなら、跡形も無く消してやる。そして、ハロウィンもクリスマスも自分のものにしてみせる!
その為には、と彼は監督生の姿を思い浮かべる。小さくて魔力も無い、赤子同然の非力な存在。ハロウィンは奪えなかったが、クリスマスならまだ奪う機会はいくらでもある。しかし、一度は阻止されてしまったことを考えると、今までと同じやり方は通用しないだろう。ならば、そろそろ皮を増やすしかないか、と死体の口を借りてスウィングと名乗ったムカデは考えた。
「女の体ってのも、また楽しいかもしれないな!」
また一つ今後の楽しみが増えたと、音も立てずにスウィングはくすくすと笑っていた。
1/3ページ
