また、来世で 《前》
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転生トリップ
それは小説…特に夢小説等で1つのジャンルとして袖を広げる現象。厳密に言うと転生もトリップも別物だけど。
私の特に好きなジャンルとも言える。
ただ実際自分に起こったところで喜ばしく何か良いことがあるか、と聞かれれば否だ。
「はっそんなに悔しかったら来世に賭けてワンチャンダイブでもしてみろよ」
「ちょっと! そうゆうこと言うのやめなって」
この通り転生した先でも学生の頃と同じような阿呆な悪口が続く。
唯一庇ってくれる彼女は別に友達というものでもない。ただ果てしなく正義感が強いのか、はたまた正義感の塊である幼馴染へのアピールなのか。
大胆にも複数人のいじめっ子男子に直接文句を言えるのは、彼女が可愛らしい容姿をしているからというのと、彼女の幼馴染2人がかなりの部位を占めると思う。
そんな一対複数の高々中学生の口喧嘩なんて聞いている価値もない。
彼らから視線を離し踵を返す。
良かろう教えてやるよ小僧共。
言葉の持つ大きな力を見せてやる。
この学校の全てのいじめっ子、見てろよ。これが言葉の重さだ。
カラリと教室の窓を開けてベランダに出て空を見上げた。今日は青空ではなく雲が空を覆っている。
残念だ、またあの綺麗な空が見えるかもしれないと思ったのに。
そう思いながらベランダの肩の高さにある柵によじ登りフラフラと立ち上がる。
どこからか土のような匂いがするから、今日はこれから雨になりそうだ。
ふわりと耳元をすぎる風にバランスを崩しそうになりながら教室の中へ振り向く。
教室で口喧嘩していた人も、それを見ていた人もみんなこちらを見ていた。遠くから先生の怒鳴り声が聞こえる。あぁ、ピアノの発表会以来かな、こんなに人に注目されるの。なんてどうでも良い事が頭を過ぎった。
目玉が落ちそうなほど目を見開いた、私に飛び降りろと言った男子と目が合った。特に何の表情も浮かべずゆっくりと目を瞑り真後ろに体を倒す。
重力に従って地面に吸い寄せられる私の視界には、今にも泣きだしそうな厚い雲だけで、灰色の世界もそれはそれで素敵だなと目を閉じた。
そのすぐ後にゴシャ、ともベシャ、とも取れる音が私の世界に響いた。
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